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直美
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「奥様、どうぞ内容をご確認ください。」
「ええ…あの…専門用語が難しくてよく分からないんですけど、要は相手に、これくらいの額を請求しますってことですよね?」
「そうです。慰謝料の相場は大体決まっています。離婚を伴うか否かによっても額が変わってきますが、奥様は現段階でご主人と別れるおつもりはないとのことでしたので、それを考慮した額をそこに記載しています。ただ、あくまで奥様の請求です。何かあれば遠慮なく仰ってください。」
男が私を真っ直ぐに見つめる。
なかなか信頼できそうな男を見つけることができてよかった。
ただ私は、どうしても記載されていた額が気に入らなかった。こんなにも低額…?
本当にこれで良いのか…
悪いことをしたのは間違いなく向こうなのに、これでは、あまりに…
数年間続く夫の裏切り…若い女との不倫。
それに気付いた時の衝撃と、気付いていながらも普通の態度で生活を維持してきた私の忍耐…。
私の長年の精神的苦痛は、こんなものではない…
たとえ今、愛情が消え去っていたとしても…。
可愛いあの子とのデート費用も少しはここから捻出したい…。
そういえば冬の上着が欲しいと言っていた…
夫が先に不倫しているのだ…こっちも似たようなことをしたってバチは当たらない。
「あの…少し…もう少しだけ…女への請求額をあげることはできませんか。気持ちの問題なんですが…なんだか悔しくて…」
「なるほど…奥様のお気持ち、お察しします。では100万円程上乗せしましょう…後はこちらにお任せください。」
夫め… 思い知ればいい。
週に一度は必ずあの女の元へ行っているのはわかっている…証拠も揃いつつある。
こちらには敏腕な弁護士だっている。
私は笑いそうになるの堪えながら、
夕飯のカレーをぐるりとかき混ぜた。
「ええ…あの…専門用語が難しくてよく分からないんですけど、要は相手に、これくらいの額を請求しますってことですよね?」
「そうです。慰謝料の相場は大体決まっています。離婚を伴うか否かによっても額が変わってきますが、奥様は現段階でご主人と別れるおつもりはないとのことでしたので、それを考慮した額をそこに記載しています。ただ、あくまで奥様の請求です。何かあれば遠慮なく仰ってください。」
男が私を真っ直ぐに見つめる。
なかなか信頼できそうな男を見つけることができてよかった。
ただ私は、どうしても記載されていた額が気に入らなかった。こんなにも低額…?
本当にこれで良いのか…
悪いことをしたのは間違いなく向こうなのに、これでは、あまりに…
数年間続く夫の裏切り…若い女との不倫。
それに気付いた時の衝撃と、気付いていながらも普通の態度で生活を維持してきた私の忍耐…。
私の長年の精神的苦痛は、こんなものではない…
たとえ今、愛情が消え去っていたとしても…。
可愛いあの子とのデート費用も少しはここから捻出したい…。
そういえば冬の上着が欲しいと言っていた…
夫が先に不倫しているのだ…こっちも似たようなことをしたってバチは当たらない。
「あの…少し…もう少しだけ…女への請求額をあげることはできませんか。気持ちの問題なんですが…なんだか悔しくて…」
「なるほど…奥様のお気持ち、お察しします。では100万円程上乗せしましょう…後はこちらにお任せください。」
夫め… 思い知ればいい。
週に一度は必ずあの女の元へ行っているのはわかっている…証拠も揃いつつある。
こちらには敏腕な弁護士だっている。
私は笑いそうになるの堪えながら、
夕飯のカレーをぐるりとかき混ぜた。
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こちらの作品は、ホラー・ミステリー大賞に応募中です。応援いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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