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犬コロの心配

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「俺、先輩が来ないとはわかっていたけど、なんとなくあの日はいつものように、あの公園のベンチに座ってコーヒー飲んでたんです…
でもまあ、夜だし、そろそろ帰ろうかな、って、缶を捨てに行って、そしたら見えたんです、先輩たちが公園近くに歩いて来るのが…」

そうだったのか…俺はベンチあたりしか見なかったが、圭一、闇に紛れてどこかにいたんだな…
暗くて全然、気付かなかった…

「そしたら…遠目に、アイツが、先輩に触れるのが見えて…、先輩…ちょっと…」

ん?なんだなんだ…圭一が少し眉間にシワを寄せてこちらを見るというか、睨む?
…なんだよ~…もしかして、怒ってんのか?…

「先輩、ちょっと…アイツに対して、すきがあり過ぎ、なんじゃないですか?…ちょっとアイツの先輩を見る目、ヤバくないですか?なんとなく…ですけど…」

はー!?…隙だとう…なんで俺が、年下のお前なんかにそんなこと言われなきゃなんないんだよ。
 
お前は、俺のなんだっていうんだ…まあ、キス…位は妥協で許しはしたが、それで、彼氏づら…いや?彼女づら?…すんなよな…
俺は、深い溜め息をつく。

「おいこら、お前、何言ってんだ…大体、寺崎は…友達だよ、隙があるとかないとか、関係ない…。あの時も、俺の髪についたゴミ屑、取ってくれただけだし…」

俺は圭一に説明しながらも、焼肉屋での少しの違和感を思い出し、一瞬、言葉に詰まる。

いや…やっぱそんなはずはない。
大体、俺を見る目がヤバイのは、寺崎じゃなく、完全におまえじゃないか
 …俺は必死に、その言葉を抑え込む。

「とにかく大丈夫、お前の思い過ごしだよ。
それはともかくも、高校生が夜遅くに一人であんなとこにいたらだめだぞ、親が心配するわ」

圭一は、まだ何か言いたげだったが、もういいや、なんも考えず、早くDVD…見たいわ。

「な…もういいから、気にせずに、DVD観ようぜ。せっかく借りてきたんだし…ん?…っ!」
 
まだ、俺が話している最中なのに、圭一が俺の手首をつかむ。

    痛いよ… なんなんだ、全く…

                
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