Escape from 底辺(EFT)

一条 千種

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第32話 もとには戻れない

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冷や汗をかいている出雲に美桜が、何か買って行けばいいのよと言って先を行こうという。出雲と美桜が商店街を歩いていると、コロッケを中心に様々な揚げ物を打っている店を見つけた。

「あっ、コロッケだ! これ美味しいんだよな!」

美桜の家でも数回はコロッケが出ているので、懐かしい味だと思っていた。出雲は美桜にコロッケを食べようと言うと、美桜はそうねと微笑して言う。

出雲達がコロッケを売っている店に行くと、夕食時や会社が終わる時間帯でもあるので多くの人が商店街を歩いていた。子連れから大人、家族まで幅広く歩いており、夕食の買い物やファストフード店に入って一人で食べている人もいる。

その中で出雲と美桜はくじを引くためと、二人で夕食を食べるためにコロッケ店に並ぶ。そのコロッケ店には五人程度が並んでいるので、二人はそれくらいなら待とうと決めて列に並ぶ。

「あ、このシーフードコロッケやハムコロッケが美味しそうだよ!」

出雲が商品を見ていると美桜が商品が並べられているガラス窓を見て、キャベツが入っている肉キャベコロッケが美味しそうと言った。

「それも美味しそうだね! それを二つにしよう!」

そう決めると、出雲と美桜の番が回ってきた。美桜は店員のお婆さんに肉キャベコロッケを二つ下さいと言った。

「はい。 肉キャベコロッケね。 二つで二百円ね」

そう言われた美桜は、鞄から財布を取り出してその財布から二百円を取り出して渡す。美桜は肉キャベコロッケを受け取ると、美桜は出雲に一個手渡した。出雲はありがとうと言うと、その場で食べ始める。

「いただきまーす!」

出雲はそう言って美桜より先に食べ始めた。出雲は一口食べると、口の中に広がる肉汁と、シャキシャキとしているキャベツの触感がマッチしていて美味しかった。美桜はその美味しそうに食べている出雲を見て、私も早く食べようと思った。

「美味しそうに食べるわね。 私もいただくわ」

そう呟くと美桜はコロッケに巻かれている包装紙を取って、出雲のように一口食べた。すると、肉キャベコロッケの中にある肉とキャベツのハーモニーが素晴らしいと感じていた。

「雫の料理以外にもこんなに感動をするなんて思わなかったわ。 商店街に売っている料理も悪くなさそうね」

そんなことを一人で呟きながら食べていると、出雲が他のも買おうよと美桜に言った。美桜はその言葉を聞くと、そうねと返答をしていた。

「次は何がいいかなー。 あっあそこにあるたこ焼き食べよう!」

出雲は少し離れた場所にあるたこ焼き屋を指さす。美桜は出雲が指さしている先を見ると、そこには最近店舗を構えたと有名になっていた。

「あそこにはいつか行ってみたいと思っていたの! 早く行きましょう!」

美桜が出雲の右手を取って走り出す。出雲は元気な美桜が一番だなと思いながら後に続いていく。美桜がたこ焼き屋の前に行くと、そこには既に多数の列が出来ていた。美桜は人気過ぎよと文句を言うと、出雲に並んで買うわよと言う。

「そうだね! でも、このたこ焼き屋はどうしてこんなに人気なんだろう?」

出雲がそう美桜に聞くと、美桜は目を見開いて出雲に詰め寄った。

「そんなことも知らないの!? このたこ焼き屋は有名な洋食店が初めて出店をしたカジュアルなたこ焼き店で、素材が高級な食材で作っているにも関わらずに値段が安いと最高なのよ!」

美桜が胸を張って言うと、出雲がそうなんだと目を点にしながら聞いていた。美桜は目を点にしていないのと出雲の背中を叩くと、買いに行くわよと出雲に言うと、たこ焼き店の商品が展示されている看板を見た。

「私はこの明太子たこ焼きにするわ! 一パック六個入りだからこれを買いましょう!」

美桜が眼を輝かせて出雲に言うと、出雲に反論をする余地はなかった。出雲はそうだねと賛同をすると、それでいいのよと美桜は喜んでいた。二人は商品を決めると、自分達の順番が回ってくるまで話していた。

「次のお客様どうぞー」

楽しく談笑を二人がしていると、いつの間にか自分達の順番が回ってきていた。出雲は美桜が選んだ明太子たこ焼きを下さいと言うと、はいよと店員の男性から返事が来た。

「楽しみだね! 明太子とたこ焼きの味って何だろう?」

出雲が美桜に聞くと、美桜は食べればわかるわと返事をした。
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