【完結・BL】泣いている君が好き（須賀編）

お持ち帰り

「…日向…先生、じゃあさ…まとめると、先生はもともと男が好きで…つい最近まで、素敵な彼氏と付き合ってたけど、あの映画の日に…フラれた。んで、わあわあ泣いてた…ってことで、いいんですかね？」

瑞樹は俺に口を押さえられたまま、コクンと頷く。

…全く…予想していなかった展開だった。

瑞樹のこの見た目とおとなしめな雰囲気から、女だったらともかく男ということもあって…たとえば女との恋愛とかとは程遠くて、きっとウブなやつだと…もちろん、セックス なんてしたこともないような奴だと…勝手に思い込んでいた。

俺は完全に…微妙な気持ちというか…イラつき始めていた。

なんとなく自分の中で勝手に、ウブな処女を相手にするような…そんな気持ちでコイツと…接してしまっていたから。

それほどに俺が瑞樹に強引に触れたときの反応がいちいち可愛くて…たまらなかったんだ。

なのにコイツってば…

年上の素敵な彼氏とやらと…付き合ってたっていうんだから、今までイチャイチャしてきてたって、そういうことなんだろう…？

やっぱり相手も…ゲイなんだろうか…？

ってか…もう無理、今、俺の頭ん中だけでぐちゃぐちゃ考えてても仕方ねえ。俺は口を開く。

「…話はまあ、わかりました…結局今、先生は、その素敵な彼氏に振られたばっかで傷心…ってことっすよね…でもまあ、状況としてはフリーなわけですよね…？それなら…」

ハッとして、俺は瑞樹の口から慌てて手を離す。勢いで、瑞樹の口を塞いだままだったことに気付く。

少し苦しかったのか、瑞樹の頬が少しだけ赤く染まっていた…俺を真っ直ぐに見る。
この表情…色気がヤバい…ドクンと…胸が脈打つ。

「あ、すみません…苦しかったですか…？
とにかく、俺の気持ちは…さっき言った通りです。先生、今フリーってんならさ…俺ととりあえず、付き合ってくださいよ…男が好きってんなら…別にいいでしょ?」

瑞樹の重荷にならないように、思いっきり拒否されないように、少し軽めに言ってみる。

「え…いや、でも…須賀くんは生徒だし、僕はまだその彼のこと…あっ、…っていうか、ほら、まだそんないきなり、他の人と…なんて…ね…」
答えながら、突如、遠い目をする瑞樹。そいつを思い出してんのかなんなのか…無性に腹が立つ。

その男って…どんな奴なんだよ…
悪いが俺はこれまで…死ぬほどにモテてきたんだ…
だから、元彼がどんな奴か知らねえが…負ける気がしねえ… 

「…じゃあさ、とりあえず力づくでいくけど、いい…？この前、途中でやめたからさ…俺、かなり欲求不満なんだよね？また、家に、送ってくれるよな…センセイ…」

「やっ…それは…無理だよ…今、説明したよね。まだ…忘れられない人が…」

「…っるさい…」

…もう、今はそいつの話は聞きたくない。

ガタンっ…

俺は椅子から立ち上がり、座ってる瑞樹のそばに近寄り、奴を荷物のように、抱え上げる。
「…えっ！　な、やっ…な、何、やめて、須賀くっ…！」抱き抱えたまま、奴の薄い唇を、有無を言わさず塞ぐ…。

「ん、っんん…や、やめ…んん、んっー…！」

文句を言いたげに開いた唇の隙間から、無理矢理に舌をねじ込んで口内を舐め回す。奴の小さな舌に俺の舌を絡ませ、逃がさないように追い回す。
くちゅくちゅと、わざと音を立てるように、責めまくる。

「ん、あっ…はっ…んん、っ…んん、ふ…」

手と腕を突っぱねて、俺から必死に逃れようとするが小さな身体の瑞樹の抵抗なんて、俺の手にかかれば、子供と同じだ

…もうだめ、逃さない…

意を決して瑞樹に好きだと告白をしたその日に…
他の男と…とか、そんな話、聞きたくはなかった…

そんなことならもう、手加減しねえし…俺の好きなように…こいつを…抱いて…やる…
泣こうが喚こうが、もう、やめはしない…

きっとそういう行為にも…慣れてるってことだろう…その元彼とやらと…今まで、やりまくってるに違いない…俺がこいつの彼氏なら…コイツの妙な色香にやられて…毎日のように抱いてしまうと思うから…。

今夜…瑞樹が…気持ちいいって、もっとしてくれって…女が言ってくるみたいに…こいつに、むせび泣かせてやる…

俺は今日、この小動物を、家に持ち帰ることに…
　　　　　
　　　　　　　　　　　今、勝手に、決めた。

　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく