【完結】別れの形

もえこ

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幸せを祈って

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つい先日、

2年間付き合っていた恋人と別れた。


理由は、言ってみれば、性の不一致。

私は…言葉をはばからずに言うと、たくさん…したかった。

ぎゅうっと抱きしめて、少し乱暴でもいい…、

前にあなたが冗談のように言ってきたように、
少し怖いけど縛られてもいいから…
あなたの好きなようにしていいから…

あなたが望むままに、抱かれることが、私の願い…

たくさん…たくさん愛されたかった…
あなたが好きだから…
あなたの肌にたくさん…触れたかった。

でも、そんなこと、
女の私から、言えるはずもない。


最初は違った。

私を手に入れるまで…あなたは必死だった。

あの手この手で、そういう場所に連れて行こうと頑張ってた…

私は根負けして…
もちろん私自身も望んで、あなたとひとつになった。

女として求められて…本当に幸せだった。


でも、付き合いが長くなって、いつからか…

あなたは私といること、存在、それ自体に、安らぎを覚え始めた。

好きだ…
本当に好き… 
この前は愛してるって…私をベッドの上で抱きしめながら、小さく口走ったのが聞こえた…。
でもやっぱり、そういう行為はせずに…ただ、抱きしめられるだけで…キスだけで終わった…

今日は久々にあなたに会うから…
泊まる予定だから…
可愛い下着を張り切って身につけて、寝る時間を惜しんで、肌の手入れもしてきたけど、

あなたは手を出そうともしなかった…

私は、泣きそうだった。
あなたに背を向けて、必死に涙を堪えた。


…私は、あなたとは違う…。


ずっと…ずっとずっと、そうだった。


ねえ…今日は…しないの?
今日はただ…添い寝するだけなの?
…そんなこと、
こっちから、聞けるはずもない。

この前初めて、そのことで小さな喧嘩になった…
あまりに自分が惨めで…ベッドの上で裸のまま、
胸が苦しくて泣いてしまった。

あなたは、驚いた。
なんでって、どうしたのって…

…そんな目をして、私をみた。

あなたは私よりずいぶん年上だから…もしかしてそういう欲…力が衰えてるのかもしれない…そんなこと、あることだって…
私だって頭ではわかってはいるけど…いるけど…

私って魅力が…ないのかな…
胸が、もう少し大きければ良かったの…?

こういう場面では、そんなことを考えて自分を責めてしまうのが、やっぱり…女なんだと、思う。

あなたの、驚いた目…

もしかして、女だから性欲がないって思ってた…?
普段、大人しいタイプだからって、性欲がないわけじゃないのに…


ただ…好きな人に、抱かれたい…

体を、くっつけたい…

    それが、おかしなことかな…




















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