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恋は盲目
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翌週からの瑞樹の残りの研修1週間、俺はおとなしく瑞樹を見守った。
学校でからかうこともなく、絡むこともなく、本当に静かに。
一度、瑞樹を手に入れた…
その気持ちの余裕が、俺をある意味、冷静にしたのかもしれない。
ただ…俺は完全に忘れていた…瑞樹に夢中になり過ぎて、あの男のことを…。
…加藤だ。
「おい…須賀…おまえちょっと…ツラ貸せよ…」加藤が放課後、俺の席の横に立つ。
目が…完全に座っている…
このまえ無理矢理に加藤にキスされた後も…俺は、変に意識していると思われたくなくて、学校で会った時も、普通に奴と接していた…。ここ数日間、本当にごく普通に…。
まあ正直に言うと…瑞樹に、気持ちが集中しすぎていたのだ。
男にキスをされるなんて人生で本当に初めてで…俺の歴史上、衝撃な出来事だったけど…加藤には悪いがそのことが頭から綺麗に消え去るくらいに…俺は瑞樹に集中していた。
「あ…あ、わかった…」加藤に告白されたにも関わらず、あまりに…ないがしろにし過ぎたのかもしれない…
同じ男に告った加藤からしたら、しびれを切らすのも当然かもしれない…
早く結論言えよ…って、そう…思ったのかもしれない…加藤の表情からして、少なくとも俺はそう思った。
帰り道、二人でよく行くファーストフードの店に立ち寄る。
俺はポテトとアイスコーヒー、加藤は珈琲のみを注文し、端っこの席に座る。
「…で…?おまえ、今…日向先生と、どうなってんの…?」加藤が直球で、しかも真顔で…聞いてくる。
もう…やっちゃいました…裸にして滅茶苦茶に…風呂で、前から、後ろから…貫いて…可愛く泣かせました…
…なんて、さすがに言える筈もない…
「あ…あ、まあ、告白したよ…まあ、返事待ちって言うか…ある意味OK貰ったっていうか…そんなところだけど…すまん…おまえになんも話せてなくて…落ち着いてからって思ってさ…」
「…へえ…じゃ、俺とは…無理って…そういう、回答…?」
心なしか、怒って見える加藤…でも、そういうことになる…そもそも俺は、男が好きなんじゃなくって、瑞樹…瑞樹自身がいいって思っただけ…なんだから。
「…ごめん…うん、そうなる…おまえとは無理だ…俺、瑞樹…先生が好きなんだ…。あいつだけが、欲しいんだ…ごめんな加藤…」
「ふーん…そっか…お前の先生に対する気持ちさ、一時の気の迷いなんじゃないかって期待してたけど…無理…みたいだな…
はぁ…なんか俺…疲れたわ…恋愛ってさ…なんかこう、疲れんのな…。
あーあ…なんで俺、おまえみたいなでけえ男…好きになっちまったんだろ…おまえみたいな、男男した、男…なんで、抱きたいって…組み伏せたいって…思っちまうんだろう…はあぁ…」
加藤が、まるで独り言のように呟く…なんてことを、俺を目の前にして言うんだ…組み伏せたい…だと…?
「ごめん…うん、無理だ…それは…ごめん…」俺は加藤を直視しないように、下を見て呟く…。
「ん…おまえの気持ちはよくわかったよ…でもさ…俺、お前の味方だから…なんかあったらいつでも連絡して…」
そう言って、加藤は珈琲を半分以上残して帰っていった。
恋は盲目って本当だな…
マジで、俺のどこがいいんだ…
まるでひとごとのように、
そう思った瞬間だった。
学校でからかうこともなく、絡むこともなく、本当に静かに。
一度、瑞樹を手に入れた…
その気持ちの余裕が、俺をある意味、冷静にしたのかもしれない。
ただ…俺は完全に忘れていた…瑞樹に夢中になり過ぎて、あの男のことを…。
…加藤だ。
「おい…須賀…おまえちょっと…ツラ貸せよ…」加藤が放課後、俺の席の横に立つ。
目が…完全に座っている…
このまえ無理矢理に加藤にキスされた後も…俺は、変に意識していると思われたくなくて、学校で会った時も、普通に奴と接していた…。ここ数日間、本当にごく普通に…。
まあ正直に言うと…瑞樹に、気持ちが集中しすぎていたのだ。
男にキスをされるなんて人生で本当に初めてで…俺の歴史上、衝撃な出来事だったけど…加藤には悪いがそのことが頭から綺麗に消え去るくらいに…俺は瑞樹に集中していた。
「あ…あ、わかった…」加藤に告白されたにも関わらず、あまりに…ないがしろにし過ぎたのかもしれない…
同じ男に告った加藤からしたら、しびれを切らすのも当然かもしれない…
早く結論言えよ…って、そう…思ったのかもしれない…加藤の表情からして、少なくとも俺はそう思った。
帰り道、二人でよく行くファーストフードの店に立ち寄る。
俺はポテトとアイスコーヒー、加藤は珈琲のみを注文し、端っこの席に座る。
「…で…?おまえ、今…日向先生と、どうなってんの…?」加藤が直球で、しかも真顔で…聞いてくる。
もう…やっちゃいました…裸にして滅茶苦茶に…風呂で、前から、後ろから…貫いて…可愛く泣かせました…
…なんて、さすがに言える筈もない…
「あ…あ、まあ、告白したよ…まあ、返事待ちって言うか…ある意味OK貰ったっていうか…そんなところだけど…すまん…おまえになんも話せてなくて…落ち着いてからって思ってさ…」
「…へえ…じゃ、俺とは…無理って…そういう、回答…?」
心なしか、怒って見える加藤…でも、そういうことになる…そもそも俺は、男が好きなんじゃなくって、瑞樹…瑞樹自身がいいって思っただけ…なんだから。
「…ごめん…うん、そうなる…おまえとは無理だ…俺、瑞樹…先生が好きなんだ…。あいつだけが、欲しいんだ…ごめんな加藤…」
「ふーん…そっか…お前の先生に対する気持ちさ、一時の気の迷いなんじゃないかって期待してたけど…無理…みたいだな…
はぁ…なんか俺…疲れたわ…恋愛ってさ…なんかこう、疲れんのな…。
あーあ…なんで俺、おまえみたいなでけえ男…好きになっちまったんだろ…おまえみたいな、男男した、男…なんで、抱きたいって…組み伏せたいって…思っちまうんだろう…はあぁ…」
加藤が、まるで独り言のように呟く…なんてことを、俺を目の前にして言うんだ…組み伏せたい…だと…?
「ごめん…うん、無理だ…それは…ごめん…」俺は加藤を直視しないように、下を見て呟く…。
「ん…おまえの気持ちはよくわかったよ…でもさ…俺、お前の味方だから…なんかあったらいつでも連絡して…」
そう言って、加藤は珈琲を半分以上残して帰っていった。
恋は盲目って本当だな…
マジで、俺のどこがいいんだ…
まるでひとごとのように、
そう思った瞬間だった。
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