20 / 38
あの子
しおりを挟む
午後2時50分…
もうすぐパートが終わる。
仕事をやめたくなる時もあるが、可愛いあの子がいるから頑張れる。
私は彼を盗み見た。
笑顔が可愛くて、懐っこい彼…
少しちゃらちゃらした見た目ではあるが、仕事はきちんとしている。
顔立ちは整っていて、パート仲間の間でも評判が良い。
服やバッグをプレゼントしたり、
食事やお茶を何度もご馳走しているのに、なかなかそういう関係には進展しない。
一回り上の、30代女は、嫌なのだろうか…
私はいつでもOKな状態にボディーを整えているのに残念でならない。
今日こそ…こちらから誘ってみようか…
夫が不倫したくらいだ…
仮に私がこの子とどうなったって、たとえ…バレたところで…
夫に私を責める権利などない。
責められたら、ただ一言、言えばいい…
たった一言二言で、済む。
『あなたが先に私を裏切った。なのにあなたが、同じことをした私を責められるの?』
夫婦間においての不倫は先にした方が負けなのだ…
夫は何も気付いていないようだが、私は労せずして、最高の免罪符を得た…
内容証明が届いた後から、
夏木からの慰謝料の支払いは、私の口座に順調になされている。
分割ではあるが、毎月結構な額が振り込まれる。
毎月の臨時収入…小遣いがもらえているようなもので、嬉しい気持ちになる。
夫には、ああ言ったものの、実はお金の出所などどうでも良かった。
とにかく家計から出ていなければそれで良かった。
たとえ、旦那の溜め込んだへそくりが夏木に流れ、そこから私に支払われていたとしても、家の財布に影響がなければ、私は全く構わない。
なにせ、300万円の大金だ。
仕事をしているとはいえ、20代の小娘に簡単に支払える額ではない。
きっと夫が絡んでいるのだろう…
だがもはやどうでもいい…。
「ねえ、悟君…今日暇だったら仕事の後にお茶しない…?」
今日は攻めてみよう…ううん、今日こそは仕掛けてみよう。
お金ならある…彼が前に欲しがっていた上着も余裕で買ってあげられる…
「ああ、いいっすね、ちょっと腹も減ったんで俺、飯も食っちゃうかもです」
「決まりね…じゃあ、いつもの店で4時半に…」
「うい~~っす!」彼がウインクをしてくる。
夫にはない明るさ…軽い物言いになぜだかホッとする…
ないものねだりだろうかと思いながらも、
私ははやる気持ちを抑えて、鼻歌を歌いながら、売り場の陳列を続けた。
もうすぐパートが終わる。
仕事をやめたくなる時もあるが、可愛いあの子がいるから頑張れる。
私は彼を盗み見た。
笑顔が可愛くて、懐っこい彼…
少しちゃらちゃらした見た目ではあるが、仕事はきちんとしている。
顔立ちは整っていて、パート仲間の間でも評判が良い。
服やバッグをプレゼントしたり、
食事やお茶を何度もご馳走しているのに、なかなかそういう関係には進展しない。
一回り上の、30代女は、嫌なのだろうか…
私はいつでもOKな状態にボディーを整えているのに残念でならない。
今日こそ…こちらから誘ってみようか…
夫が不倫したくらいだ…
仮に私がこの子とどうなったって、たとえ…バレたところで…
夫に私を責める権利などない。
責められたら、ただ一言、言えばいい…
たった一言二言で、済む。
『あなたが先に私を裏切った。なのにあなたが、同じことをした私を責められるの?』
夫婦間においての不倫は先にした方が負けなのだ…
夫は何も気付いていないようだが、私は労せずして、最高の免罪符を得た…
内容証明が届いた後から、
夏木からの慰謝料の支払いは、私の口座に順調になされている。
分割ではあるが、毎月結構な額が振り込まれる。
毎月の臨時収入…小遣いがもらえているようなもので、嬉しい気持ちになる。
夫には、ああ言ったものの、実はお金の出所などどうでも良かった。
とにかく家計から出ていなければそれで良かった。
たとえ、旦那の溜め込んだへそくりが夏木に流れ、そこから私に支払われていたとしても、家の財布に影響がなければ、私は全く構わない。
なにせ、300万円の大金だ。
仕事をしているとはいえ、20代の小娘に簡単に支払える額ではない。
きっと夫が絡んでいるのだろう…
だがもはやどうでもいい…。
「ねえ、悟君…今日暇だったら仕事の後にお茶しない…?」
今日は攻めてみよう…ううん、今日こそは仕掛けてみよう。
お金ならある…彼が前に欲しがっていた上着も余裕で買ってあげられる…
「ああ、いいっすね、ちょっと腹も減ったんで俺、飯も食っちゃうかもです」
「決まりね…じゃあ、いつもの店で4時半に…」
「うい~~っす!」彼がウインクをしてくる。
夫にはない明るさ…軽い物言いになぜだかホッとする…
ないものねだりだろうかと思いながらも、
私ははやる気持ちを抑えて、鼻歌を歌いながら、売り場の陳列を続けた。
0
こちらの作品は、ホラー・ミステリー大賞に応募中です。応援いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説


百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる