オミナス・ワールド

ひとやま あてる

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第1章 Life in Lacra Village

第5話 異世界生活の夜明け

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 ハジメの部屋で三人とも下を向いてしまっている。

(((やってしまった……)))

 空気が重い。

 レスカはハジメを不用意に刺激してしまい、ハジメはレスカを傷つけてしまい、エスナはハジメに魔法を叩きつけてしまった。 責任の重さで言えばエスナ>ハジメ>レスカの順だろうか。

「ごめんなさい……。 魔法は人に向けるべきじゃなかったのに……」
「あたしもハズメの気持ちも考えずに……」
「……」

 しかしこれは誰が悪いかという話ではない。 いわばコミュニケーション不足から生じた事故だ。

(やばいやばい、女の子を傷つけてしまった……。 それだけはやっちゃいけないのに……!)

 ハジメが顔を上げると、エスナとレスカは未だ地面に体育座りで沈んでいる。

 それにしても、と思う。

(これが人間以外の生き物って考えられないよな……。 傷ついて泣くのも、傷つけられて怒るのも、とても自然な反応だった。 そんな彼女らが俺を騙すような人たちには到底見えない)

「えっと……ごめん、レスカ。 傷つけたのは本当に申し訳ないと思う……。 エスナ……さんがびっくりするのも当然だと思う」

 それに対する返答は理解できない。 ただ理解できないのは言葉だけで、そこへ含まれる声色や表情に嘘は無い──ように見える。

 ハジメに何もかもを見通せるような観察力はない。

 彼女らの内心は単にハジメの機嫌取りをしたいだけかもしれないし、本当は謝罪の気持ちもないのかもしれない。 しかしハジメが受け取った彼女らの感情は本物だった。 人間は言葉では嘘をつけるが、言葉以外では嘘はつけない。 ハジメはそんなことを微かに知ることができた。

「まぁ、俺は怒ってないので気にしないで欲しい。 レスカに関してはなるべく穏便な形で責任は取るつもりだけど……」

 女は殴るな。 親から口すっぱく言われてきたことだ。 その約束を破ってしまったことに、ハジメはひどく心を抉られる。

「お姉ちゃん、ハズメは怒ってないって言ってる気がする」
「言葉は分からないわよ……」
「でも、あたしに対してとっても申し訳なさそうにしてるし、お姉ちゃんに対しても嫌な感情は持ってないと思うよ? 言葉は通じなくても気持ちは通じてると思う」
「そんなこと、分からないわ……。 村の人と一緒で、何を考えているかなんて……」
「……もう!」
「え……!? な、なにするの!」

 レスカが強引にエスナとハジメの手を繋げた。

「仲直り! あたしとも!」

 ハジメはそれぞれの手をエスナとレスカに接続された。 今まで対して女子と接触を持たなかったハジメは言葉を失ってドギマギしてしまう。 それはエスナも同じだったようで、二人して顔を赤くしてしまっている。

「これでおしまい! 」
「でも……」
「ハズメもいいよね!?」
「────?」
「ぬぅー、もどかしいー」

 レスカはハジメの顔面を引っ掴むと、無理矢理にそれを上下に振るわせた。

「ほら、ハズメも良いって言ってる」
「そんな無茶なこと……」
「お姉ちゃんも言ってたでしょ? ハズメが来るって話の時に、家族だって」
「そ、それは……と、友達って言ったのよ」
「だめですー! あたしは家族って聞こえましたー! もうハズメは家族なの!」
「それはこの人に迷惑よ……」
「村長さんにお願いされたんでしょ!」
「それはそうだけど、私は知らない人と一緒なんて本当は……。 男の人だし、レスカも心配で……」
「あたしは家族増えた方がいいー! お姉ちゃんが学校行ってる間とか喋る人いないもんー」

 子供のように──子供らしく床に転がって暴れ回るレスカ。

「それはお姉ちゃんにも責任があるけど……」

 どうしていいか分からなくてエスナが視線を泳がせていると、ハジメと目があった。 二人の視線はまだまだ転がり続けるレスカに向けられた。 そして二人して思わずクスリと笑いが漏れた。

「やだーやだー」
「わかった、わかったから落ち着いて?」
「え、わかった!?」

 途端に動きを止めて目をキラキラさせている。 エスナが了承するまで暴れ続ける腹づもりだったのだろう。 こいつめ、とエスナは思う。

 レスカの一緒にいたいと言う気持ちを姉として裏切りたくはない。  それに、レスカは純粋なだけでなく相手のことをちゃんと見抜く目も持ち合わせている。 レスカがここまで言うのなら、恐らく大丈夫だろう。

「今回だけ、よ? 今みたいに暴れても、今度は甘やかさないからね?」
「はい!」
「返事だけはいいのよね……」
「じゃあハズメ、今から家族だよ!」
「────?」

 ハジメは自分の預かり知らぬところで話が進んでいることを現時点では知らなかった。 ただ、二人がなか良さそうにしている姿は見ればわかるし、暗かった雰囲気がレスカの行動によって霧散してしまったことも理解できた。

 今ここでは、誰も恨みなど抱えていない。 それが分かっただけで、ハジメの全身を固めていた緊張感がスッと和らいだ。

「へっくしょんッ!」
「「!?」」

 気が緩んだためか、寒さからくしゃみがやってきた。 ここまで忘れ去られていたが、エスナから浴びせられた大量の水により室内はびしゃびしゃだ。 もちろんハジメもパンツまで濡れそぼっているし、彼女らに関しても例外ではない。

 ハジメはふと彼女らの体が気になった。 水に濡れたせいで彼女らの体のラインがくっきりと浮き出てしまっている。 エスナは身長の割にはそこまで膨らみは大きくなく、むしろレスカの方が……という感じだ。 その膨らみの先には、当然あるべきものが──。

(──ある! や、やばい……! これは精神衛生上良くない! )

 ハジメは寒さも忘れて熱った頭を振り、別のものに意識を移す。 その様子をエスナが特に訝しげに見ているが、これ以上ハジメがおかしな行動をすればこの雰囲気はぶち壊しだ。 だからこそ、ハジメは勢いでそれを指差した。

「な、なに……?」

 エスナは怯えながらその指差す先を追う。 するとその終着点はエスナの右手の甲で止まっている。

「これ、が珍しいの?」

 ハジメはコクコクと頭を激しく上下させた。

「ハズメも魔法使いたいのかな?」
「分からないけど、まずは着替えない?」
「たしかにー」

 この状態を放置していれば全員風邪を引きかねないし、部屋もカビてしまうだろう。

「お父さんの服がどこかにあったかな」
「お部屋も掃除しないといけないねー」
「ハズメ、待っててね」

 目についた魔導印で精神統一を図ろうとしていたハジメに安寧が訪れた。 あれをずっと晒されていたら、ハジメはどうにかなってしまっていただろう。 がバレたら、速攻で追い出されたに違いない。 間一髪だった。

「これ着ていいよー」

 しばらくグショグショの衣類に耐えていると、レスカが着替えを持って来てくれた。 彼女らとさして変わらないデザインで、麻でできた甚平のようなものの上下セットだ。 肌を通すとややチクチクするが、この村──いや、この世界で上等な衣服など期待できない。 鏡がないため着こなしはレスカに確認してもらう。

「似合ってる!」

 ハジメはそんなことを言われたのだと思い込んで、満足そうに頷いた。 レスカも笑みで返してくれる。

 濡れてしまった衣類や布団などを運びながら、慣れない会話を行なっていく。 エスナからの嫌な視線も無くなった。 ハジメがレスカとはしゃいでいる時は少し心配そうな視線を向けてくるが、恐らくレスカが放っておけない性質なのだろう。

 家の裏に急いで干すべきものを干し、その様子を眺める。 まずは様々なものを観察し、時には二人に追随する形で、ハジメはこの世界での生活様式を学ぶ。

 ここからようやく、ハジメの異国での生活が始まったのだ。


          ▽


「ハズメ、──。 ────?」

 ハジメはレスカに言われるがままに鍬を振り下ろした。 勢いが付きすぎて、ざくりと刺さるだけでなく多くの泥が周囲に散布される。

「あ、ごめん!」
「──。 ──、──?」

 レスカはあまり気にすることなく、根気よく色んなことを教えてくれる。 だってハジメはなにも知らないから。

 ハジメはまるでこの世界に昨日産まれたばかりの赤ちゃんのようだ。 農具の振るい方も、料理の仕方も、ましてやお祈りの方法だって。

 レスカがここまでハジメに良くしてくれるのは、何もできない弟ができたような感覚だろうか。 そう思うとハジメは少し情けなくなってくる。 だからこそ、タダ飯食らいの居候という立場はなるべく早く払拭しなければならない。

(一週間暮らしてみて分かったことだけど、不便だよな……)

 言語は当然そうなのだが、それ以上に生活の至る所に無駄が多すぎてハジメは辟易とする。 現代人からすればあらゆるものは短縮され、削減され、そして最もコンパクトな形で提供されるのだから。

 火を起こすのだって火打ち石だけでなく燃料となる木枝や藁が必要だ。 一つの物事に関して複数の手段を経由しなければならないことが色々と我慢ならない。 とはいえ、エスナとレスカは文句言わずに全部淡々とこなしているのだから恐れ入る。 むしろそこにアジャストできないハジメこそ駄目なのだろう。

(不便といえば、まずこの家の場所がな……)

 エスナとレスカの家は村から大きく外れていた。 周囲には田畑が多いし、森も近い。 田畑の中心に家が建てられているという方が正しい表現かもしれない。 しかし不便さを最も象徴する現象は別にある。

(なんで村人はこうも冷たいんだ……? 徹底的に二人を無視してるし。 まぁそれは俺に対してもなんだけど)

 エスナやレスカは事あるごとに村の中心へ赴いているようだが、村人連中からの接触は無い。 あったとしても、厳しい声を掛けられているくらいなものだ。 そんなに人も多くない村なんだから、助け合うのが当たり前なのでは無いだろうか。

(女二人が村の外れでひたすら労働させられて、そこに文句はないのか……?)

 時々エスナは長時間村を離れることがある。 まだそれが何かはハジメにも分からないが、それで言えばレスカが最も不遇な扱いを受けているかもしれない。 彼女が友達らしき人物と遊んでいたり話しているところなど見たことがないし、暇があれば何かしらの労働に従事しているという有様だ。  そういうわけもあってハジメは家と田んぼと森を行き来するしかしていないし、日々の生活に変化が無い。

「ハズメ、──?」
「おっけー、行きます」

 エスナが居ない時はレスカが率先してハジメを色々な場所へ連れて行ってくれる。 それでも村の方へは連れて行かれたことがない。

 ハジメは毎朝早く起きて朝食ののち畑を耕し、森に入っては薪木になりそうな樹木を伐採し、場合によっては薪割りだってやる。 それを毎日、日が暮れるまで行う。 そこから三人で夕食を摂ったら、チューの木枝歯磨きや整容を行って泥のように眠る。

 ハジメの体には未だアザが多く動かしづらいこともあるが、いつまでも世話になるわけにはいかないので色々教わりながら試行錯誤中だ。 また筋肉痛もなかなか取れやしないので、ハジメは自分の体の弱々しさを呪うばかり。

(二人は寝た、か……)

 エスナとレスカが就寝すれば、ここからようやくハジメの時間だ。 例によって足音を殺しながら部屋、そして家を出る。 行き先は農具を置いてある納屋。 そこで薪割りに浸かっている斧と鍬を取り出すと、それらを抱えて畑のほうへ。 周囲の森が少々不気味だが、ここくらいしか誰かに見られずに動き回れる場所はない。

「よし……。 今日は100回を目標に……」

 ここ数日で始めた、筋トレの一環だ。 まずは長さのある鍬を抱えてそれを振り下ろしながら、目の前で真っ直ぐに止める。 そのまま再度振り上げ、腕を休めずにどこまでできるかの持久力を付ける。 これは単純に筋力を増やしたいという意図から行っているもの。 とはいえ100回連続の振り下ろしなど夢のまた夢なので、できる範囲で数を増やしていく。

「はぁ……はぁ……」

 今日の1回目の記録は連続17回だ。 昨日より1回多い。 たかが1回、されど1回だ。

 鍬は柄の長さがあることで振り下ろして止めた際の負担が大きく、だからこそ体が鍛えられているという実感が得られる。 それを今は100回、一日のノルマを決めて行っているのだ。

「ッ……はァッ……はァッ……」

 上半身裸で地面に横たわって息をつく。 ハジメは最近ようやく汚れることへの忌避感が薄れてきた。 畑作業の初日こそ土が付くだけでも嫌な気分になったが、こうも毎日汚れていると気にもならなくなってくる。 自分以上に汚れるレスカやエスナを見ていれば、自分のそれが恥ずかしいことだという気持ちにもなってくるのだ。

 手洗いもそう。 排泄だってそう。 水があるから汚れを落とせているように感じるが、正直日本の衛生観念で生きていればその全ては無意味なものだ。 であるなら、どれだけ洗ってもある程度が関の山なのだから、逆に気にしないでおこうという境地に達したわけだ。 それでも全く気にしないというわけではなく、気にするハードルを少し上げただけのこと。

「……よし、次だ」

 ハジメは次に斧を持ち上げ、そこから限界が来るまでただひたすらに振るい続けた。 これは筋トレではなく、いわば武器としての扱いを習得する意図によるものだ。 ハジメはこの世界を知らない以上、危険がどこに潜んでいるかは分からない。 だからこそ、いざという時のための手段を抱えておかなければならない。 その考えの結果が、斧を振るうというわけだ。

 あらゆる武術などに心得がないハジメに、決まりきった型などない。 まずは斧をペンの如く軽く扱えるようにならなくては。 横に、縦に、時には斜めに。 漫画などで見た動きを想像して無心で、ただ無心で。 正直これは、誰かに見せられたものではない。 動きも変だし、傍目にはこれから成長があるようにも見えないだろう。 だからこその夜の特訓だ。

(ふぅ……そろそろ終わるか……)

 この特訓も、気づけば四日目だ。 少なくとも三日坊主にはならなかった。 なぜなら、そう──生き抜くという明確な目的があるから。 またエスナやレスカを守りたいという気持ちさえある。

 村内での扱いを鑑みると、彼女らが何か困ったことに陥ったとしても誰も助けてくれはしないだろう。 病気をしても、怪我をしても、誰も手を差し伸べてくれはしない。 そんな線引きがはっきりと見えるハジメである。

(帰れることならさっさと帰りたいところだけど、そこまで帰りたい理由というのも浮かんでこないんだよな……。 これは俺が日本で何も得てこなかったって証明か……)

 帰りたい理由があるとするならば、楽な生活がしたいから、これに尽きると思う。 それ以外の理由は、特に浮かばない。 そうなのだ、ハジメには人生で特別な関係性の人間がいなかったのだ。 だからここで得た縁を切ってまで戻りたいとは思わない。

(ここで生きてると、日本がいかに安全かが分かるんだよな。 自分がいかに恵まれた環境に居たかを思い知らされるな)

 ハジメは背後に気をつけながら我が家へ戻る。 ここが地球ではないどこかだと確信したあの日から、今でさえ完全に気が休まったことはない。 しかし、気を休められるかもしれない居場所はできた。 そこを彼女らにも安心してもらえる場所にしたいと思った。

(日本に居たら俺の人生は無為に終わっていた。 ここに来たのは、何か意味がある)

 そう、信じたい。 こうやって環境が変わらなければ、ハジメ自身変わろうとも思わなかった。 であるならば、ここで変わるべきだろう。 そんなポジティブシンキングとは裏腹に、全身は気怠い疲労感に包まれている。

 ハジメは荷物を返却し、一度家に戻ってから桶に水を汲んで裏庭へ。

「ひゅー……冷てぇええ……!」

 ハジメは小声ではしゃぎながら、全身を水で濡らす。 帰りたい理由が無いと言っていたが、唯一惜しいものが風呂である。 44℃に湯を沸かして、熱々のうちに全身を沈める。 あの至福の時間だけは何としても取り戻したい。 その手段がこの世界にあることをハジメは知っている。

「魔法。 なんて厨二心を刺激する響きなんだ……!」

 ハジメは魔法をその身に受けたその時から、この世界に期待していた。

 魔法が存在する。 その事実だけでハジメの心は踊った。

(何としても欲しい……。 そのためなら何だってやってやる)

 ハジメには明確な目標ができていた。 魔法があれば生活を豊かに出来るし、身を守る手段にだってできるはずだ。

(目標を明確にしておくか)

 言語の習得、これは不可欠。

 身体能力の向上は、日々の労働と特訓で補っていく。 そのためには適切な栄養価を維持した食事が必要だが、獣を狩るならそれなりの肉体能力が必要になってくる。 狩りの経験があるかどうかレスカあたりに聞いておくのが良いだろう。

 そして魔法の習得。 これはエスナに聞くしかない。

(そのためにはエスナと打ち解けないとな……。 あの魔法陣を見てテンション上がって彼女の手に触りまくったのは失敗、というよりセクハラだったな……)

 あんなにドン引きされた視線を受けた経験はハジメのこれまでの人生経験ではない。 場合によっては投獄もあり得た。

(魔法陣があって、魔導書があって、未知広がったこの世界。 テンション上がるなぁ……)

 ハジメは汗を流し終え、家に戻る。

 手拭いが欲しいなどと考えながら、音を立てずに部屋に入り、眠りにつく。

 そんな様子をエスナは声を殺して観察していた。 ハジメが毎晩外に出かけることに関してはエスナが追いかけるわけにはいかないので、未だ理由は不明だ。

(レスカは信用してるようだけど、まだ何か隠してるかもしれないから要警戒よね)

 村長からの指示もあるし、ハジメの出自などをまずは知らねばなるまい。 たまたま夜中にあの場所を歩いていた、というのは無理がある話だ。

 ハジメの話す言語は明らかに異国のものだし、それならこんな辺境までどうやってやってこれるのかという疑問も湧く。 それ以上にハジメは何も知らない様子。 というより、何も知らされず生きてきたと言うべきだろう。 畑作業も料理も、人として最低限生きていくだけの術を持っていない。 それはつまり、ハジメ以外の誰かがそれを担っていたということ。

(彼にはクロカワとかいう家名があるのよね……。 少なくとも町や都市に籍を置くことのできる上級国民には違いがないはず……。 身分を偽るなら家名なんて名乗らないわけだし、どうにもチグハグ……)

 エスナが初めて見た彼の手は綺麗すぎた。 彼が着ていた服も素材の想定が不可能なほどには高級な仕上がりだった。 靴も、衣服も、筋肉のつき方も、肌も、全てが彼女ら最底辺の農民と異なり過ぎている。

(やっぱり村長が言ってた通り、どこかの貴族……?)

 しかし、貴族にありがちな魔法技能は持ち合わせていないようだ。 彼の肌を盗み見たが、目立った場所に魔法陣は形成されていない。 もしかしたら下着の下にある場合もあるので確定はできない。

(それなら私の魔導印に興味を示さないはず……? 分からないわね……)

 未だ言葉の壁が彼らを分けていた。 これによって誤解も溝を深めていく。

 そしてハジメが暮らし始めて1ヶ月が経過しようとした頃、奇妙な人物が村を訪れてきた。
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