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熱い珈琲

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俺は瑞樹が出て行ったあと、風呂に入り、ボケっとテレビを見ていた。

時間は8時過ぎ…飯を作る気力もなく、冷凍のパスタを食べてぐだぐたしていたら、突然、

「ピンポーン…」呼び鈴がなる。…なんだ、こんな時間に…
でも、宅配物が再配達とかでこんな時間帯にくることもたまにあるから、俺はさほど気にせず、インターフォンの画面を見に立ち上がる。

「…あ??」…画面を見ると…加藤、だった…。なんでいきなり…?
さっき、って言ってももう30分以上は経つけど…無理矢理俺から電話を切ったような感じで会話を終了していた。
…でもさすがに、直接ここに来るなんてことは…全然、予想してなくて、俺はちょっと、驚く。

通話ボタンを押し、
「…んだよ…加藤、こんな時間に…いきなり…ビビんだろ…。」そう言うと、

「悪い悪い、なんかちょっと、電話で話してて気になってさ、いてもたってもいられなくなって、直接来ちゃったわ…。なあ、ごめんけど、ちょっと入れてくんないか…話もあるし…さ。」と、息を切らしながら加藤が言う。

…明日で良くないか…?なんでわざわざ、こんな時間に俺んちまで押しかけてくんだよ…いきなり来られると、追い返しにくいじゃん…と、俺の内心の声。
それと同時に、わざわざ夜に自転車飛ばしてくるくらいだから、結構大きな、深刻な話かなんか抱えてるのかも知んねえな…と俺はそう考え、自分を納得させる。

「…ああ、わかったよ…でも、もう結構夜遅えし…できたらまあ、手短にしてくれよ…じゃ、入れ…」
ポンと音を立て、1階玄関の開閉ドアが開く。

「サンキュー」加藤がそう言って、ロビーの方に入り画面から消えた。

俺は立ち上がって、本日二度目の珈琲の準備を始める。

加藤は確か、ブラック派だった…
夜だけど、モーニングブレンドにするか…
俺の独断で珈琲カプセルを選んでフォルダにセットする。
プシューっと音を立て、珈琲の良い香りが部屋中に充満してくる。

程なくして、「ピンポン」と、今度は玄関で呼び鈴がなる。

「…ハイハイ…なんの話か知らんが、くだらん話ならすぐに追い出してやる…」俺はそう一人ごとをつぶやきながら、玄関の扉を開ける。

「こんばんは。すまん、須賀…夜にいきなり…、でも、お邪魔しまっす。」

なんか、軽いな…コイツ…。

「いや…いいけどよ…いきなりでびっくりしただけだよ、ま、入れ。珈琲入れてるから…。」

相変わらず、加藤はでかい…イケメン高身長、って最初に紹介した気がするけど、実は俺よりもさらに数センチ高い…んで、俺より少し逞しい筋肉がついてる感じの体系だ。男から見ても、まあ、なかなかイイ線言ってるとは思うが、まあ…それでも俺は、全然負けたとは思ってない。

「さんきゅー。」珈琲を受け取って、奴がカップに口をつける。
コイツは瑞樹のように猫舌じゃなく、平然とした顔で飲んでいる様子が、かなり対照的だ。コイツに瑞樹のような可愛らしさは1パーセントもないな…俺がそんなことを考えながら微笑んで奴を見ていると、加藤が唐突に話を切り出してきた。

「…あのさ…話ってのはさ‥今から思い切って言うけど、おまえ、驚かないで、俺の話を聞いてくれるか…?」

 …?? …知らねえよ… 
俺が驚くかどうかは…おまえの話次第だし…。
…ってか一体何なんだ…その前置き。余計に気になってくる…

「あ…?なんか知らんが、早く話してみろよ。そのために、わざわざ今日きたんだろ?驚くかどうかは、おまえが話してくんなきゃ、わかんないよ。まあ、言えよ、とりあえず、聞いてやるから…」

もしかしたら…女の話か…?それとも、なんか家族の中とかの、人には言いにくい類の…重たい話かな…
俺はそんなことを想像しながら、奴の発言に耳を傾ける。

 加藤が、珈琲カップを机に置いて、こちらを向き直り、ゆっくりと口を開く。

「ああ…じゃあ、思い切って言うよ…実は俺さ…ずっと前から…っていうか高1の時から…」

「…須賀のことが…好き、なんだ…よね」

     …   へ?? …

                                  
   今コイツ…なんつった…??











 
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