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きっかけ

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あれは数年前…
職場で年末最後の日に行われた忘年会。

仕事納めの気の緩みからか、酔っ払いが数人続出する事態となった。

彼女も例外ではなく、店の前で解散した後、彼女は隣の若い男の肩に触れそうになるくらいよろよろと身体を揺らしていた。

「わっ…大丈夫っすか…?…先輩…」
その若い男が、彼女を支える。
あの、やたらデカい男…名前、なんだったかな…そうだ、営業の宮城くんだ。

「は、い…だいじょーぶ… …あ、タクシー乗るんで…私…もう帰ります 皆さん、失礼します~ あっ…」
彼女が、再びその男にしな垂れかかるようによろめく。

もう、見ていられない
どれだけ隙があるんだ…
あんなにふらふらして…男に、襲ってくれと言っているようなものだ…

「あの、俺が一緒にっ…」
宮城が言おうとしたところに、俺が言葉を被せる。
「俺が行く…俺は彼女の家の近所だから、俺が責任をもって送るよ。だから君はもう帰りなさい。お疲れ様」

「…では、…    お願いします…」
頭を軽く下げたものの、男の視線が…少し鋭いような気がしたのは気のせいだろうか… 

だが、こんなケースでは、男が送り狼にならないとも限らない。
俺の判断は正しいはずだ…

俺は自分自身をそんな風に納得させて、彼女と一緒にタクシーに乗り込み、店を後にした。





 
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