貴方を丸ごと愛しても差し支えないでしょうか？

第二章 彼の秘密

退散

「話は変わるが、おまえさ…結構いい身体してんじゃん… 胸、見た目よりでかくて驚いたわ…」

「なっ… … ！」

「ちなみによ…コイツに好きとか、抱いてとか言っても、絶対無理だぜ…こいつは応じないし、女は抱けねえ…さっさと諦めな…」

「え… …」どういう、意味…？

「だが、俺なら、いつでもおまえを抱いてやれる…お前の好きなこの、同じ顔で…同じ声で…同じ身体でな…希望の体位、あるんならその通りやってやるよ…まだまだ子供っぽいところもあるが、胸でけえしな… ほら、もっかいやらせろ、」

「あっ…やあ！！」
油断した… 再び、大きな手で胸をつかまれた…
嘘だ…何、この男… 

　　　　　パシ…！！

響く、こ気味良い肌を打つ、音…
初めて人を叩いた…  
しかも、大好きな藤崎さんの頬を打ってしまったことに、憤りを覚える…

「いってーー… てめえ、やりやがったな…」
男がギロリと私を見下ろし、睨んでくる…

「あんた、さいってい…！」
私も負けじと、睨み返す。

「…ちっ…んだよ、おまえ…こいつの前では猫被ってんのかよ…気のつええ女だな…もういい。今日はこの辺で…とにかくよ、そういうことだから…俺に抱かれたくなったら、こいつの耳元で、シュウって甘い声で囁きな…そしたらすぐに出てきて、おまえをめちゃくちゃに抱いて、いい声で泣かせてやる……くくっ…じゃあな…」

「え…！？ちょっ…待っ… ！！　」

いきなりガクンと…膝を折るかのようにして、崩れ落ちる男…藤崎さん…

「あ…！！」

慌てて、必死に支える…

「… あれ… 井上、さん…      え…俺… … 」

腕の中に…
不安そうに私を見上げる藤崎さんがいた…。