31 / 59
4.凛津を取り戻せ!編
30.作戦会議!?
しおりを挟む
「凛津、俺はやっぱりお前が好きだ!」
「ダメっ! 全然ダメ」
有里ねぇが手で大きくバッテンを作る。
「凛津! 好きだーっ!」
「うーん。 もうちょっと優しく?」
「凛津……好きだ」
「なんか違うんだよな~」
そう言いながら有里ねぇはうーんと唸っている。
「じゃあどうすればいいんだよ! てか、そもそもこれなんなんだよ!」
俺は確かさっきまで、有里ねぇと一緒に凛津を取り戻すとかいう話をしていたはずなんだが……
「さっき言ってた『凛津奪還作戦ver.β』の一環だよ?」
「これのどこが!? てか『凛津奪還作戦ver.β』ってなんだよ!」
「だから! 優太が凛津に『凛津悪かったな……俺はお前のこと愛してるぜ!』って言って凛津のハートを取り戻す作戦の事だよ?」
「そんな簡単にいくものなの!? てか、ver.β絶対いらないだろ!」
「いやいや! 絶対いるよ!」
「はぁ……どうせロクでもない理由なんだろうけど、聞いても良い?」
「ふっふっふっ! それは……ズバリ凛津が怒ってる理由は、私と優太がベタベタしてたから!」
そう言いながら有里ねぇはドヤッとした顔で俺を見た。
「は?」
「まだ分からないの!? ベタベタ、ベータベータ、β?」
「ならねぇよ!」
俺は改めて、有里ねぇの『私に任せて』は、やはり当てにならないという事を思い知らされたわけだが
「……ていうかさ、その前に、物事には順序ってものがあるでしょ」
「順序?」
有里ねぇは全くそんなことを考えていなかったのか、キョトンと首を傾げる。
「そう。まずは凛津に昨日の事をちゃんと説明して……って言ってもなんて言えば……」
実際、有里ねぇとキスしたのは本当だしな……。
すると、そんな俺の考えを読んだかのように有里ねぇが
「優太? あのキスは私からしたんだから、優太は気にしなくていいんだよ?」
そう言った。
「……分かった」
とは言うものの、やっぱり俺としては、少しは意識してしまうもので……
俺は真っ赤に染まっているであろう、自分の顔を隠すように有里ねぇから視線を逸らした。
「ん? 優太どうしたの?」
「なっ、なんでもないよ……で、さっきの話の続きだけど」
「うん」
俺は気を取り直して話を続けた。
「まずは昨日のことを凛津に説明する」
「うん」
「それから、横川が本当の彼氏なのかを確認する」
「えっ? 本当の彼氏なんじゃないの?」
「うーん。俺は正直、あの横川って人は彼氏じゃなくて、彼氏役なんじゃないかと思ってる」
「その理由は?」
有里ねぇにそう問われ、俺は昨日のリビングでの出来事を思い返す。
「昨日さ、凛津が……ずっと暗い顔してたんだ」
「それだけ?」
「……うん」
そう……ただそれだけ。
自分がめちゃくちゃな事を言っていることは十分、分かっている。
「……でも、もし凛津が本当に好きな人と一緒にいるんだとしたらあの時、あんな顔はしてなかったんじゃないかなって……」
有里ねぇは俺の話を聞いてから少し間を置いて
「うん……そうだね。凛津は好きな人といる時は、いつもどこか嬉しそうだったから……」
そう答えた。
「優太」
「ん?」
「凛津も優太の事、大好きだと思うよ……だからさ」
そこで有里ねぇは息を吸い込んでから
「絶対! 凛津を取り戻そうね!」
打算など一切混じっていないような、真っ直ぐな瞳でそう言った。
「うん……」
「て事で……そうと決まれば、練習! 練習! 私に続いて! 『凛津、俺はお前が好きだ!』」
「今の話聞いてた!?」
「え?」
有里ねぇは再びキョトンと首を傾げた。
「……」
本当に有里ねぇに任せて大丈夫だろうか。
そんな不安を胸に『凛津奪還作戦ver.β』の幕が上がった。
「ダメっ! 全然ダメ」
有里ねぇが手で大きくバッテンを作る。
「凛津! 好きだーっ!」
「うーん。 もうちょっと優しく?」
「凛津……好きだ」
「なんか違うんだよな~」
そう言いながら有里ねぇはうーんと唸っている。
「じゃあどうすればいいんだよ! てか、そもそもこれなんなんだよ!」
俺は確かさっきまで、有里ねぇと一緒に凛津を取り戻すとかいう話をしていたはずなんだが……
「さっき言ってた『凛津奪還作戦ver.β』の一環だよ?」
「これのどこが!? てか『凛津奪還作戦ver.β』ってなんだよ!」
「だから! 優太が凛津に『凛津悪かったな……俺はお前のこと愛してるぜ!』って言って凛津のハートを取り戻す作戦の事だよ?」
「そんな簡単にいくものなの!? てか、ver.β絶対いらないだろ!」
「いやいや! 絶対いるよ!」
「はぁ……どうせロクでもない理由なんだろうけど、聞いても良い?」
「ふっふっふっ! それは……ズバリ凛津が怒ってる理由は、私と優太がベタベタしてたから!」
そう言いながら有里ねぇはドヤッとした顔で俺を見た。
「は?」
「まだ分からないの!? ベタベタ、ベータベータ、β?」
「ならねぇよ!」
俺は改めて、有里ねぇの『私に任せて』は、やはり当てにならないという事を思い知らされたわけだが
「……ていうかさ、その前に、物事には順序ってものがあるでしょ」
「順序?」
有里ねぇは全くそんなことを考えていなかったのか、キョトンと首を傾げる。
「そう。まずは凛津に昨日の事をちゃんと説明して……って言ってもなんて言えば……」
実際、有里ねぇとキスしたのは本当だしな……。
すると、そんな俺の考えを読んだかのように有里ねぇが
「優太? あのキスは私からしたんだから、優太は気にしなくていいんだよ?」
そう言った。
「……分かった」
とは言うものの、やっぱり俺としては、少しは意識してしまうもので……
俺は真っ赤に染まっているであろう、自分の顔を隠すように有里ねぇから視線を逸らした。
「ん? 優太どうしたの?」
「なっ、なんでもないよ……で、さっきの話の続きだけど」
「うん」
俺は気を取り直して話を続けた。
「まずは昨日のことを凛津に説明する」
「うん」
「それから、横川が本当の彼氏なのかを確認する」
「えっ? 本当の彼氏なんじゃないの?」
「うーん。俺は正直、あの横川って人は彼氏じゃなくて、彼氏役なんじゃないかと思ってる」
「その理由は?」
有里ねぇにそう問われ、俺は昨日のリビングでの出来事を思い返す。
「昨日さ、凛津が……ずっと暗い顔してたんだ」
「それだけ?」
「……うん」
そう……ただそれだけ。
自分がめちゃくちゃな事を言っていることは十分、分かっている。
「……でも、もし凛津が本当に好きな人と一緒にいるんだとしたらあの時、あんな顔はしてなかったんじゃないかなって……」
有里ねぇは俺の話を聞いてから少し間を置いて
「うん……そうだね。凛津は好きな人といる時は、いつもどこか嬉しそうだったから……」
そう答えた。
「優太」
「ん?」
「凛津も優太の事、大好きだと思うよ……だからさ」
そこで有里ねぇは息を吸い込んでから
「絶対! 凛津を取り戻そうね!」
打算など一切混じっていないような、真っ直ぐな瞳でそう言った。
「うん……」
「て事で……そうと決まれば、練習! 練習! 私に続いて! 『凛津、俺はお前が好きだ!』」
「今の話聞いてた!?」
「え?」
有里ねぇは再びキョトンと首を傾げた。
「……」
本当に有里ねぇに任せて大丈夫だろうか。
そんな不安を胸に『凛津奪還作戦ver.β』の幕が上がった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる