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なぜだか気がついたらパンティーになっておりました。
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僕の名前は高野至、高校1年生だ。
自己紹介代わりに、僕の好きな物を紹介したいと思う。
僕の好きな物、それは女性が身に着けている、ある物だ。
ーーそう、すべての男性の夢。
それはパンティー!
クラスメイトには「お前って真面目そうな顔してエロいよね」って言われてしまった。
確かにそうかもしれない。
だって、僕の一番の好みはパンティーの両脇が紐になっているタイプなんだもの。
いわゆる、『紐パン』ていうやつだ。
漫画雑誌の表紙の女の人がこのタイプの水着を着けていると、つい買ってしまう。
近所の大学生のお兄ちゃんには、「大人みたいな趣味してんなぁ」と言われてしまったが、好きな物は好きなのだからしょうがない。
もちろん、僕は実際に女の子と付き合ったことなどない。
パンティーを見せてもらうよう素晴らしいシュチュエーションにいつか巡り会いたいとは思っているけれど、そんな日が来ることがあるのかすらわからない。
僕の周りの友達は、だいたいアニメやマンガやゲームに出てくるかわいい女の子達に夢中だ。
僕も、かわいい女の子はもちろん好きだけど。
でも、どんな女の子でも紐パンさえ穿いていれば多分好きになれてしまうような気がする。
それくらい好きなんだ。
だって、紐パン好きに悪い人はいないと思うから。
そんな、くだらないことばかり考えている高校生の僕が、ある日学校帰りに道にぽっかりと空いた次元の穴に落ちてしまった。
そこから僕の不思議な物語が始まる。
※
※
※
※
※
ーー僕が目覚めたのは、真っ暗な場所だった。
一寸先も見えない闇。
一筋の光が差し込んだ。
それと共に、なんだかとても可愛らしい女の子の声が聞こえてくる。
「今日はどれにしようかしら……うーん、黒じゃあちょっと普通よね……思い切って紫いっちゃおうかしら……」
視界が一転して明るくなる。目の前に、金髪の美少女が現れた。丸っこい青い目に整った鼻に小さな唇。透き通るような白い肌はまるで美しい人形のようだ。
そして、なんとその美少女は何も身に着けていないではないか!!
上も、そして、下も!!!
と、その少女がぼくを持ち上げる。ど、どうなってるんだ……?あ、そんな所にくっ付けるなんて、あ、ああああ……!!
「うん、やっぱり紫は気が引き締まるわ。さぁ、今日もアンドリュー王子殿下やドレイク伯爵の嫌味に耐えなくちゃ。まったく、いつも人を悪者にするんだもの。公爵家の令嬢として、恥ずかしくない態度で挑まなきゃね」
……少しすると、また辺りは真っ暗になってしまった。
いや、真っ暗というよりは薄闇かもしれない。
すこーしだけ見えているかもしれない。
……この美少女のスカートの中が。いや、中身すべてが。
そう。僕はどうやら、この美少女の身に着けているパンティーになってしまったようなのだ。
一体どうしてこうなったのかはわからない。
しかし、時たま触れる温かい肌のぬくもりとドレスのスカートのヒラヒラした感触をしばし楽しむことにした。
うーん……イイ……。
僕が美少女の隠された場所の素敵な感触を楽しんでいると、バタバタという足音と共に男の声が聞こえてきた。
「トリーシア・バレンタイン!貴様、公爵令嬢という身分をかさにきて、昨日私の侍女のロレーナを苛めただろう!今日という今日は許さん!」
「これはアンドリュー王子殿下。御機嫌よう。お言葉ですが、わたくしはロレーナを苛めてなどいなくてよ。何かの間違いではありませんこと?」
「いいや、彼女が大切にしていた母の形見のブローチを貴様が盗って懐に仕舞ったのを見たものがいるのだ!さあ!出してもらおう!」
「言いがかりはお止めになってくださいませ。わたくしは犯人などではございません!」
「まだ言うか、このじゃじゃ馬め。来い。然るべき罰を与えてやる!」
「きゃあ!何をなさいます!」
2人がどこかへ移動し始めた。
トリーシアというらしいこの少女が言っている文句の内容から判断すると、先ほど現れたアンドリュー王子がトリーシアの腕を掴んでどこかへ移動しているようだ。
「離してください!1人で歩けますわ!」
「いいや、離したら逃げるつもりだろう」
「逃げたりなどいたしません。……殿方の脚に敵うわけありませんもの」
2人が立ち止まる。
どうやら外までやってきたようだ。スカートの中にそよ風が入ってくる。
……と、そよ風のせいか、僕は鼻がすごくむず痒くなってきてしまった!
パンティーになったんだから、鼻なんかないだろ!?と思うのだが、痒いものは痒い。手がないから搔くこともできないし。
……あー、出る!
クーッッシュンン!!
どうやったのかよくわからないが、パンティーの僕は大きなくしゃみをしたようだ。
と、僕のくしゃみの勢いで、トリーシアのドレスのスカートが大きく舞い上がってしまった!
ふんわりと舞い上がったスカートの向こうに、びっくりしている男の顔が見えた。
背の高い、ハンサムな赤毛の青年だ。茶色の目が大きく見開かれて、その顔がみるみる紅潮していく。
「きゃあああ!」
トリーシアの悲鳴が響く。
あ、また何も見えなくなった。
スカートが元に戻ったんだろう。
「みっ……見ました……わよね……」
「えっ、あっ、いや……その……。みっ、見てない!何も!紫の紐パンなど、何も見えなかった!」
「なっ……や、やっぱり見えたのじゃありませんか!うぅ……こんな姿を見られるなんて……」
「な、何を泣くことがある!大体、そなたは夜毎男共を寝室に招いているそうではないか。……下着を見られることくらい、慣れっこではないのか?」
「えぇっ!?そんなこと、一体誰が申しましたの!?わたくしはそのような真似をしたことはありません!と、殿方とは手を握ったことすらないのですから」
「なんだと?しかし、確かにロレーナがそう言っていたぞ」
「……嘘だと思うのなら、公爵家の執事に聞いてください。あの者は以前王宮にも勤めたことがあり、国王陛下の信任も厚いです。彼ならば、決してアンドリュー王子殿下に嘘は申しますまい」
「ダグラスのことだな。彼のことは知っている。……そうか、そこまで言うなら、そなたの言うことは誠であろう。……要らぬことを言ってすまなかった。どうやら私はそなたのことを誤解していたようだ。……いろいろと、な……。ロレーナのブローチの件も、再度確認させることとしよう」
「……わかりました。ありがとうございます。……あの……そろそろ、腕を離していただけませんか……恥ずかしい……」
「あっ!すまない……」
2人は少しの間押し黙ってしまった。どうやらトリーシアにかかっていた疑いや誤解が解けたらしい。
それにしてもロレーナっていう侍女、すごい黒そうだなぁ。
アンドリュー王子はそれからどこかへ行ってしまったようだ。
トリーシアはまた歩き出した。
すると、今度は別の男の声が聞こえてきた。
「トリーシア・バレンタイン公爵令嬢!侍女のロレーナが父の形見のペンダントをお主に奪われたと嘆いておったぞ!ここで会ったが100年目!さぁ、ペンダントを返すのだ!」
「言いがかりはお止めになって、ドレイク伯爵!」
おいおい、またかよ!
今度は伯爵のご登場だ。
ロレーナ、父の形見も母の形見もトリーシアに取られたことにしてないか?
「言いがかりなどではない。つい今しがたその話を聞いたばかりなのだ。お主、そのドレスのどこかにペンダントを隠し持っているのだろう!さあ、出せ!」
「なっ……わたくしはペンダントを取ってなどおりません!……それほど仰るのなら、身体検査でもしたらよろしいわ。どうぞ、わたくしが隠し持っていないか思う存分お調べくださいませ」
「なっ……身体……検査だと!馬鹿なことを申すな!」
男の声が上ずっている。
しかし若干の期待に満ちているようにも聞こえる。
「いいえ、あらぬ疑いをかけられたままでは堪りませんわ。さあ、どうぞお調べくださいませ。幸い、ここにはわたくしたち以外いませんもの」
「あ、ああ……」
あ、やっぱりやるんだ。
「まずは、上からですわね。さあ!どうぞお調べくださいまし!」
トリーシアの声は屈辱に震えている。
「……あっ。そんなところにあるわけありませんわ。……それでは下も……お調べになりますか……?」
ごくり。と男が唾を飲む音が聞こえた。
と、視界が明るくなる。
目の前に、これまたハンサムな黒髪の男性が現れた。先ほどの王子よりもずっと年上で、落ち着いた雰囲気のダンディーな中年といっ感じだ。
しかし、今は形のいい黒い瞳は落ち着きを完全に失っていた。
真剣な光を帯びて僕ならぬトリーシアのパンティーを見つめている。
このー、スケベ伯爵!
てか……長いな……まだ見てんのか、この人。
つーか、ペンダント探してるんだろ?こんなところにあるわけあるかーい!!
「……ご、ごほん。確かに持っていないようだな。ロレーナには私から再度確認しておこう」
スケベ伯爵は紐パンを見つめながら言う。
言葉に反して、視線はいまだ僕に釘付けになっているようだ。
と、なんだか急に身体がむず痒くてたまらなくなった。
ドレイク伯爵がやっと視線を外そうとしたその時。
うーん、えいっ!と思わず身体を捻ってしまったのだ。
ーーその瞬間。
ぱらり、とパンティーの紐が解けてしまった!
「きゃあっ!何をなさるの!」
「なっ!私は何もしておらぬ!この紐が勝手に解けたのだ!」
「そんなわけありませんわ!いつもきつーく結んでおりますもの。愛する殿方にだけ、この紐を解いていただきたかったのに……!」
「な、泣いているのか……」
「いけませんこと……?わたくしだって、涙が出ることくらいありますわ……」
「……すまなかった。バレンタイン公爵令嬢。私はどうやら貴女を誤解していたようだな。犯人扱いし、このような恥ずかしい真似をさせてしまい、心より謝罪する」
「……いいのですわ。私から持ちかけたことですし……気にしておりません」
「いいや、よくはない。私は今まで貴女のことを酷い女だと決めつけていた。このような恥じらいを持った女性とは知らなかったのだ……この王国の王族や貴族はほとんど貴女のことを悪者扱いしている。本当の貴女を、皆に知ってもらいたい。さあ、私と一緒に来なさい」
「そんな、ドレイク伯爵……」
「……これからは、2人の時はリヒトと呼んでもよい」
「ええ!?そんな、畏れおおいですわ!」
「何を言う。いつもの調子はどこへ行ったのだ?」
「そ、そんな……リ、リヒト様が急に優しい言葉をかけてくださるんですもの……。わたくしがおかしいとしたら、それはリヒト様のせいですわ……」
……なんだか2人はいい感じになってしまった。
てゆーか、僕が身体を捻ると紐パンがほどけるとは知らなかった。
紐パンが解けて、トリーシアへの誤解も解けちゃったみたいだ。って、一体どんな誤解なんだか……。
トリーシアとドレイク伯爵は、連れ立って王宮の中を歩いていく。珍しい組み合わせに、驚きの声があちこちで上がっている。
と、アンドリュー王子が2人を見つけて歩み寄ってきた!
……どうやら、今度はトリーシアを取り合っているようだ。彼女に対する誤解は解け、奥ゆかしく素敵な女性だという認識に変わったらしい。
紐パンと奥ゆかしさって、関連するものなんだなぁ。
……ま、これも、悪役令嬢をある意味僕が救ったことになるのかもしれないな。
ーー満足感が胸に広がる。
まあパンティーになった僕の胸がどこなのかよくわからないのだが、とにかく何かをやり遂げたような爽快な気分だ。
ふふふ。
そのうちまたかわいいトリーシア令嬢のヒモパンを突然脱がしてビックリさせてやろうと、大きな爽快感と共に密かな楽しみを抱く僕なのだった。
※おわり※
自己紹介代わりに、僕の好きな物を紹介したいと思う。
僕の好きな物、それは女性が身に着けている、ある物だ。
ーーそう、すべての男性の夢。
それはパンティー!
クラスメイトには「お前って真面目そうな顔してエロいよね」って言われてしまった。
確かにそうかもしれない。
だって、僕の一番の好みはパンティーの両脇が紐になっているタイプなんだもの。
いわゆる、『紐パン』ていうやつだ。
漫画雑誌の表紙の女の人がこのタイプの水着を着けていると、つい買ってしまう。
近所の大学生のお兄ちゃんには、「大人みたいな趣味してんなぁ」と言われてしまったが、好きな物は好きなのだからしょうがない。
もちろん、僕は実際に女の子と付き合ったことなどない。
パンティーを見せてもらうよう素晴らしいシュチュエーションにいつか巡り会いたいとは思っているけれど、そんな日が来ることがあるのかすらわからない。
僕の周りの友達は、だいたいアニメやマンガやゲームに出てくるかわいい女の子達に夢中だ。
僕も、かわいい女の子はもちろん好きだけど。
でも、どんな女の子でも紐パンさえ穿いていれば多分好きになれてしまうような気がする。
それくらい好きなんだ。
だって、紐パン好きに悪い人はいないと思うから。
そんな、くだらないことばかり考えている高校生の僕が、ある日学校帰りに道にぽっかりと空いた次元の穴に落ちてしまった。
そこから僕の不思議な物語が始まる。
※
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ーー僕が目覚めたのは、真っ暗な場所だった。
一寸先も見えない闇。
一筋の光が差し込んだ。
それと共に、なんだかとても可愛らしい女の子の声が聞こえてくる。
「今日はどれにしようかしら……うーん、黒じゃあちょっと普通よね……思い切って紫いっちゃおうかしら……」
視界が一転して明るくなる。目の前に、金髪の美少女が現れた。丸っこい青い目に整った鼻に小さな唇。透き通るような白い肌はまるで美しい人形のようだ。
そして、なんとその美少女は何も身に着けていないではないか!!
上も、そして、下も!!!
と、その少女がぼくを持ち上げる。ど、どうなってるんだ……?あ、そんな所にくっ付けるなんて、あ、ああああ……!!
「うん、やっぱり紫は気が引き締まるわ。さぁ、今日もアンドリュー王子殿下やドレイク伯爵の嫌味に耐えなくちゃ。まったく、いつも人を悪者にするんだもの。公爵家の令嬢として、恥ずかしくない態度で挑まなきゃね」
……少しすると、また辺りは真っ暗になってしまった。
いや、真っ暗というよりは薄闇かもしれない。
すこーしだけ見えているかもしれない。
……この美少女のスカートの中が。いや、中身すべてが。
そう。僕はどうやら、この美少女の身に着けているパンティーになってしまったようなのだ。
一体どうしてこうなったのかはわからない。
しかし、時たま触れる温かい肌のぬくもりとドレスのスカートのヒラヒラした感触をしばし楽しむことにした。
うーん……イイ……。
僕が美少女の隠された場所の素敵な感触を楽しんでいると、バタバタという足音と共に男の声が聞こえてきた。
「トリーシア・バレンタイン!貴様、公爵令嬢という身分をかさにきて、昨日私の侍女のロレーナを苛めただろう!今日という今日は許さん!」
「これはアンドリュー王子殿下。御機嫌よう。お言葉ですが、わたくしはロレーナを苛めてなどいなくてよ。何かの間違いではありませんこと?」
「いいや、彼女が大切にしていた母の形見のブローチを貴様が盗って懐に仕舞ったのを見たものがいるのだ!さあ!出してもらおう!」
「言いがかりはお止めになってくださいませ。わたくしは犯人などではございません!」
「まだ言うか、このじゃじゃ馬め。来い。然るべき罰を与えてやる!」
「きゃあ!何をなさいます!」
2人がどこかへ移動し始めた。
トリーシアというらしいこの少女が言っている文句の内容から判断すると、先ほど現れたアンドリュー王子がトリーシアの腕を掴んでどこかへ移動しているようだ。
「離してください!1人で歩けますわ!」
「いいや、離したら逃げるつもりだろう」
「逃げたりなどいたしません。……殿方の脚に敵うわけありませんもの」
2人が立ち止まる。
どうやら外までやってきたようだ。スカートの中にそよ風が入ってくる。
……と、そよ風のせいか、僕は鼻がすごくむず痒くなってきてしまった!
パンティーになったんだから、鼻なんかないだろ!?と思うのだが、痒いものは痒い。手がないから搔くこともできないし。
……あー、出る!
クーッッシュンン!!
どうやったのかよくわからないが、パンティーの僕は大きなくしゃみをしたようだ。
と、僕のくしゃみの勢いで、トリーシアのドレスのスカートが大きく舞い上がってしまった!
ふんわりと舞い上がったスカートの向こうに、びっくりしている男の顔が見えた。
背の高い、ハンサムな赤毛の青年だ。茶色の目が大きく見開かれて、その顔がみるみる紅潮していく。
「きゃあああ!」
トリーシアの悲鳴が響く。
あ、また何も見えなくなった。
スカートが元に戻ったんだろう。
「みっ……見ました……わよね……」
「えっ、あっ、いや……その……。みっ、見てない!何も!紫の紐パンなど、何も見えなかった!」
「なっ……や、やっぱり見えたのじゃありませんか!うぅ……こんな姿を見られるなんて……」
「な、何を泣くことがある!大体、そなたは夜毎男共を寝室に招いているそうではないか。……下着を見られることくらい、慣れっこではないのか?」
「えぇっ!?そんなこと、一体誰が申しましたの!?わたくしはそのような真似をしたことはありません!と、殿方とは手を握ったことすらないのですから」
「なんだと?しかし、確かにロレーナがそう言っていたぞ」
「……嘘だと思うのなら、公爵家の執事に聞いてください。あの者は以前王宮にも勤めたことがあり、国王陛下の信任も厚いです。彼ならば、決してアンドリュー王子殿下に嘘は申しますまい」
「ダグラスのことだな。彼のことは知っている。……そうか、そこまで言うなら、そなたの言うことは誠であろう。……要らぬことを言ってすまなかった。どうやら私はそなたのことを誤解していたようだ。……いろいろと、な……。ロレーナのブローチの件も、再度確認させることとしよう」
「……わかりました。ありがとうございます。……あの……そろそろ、腕を離していただけませんか……恥ずかしい……」
「あっ!すまない……」
2人は少しの間押し黙ってしまった。どうやらトリーシアにかかっていた疑いや誤解が解けたらしい。
それにしてもロレーナっていう侍女、すごい黒そうだなぁ。
アンドリュー王子はそれからどこかへ行ってしまったようだ。
トリーシアはまた歩き出した。
すると、今度は別の男の声が聞こえてきた。
「トリーシア・バレンタイン公爵令嬢!侍女のロレーナが父の形見のペンダントをお主に奪われたと嘆いておったぞ!ここで会ったが100年目!さぁ、ペンダントを返すのだ!」
「言いがかりはお止めになって、ドレイク伯爵!」
おいおい、またかよ!
今度は伯爵のご登場だ。
ロレーナ、父の形見も母の形見もトリーシアに取られたことにしてないか?
「言いがかりなどではない。つい今しがたその話を聞いたばかりなのだ。お主、そのドレスのどこかにペンダントを隠し持っているのだろう!さあ、出せ!」
「なっ……わたくしはペンダントを取ってなどおりません!……それほど仰るのなら、身体検査でもしたらよろしいわ。どうぞ、わたくしが隠し持っていないか思う存分お調べくださいませ」
「なっ……身体……検査だと!馬鹿なことを申すな!」
男の声が上ずっている。
しかし若干の期待に満ちているようにも聞こえる。
「いいえ、あらぬ疑いをかけられたままでは堪りませんわ。さあ、どうぞお調べくださいませ。幸い、ここにはわたくしたち以外いませんもの」
「あ、ああ……」
あ、やっぱりやるんだ。
「まずは、上からですわね。さあ!どうぞお調べくださいまし!」
トリーシアの声は屈辱に震えている。
「……あっ。そんなところにあるわけありませんわ。……それでは下も……お調べになりますか……?」
ごくり。と男が唾を飲む音が聞こえた。
と、視界が明るくなる。
目の前に、これまたハンサムな黒髪の男性が現れた。先ほどの王子よりもずっと年上で、落ち着いた雰囲気のダンディーな中年といっ感じだ。
しかし、今は形のいい黒い瞳は落ち着きを完全に失っていた。
真剣な光を帯びて僕ならぬトリーシアのパンティーを見つめている。
このー、スケベ伯爵!
てか……長いな……まだ見てんのか、この人。
つーか、ペンダント探してるんだろ?こんなところにあるわけあるかーい!!
「……ご、ごほん。確かに持っていないようだな。ロレーナには私から再度確認しておこう」
スケベ伯爵は紐パンを見つめながら言う。
言葉に反して、視線はいまだ僕に釘付けになっているようだ。
と、なんだか急に身体がむず痒くてたまらなくなった。
ドレイク伯爵がやっと視線を外そうとしたその時。
うーん、えいっ!と思わず身体を捻ってしまったのだ。
ーーその瞬間。
ぱらり、とパンティーの紐が解けてしまった!
「きゃあっ!何をなさるの!」
「なっ!私は何もしておらぬ!この紐が勝手に解けたのだ!」
「そんなわけありませんわ!いつもきつーく結んでおりますもの。愛する殿方にだけ、この紐を解いていただきたかったのに……!」
「な、泣いているのか……」
「いけませんこと……?わたくしだって、涙が出ることくらいありますわ……」
「……すまなかった。バレンタイン公爵令嬢。私はどうやら貴女を誤解していたようだな。犯人扱いし、このような恥ずかしい真似をさせてしまい、心より謝罪する」
「……いいのですわ。私から持ちかけたことですし……気にしておりません」
「いいや、よくはない。私は今まで貴女のことを酷い女だと決めつけていた。このような恥じらいを持った女性とは知らなかったのだ……この王国の王族や貴族はほとんど貴女のことを悪者扱いしている。本当の貴女を、皆に知ってもらいたい。さあ、私と一緒に来なさい」
「そんな、ドレイク伯爵……」
「……これからは、2人の時はリヒトと呼んでもよい」
「ええ!?そんな、畏れおおいですわ!」
「何を言う。いつもの調子はどこへ行ったのだ?」
「そ、そんな……リ、リヒト様が急に優しい言葉をかけてくださるんですもの……。わたくしがおかしいとしたら、それはリヒト様のせいですわ……」
……なんだか2人はいい感じになってしまった。
てゆーか、僕が身体を捻ると紐パンがほどけるとは知らなかった。
紐パンが解けて、トリーシアへの誤解も解けちゃったみたいだ。って、一体どんな誤解なんだか……。
トリーシアとドレイク伯爵は、連れ立って王宮の中を歩いていく。珍しい組み合わせに、驚きの声があちこちで上がっている。
と、アンドリュー王子が2人を見つけて歩み寄ってきた!
……どうやら、今度はトリーシアを取り合っているようだ。彼女に対する誤解は解け、奥ゆかしく素敵な女性だという認識に変わったらしい。
紐パンと奥ゆかしさって、関連するものなんだなぁ。
……ま、これも、悪役令嬢をある意味僕が救ったことになるのかもしれないな。
ーー満足感が胸に広がる。
まあパンティーになった僕の胸がどこなのかよくわからないのだが、とにかく何かをやり遂げたような爽快な気分だ。
ふふふ。
そのうちまたかわいいトリーシア令嬢のヒモパンを突然脱がしてビックリさせてやろうと、大きな爽快感と共に密かな楽しみを抱く僕なのだった。
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