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ドライ

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俺は…彼女のつむじを見つめながら、彼女に声を掛ける。
  「そろそろ、行くかな」
  「…はい 」
俺は彼女の下からすっと腕を引き抜く… 

彼女は素直で、とても聞き分けが良い

俺がベッドを抜け出す時
身支度を済ませ、ドアを開けマンションを出て行く時…一切、俺を引き留めることがない。
ただの一度も。

彼女が積極的だったのはあの酔いに任せて俺に迫った忘年会の時、あの時だけ…
それと、俺との…行為の最中だけ。

それ以外は、いつもドライな彼女。

妻の話を聞いてきたこともないし、クリスマスなど、そんな恋人たちのイベントに一緒にいたいなどとワガママを言ってきたこともない。

俺は着替えを済ませ、彼女を振り返る。
そんな俺のそばに寄ってくることもなく、ベッドの中からただ真っすぐに俺を見つめてくる彼女。

「じゃあ、また連絡するよ…おやすみ」
「はい…また… おやすみなさい」

  もう少し… 
  
   もう少しだけ、俺は…

    君と 一緒に居たい…
   
もう一度、君にキスしたい。
君を抱き締めたい… 

  俺の立場からは、言いたいけど、

   そんなこと
     絶対に、言えない…

  
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