【完結・BL】泣いている君が好き(須賀編)

もえこ

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俺たちは、大きな道路沿いにある、一軒のハンバーガーチェーン店に入った。

この店は、無添加を前面に出しているせいか、最近、特に子供のいる家族層に爆発的に人気が出始めている最近テレビで報道されていた店で、店内は確かに、小さな子供を連れた家族層によって大半を占められていた。

奥の2人席が運よく一つだけ開いていたので、俺たちはそこに座ってモーニングセットの到着を待つ。

「なんだか…すごい人だね、僕、実は前からこの店が気になっていて、でも、なかなか行きだせずにいたんだ。家族連れが多いってテレビでも言ってたし…。だから今日はすごく嬉しいな…あ~~早く来ないかな…」
瑞樹が、きらきらした笑顔で俺に説明する。

子供かよ…ったく、本当にコイツってば…20も超えた、いい大人の男には、本当に見えない…。

マジで、周りから見たら俺の方が実は年上に見えてんじゃねえか…?という気もする位だ。

会計の時も、本当にただの俺の気のせい…かもしれないけど、瑞樹が財布出して支払うときに、店員が変な顔で俺の方を見てた気がするし…もしかして、いじめかなんかで年下後輩に払わせてるようにでも、見えちゃったんだろうか…

しかも、このワクワク胸躍らせるような発言をする、コイツのこの態度…。
どこのガキだ…いや、俺より年上の、ちゃんとした先生なんだ…俺は自分にそう言い聞かせる。

「先生…なんか、すげえな…先生って…素直で…ごめんけどマジで、子供みてぇ…」
思わず笑いそうになるのを、なんとか口元を抑えてこらえる。

「え…あ、そうだね…何、はしゃいでんだろう僕…ごめん、なんか…大人なのに…」俺の言葉を聞いて、一気にしょげる瑞樹。

いや…だから…おまえのその…なんでも人が言ったことを真っすぐに受け止める素直さが…可愛いんだって…

あー無自覚な…この純粋な天使のような男…
いや、実はまだこいつの深い性格なんて知らんけど、とりあえず素直で…優しい奴なんだってことだけは、短い期間でも、十分俺に伝わった。

「うん、楽しみだなほんと、でもその…食う前にさ、先生…昨日したこと…なんだけど…」
俺が口ごもると、瑞樹の顔が、それこそ瞬間湯沸かし器のように、白から赤へ…一気に変化する。

おもしれー…瑞樹の可愛い反応を見ながら、続ける。
「昨日、俺とした…アレさ…先生、怒ってたりする…?それともさ…思ったより…良かった…?」

瑞樹が真っ赤な顔でうつむく。
俺の気持ちを伝えるより前に…瑞樹の…気持ちを…昨夜のセックスの感想を、率直に聞いておきたかったのだ。

さあ…隠さずに、本音を聞かせてくれ…俺は瑞樹を真っすぐに見つめた。





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