【完結・BL】泣いている君が好き（須賀編）

冷めた珈琲

大の大人…とは思えないほどの…泣きじゃくり方…

今だって、コイツのこの泣き顔…可愛くて、どうしようもないけど…なんだかそれ以上…は、今からは…やっぱり駄目な気がした。俺もほんとは、男との…その、やり方…なんて、全然わかんねえし…。

今日はもう…やめだ、やめ…　俺は完全に、戦意を喪失した…

加藤の電話のおかげで…やる気が…一気に、失せた。アイツめ…明日会ったら…ただじゃ置かねえ…。…ってか、なんか話があるみたいに言ってたけど、その話が大した話じゃなかったら…マジで許さん…。

「瑞樹先生…良かったですね、今日はもう、ここで終了です」

俺の言葉に、涙に濡れていた瑞樹が、目に見えて、ホッと表情をほころばせる。「ありがとう…やめてくれて…僕、もう帰ります…」

縛っている衣類を取って渡すと、いそいそと着こむ瑞樹…でも…まだ…震えているようで…ボタンを止める手がブルブル、している。可愛い…キスしたくなる…けど…今日はもう…ダメだ…。

完全に…怯えさせたな…俺はもう、コイツにとって、超、要注意人物。
明日からは一切、必要以上には接触してこない気がする…っていうか、やっぱ…学校に報告される可能性もあるな…もう、そうなったらなったでいいや…俺もある程度、覚悟してコイツにこんなコトしたし…後のことなんて知るか…って気持ちで、身体が動いちまったのは…事実だ…

「…お邪魔、しました…」身支度をして、それだけ…力なく言って、瑞樹は部屋を後にする…。

瑞樹が幸せそうに飲んでいた珈琲カップが…虚しくテーブルに残っていて、俺は深いため息をつく。

どうしていつもいつも俺は…好きな子に、普通に…優しくできないんだろう…