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落ち着け、俺

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唇を、思う存分に後輩に貪むさぼられ、俺は空気の抜けた風船のように脱力していた。
 
最初は色々ともがいていたが、力及ばず、もうその後は抵抗する力もなく、奴にされるがままだった。
 
その後、満足したのか、やっと圭一が俺から離れ、身体の重みから解放される。
 
俺はふうっ…と、やっと…息をついた。

何が起こったのか、頭があまりまとまらないままだったが、さすがに横になったまま、その場でゆっくりくつろぎながら考える勇気はなかった。
 
なぜなら、圭一のことを、
初めて少し…怖いと感じたから…

ただ、そんな俺の内心を、後輩に悟られるわけにはいかない。
 
図らずもこんな目にあったからといって、今後も…奴にナメられるわけにはいかない。

俺はムクリと起き上がり、その場にあぐらをかいた。

圭一を、正面から見据える。

すぐに奴も俺を真っ直ぐに見返してきた。
先輩である俺に、無理矢理キスやらしておいて、見返してくるとは、生意気な奴。
 
なんとなく、奴の瞳の奥が濡れているように光っている。
俺はゾクリ…とする。

おい、おまえ、頼むからもう…襲ってくるなよ。

    内心の声、本心が頭をめぐる。
…本当は…少しじゃないんだ、めっちゃ怖い!…

こいつ、男の俺にキス、しやがった…しかもディープなやつ。何、考えてんだ、ホントに。
 
今まで、普通に仲良くやれてたのに、どうしちゃったんだ一体、おまえに、何があった?
        
     俺が…何か、したか…?

本当は、その場から、すぐに逃げ出したかった…
なぜなら、力ではとても敵わないと痛感したから。

圭一が仮にあの後、本気で、俺を無理矢理にどうこうすると決めたなら、きっと…多分、容易かったはずだ。
それほどに、力の差は歴然だった。

俺は、男としてのプライドをズタズタに引き裂かれていた。
…こんな時だけどジムに通うことを密かに考える。

俺が頭ん中で、ぐちゃぐちゃ、考えていると、
圭一が先に口を開いた。

                     
     
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