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第42話 美咲の幸せと、幸太の幸せ
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(やっぱり若いってスゲェなぁ……)
チェックアウトを済ませ、大きめの荷物を預けて美咲とともにホテルを後にする幸太は、自分のことながら驚きとともに感嘆を禁じえなかった。
前日、彼は美咲と深夜まで愛し合い、しかもそれだけでは飽き足らず、朝も情熱のまま彼女を求めた。
精神的にはともかく、肉体的には睡眠時間の不足もあって疲れが残っているはずだ。
が、ほとんど疲労感がない。
Take1にさかのぼれば、記憶のうちの自分は、結婚してから急激に性欲が減退し、たまに義務的に訪れる妻との営みは彼にとってときに苦痛と苦悩の種ですらあった。しかも心から楽しめないこともあって、翌朝にはどっとむなしい疲れに襲われるのが常だった。
つまり性欲も体力も、30歳当時の彼は例えば20代前半の頃などと比べるとみじめなほど衰えている。世間的には30歳といえば多くの意味でまだまだ無理が利くものとみなされているが、現実にはそうではなかった。
それは単に肉体の問題ではなく精神面の問題が大きかったのだと幸太は振り返って思う。妻に魅力を感じていない、妻を愛せていない男にとっての夫婦の営みは、一種の拷問と言っていい。鬱々として心にはずみがなければ、体の方もやる気をなくすというものだ。
その意味では、今は18歳の性欲に18歳の体力、しかも目の前にいるのは人生のすべてを懸けてでも愛してゆきたいひとだ。
寝る時間も惜しいくらいに、愛していたい。
(なんというか、鬼が金棒を2本持っているようなものだよな……)
くだらないことを思いぼんやりする幸太以上に、美咲は元気だ。この日もよく晴れ、彼女はホテルから出るなり走り出して、外気を思いきり吸い込み、両腕を上げて大きく伸びをした。
天使を思わせるような、無邪気ではつらつとした姿だ。
「今日もいいお天気! おなかすいたから、早く行こうよー」
腹ごしらえは、中華街だ。
美咲はほとんど好き嫌いがなく、例えば辛いものは幸太よりも強い。
中華料理も、大好きだ。
「そういえばコータは、家でもたまに料理するんだよね。どれくらいやるの?」
「週に2回くらいだよ。年明けてから受験終わるまでは母親にやってもらったけど」
「料理、好きなんだね。得意なのは?」
「カレーかな。スパイスとハーブで無限の組み合わせがあるから、楽しいよ」
「へー、すごいね!」
「美咲は料理するんだっけ?」
「私、ホットケーキなら上手につくれるよ!」
「あっ……」
「あー今バカにしたでしょ!」
美咲は料理が本当に苦手で、これまで何度か挑戦したが、そのたびに食材がむなしく浪費されただけだったらしい。
「いや、別に料理なんてただの趣味なんだから、できなくたっていいじゃん。そんなことより、俺は美咲がおいしそうにご飯食べてくれるだけでうれしいよ。ほら、美咲が幸せなら俺も幸せだから」
「そっか、そうだよね! じゃあ今日もたくさん食べる!」
2日目は、予定に少し余裕がある。
中華料理の口直しに、アップルマンゴーのソフトクリームを食べながら中華街を抜け、山下公園をのんびり散歩する。
元町をぶらぶらし、途中のカフェでひと休み。
迎賓館の前を通り、軽く息を切らしながら階段を上がり、坂を進んでゆくと、突如として雑木林が途切れ、視界が開ける瞬間が訪れる。
「ここ、ずっと来てみたかったの。港の見える丘公園」
展望エリアのベンチに座ると、ベイブリッジや横浜港が正面に映る。
大さん橋などと比べると、ロケーションの点ではやや控えめだが、それでも天気の良さや上り坂を踏みしめてきた快い疲労などあって、すがすがしいばかりの爽快感が感じられた。
「この公園、けっこう有名なの?」
「うん、けっこう有名だと思うよ。あと、私の大好きな歌でも、歌われてるの」
「へー、なんの歌?」
美咲が歌詞を口ずさむと、俺にはその曲がすぐに分かった。
「あぁ、俺、その曲知ってる」
「そう、『秋の気配』の最初で歌ってる公園が、ここなんだよ」
「だから、来てみたかったんだね。美咲、真っ先にここに来たいって言ってたもんね」
「そう。いつか、本当に好きになった人と、一緒に来てみたいって思ってたんだ。お別れの歌なんだけどね」
手をつなぎながら、一緒に続きを歌ったり、大学で入りたいサークルの話などをしているうち、風のにおいが徐々に変わってくる。夜の闇が、まるで東の空に、紺色の絵の具を混ぜ込んでゆくかのようだ。
どうして、どうしてこれほど、美咲とともにある時間は性急に過ぎ去ってしまうのだろう。
「美咲はそしたら、どの曲が一番好きなの?『あなたのすべて』、『秋の気配』、『ラブ・ストーリーは突然に』?」
「全部好き」
「一番は?」
「全部が一番。ほかにも『大好きな君に』でしょ、『Yes-No』でしょ、『キラキラ』でしょ、『伝えたいことがあるんだ』も好き。あと、あまり有名じゃないけど『君との思い出』もすっごくいい曲なんだよ!」
「全部が一番?」
「そう、全部が好きだから、全部が一番だよ!」
園内にはローズガーデンがあり、バラはこの時期まだ見頃ではないが、季節の花が咲いている。ふたりはそうした花の群れごとにしゃがみ込んでは、笑顔を交換した。
近くのアメリカ山公園に移動した頃には、もう夜の帳が下りかかっている。
(楽しかった旅行も、もう終わりか……)
同じことを美咲も感じ、離れがたい思いを味わっているのだろう。
ベンチに並んで座り、街灯の明かりを呆然と眺めていると、美咲がこらえきれないように、問いを発した。
「コータ、さびしい?」
「ん?」
「旅行終わっちゃって、さびしい?」
目を合わせると、瞳がそれと分かるほどに濡れている。
美咲は、互いの気持ちを言葉にして共有したいのだ。
幸太は思いのままを口にした。
「さびしいよ。今日は、さびしい」
「昨日みたいに、くっついて寝られないもんね」
「けど、まだ旅行は終わってないよ」
「そうだね。でも、もうすぐ終わっちゃう」
「終わっても、またすぐに会えるよ」
どれほど自分に言い聞かせたところで、離れるさびしさは埋めがたいだろう。
美咲のさびしさも。
美咲が、さびしそうな表情を見せている。
幸太にはそのことが何よりも悩ましい。
あの日のこと、あの日の面影を、思い出してしまう。
せめて今、彼女にできることはないだろうか。
そう思っていると、まるで幸太の戸惑いがテレパシーで伝わったのか、美咲が想いを言葉にしてくれた。
「コータ」
「うん」
「……キスして」
そのような要求さえも、美咲が口にすると、いじらしく、愛くるしい甘えに思われる。
きっと、愛するひとの唇を感じること以外に、今のこのさびしさから逃れることはできないだろう。
何度か唇を重ね、それでも美咲は、幸太をなお引き止めようとするように、
「お願い、もっと……」
幸太は美咲を体ごと抱き寄せ、口づけを繰り返した。
しかし、幸太には分かっていた。
このようにすればするほど、さらに、さらに恋しさが増して、より切なく、より別れがつらくなるということを。
そのことはもちろん、美咲にも分かっていたはずだ。
だが、そうせずにはいられないふたりだった。
手を握り合い、無言で歩く。
ホテルに預けた荷物を受け取り、駅から電車に乗ると、旅行の疲れと心地よい揺れ、愛するひととともにある多幸感と安心感が、たちまちふたりのまぶたを重くする。
渋谷から乗り換えて、美咲の自宅の最寄り駅で降り、そのまま家の門まで送り届ける。
「楽しかったね」
「うん、ほんとに楽しかった。色々ありがとう。買い物付き合ってくれたり、荷物持ってくれたり、ずっと私のこと大切に守ってくれて」
「そりゃあ美咲のこと、世界で一番、大切に想ってるから」
「えへへ、ありがとう。コータ、さびしいでしょ?」
と、優しい微笑みとともにまたしてもそう聞くのは、美咲自身、さびしさで身を切られるような思いを味わっているからだ。
それと、幸太にさびしいと言ってもらうことで、自分のさびしさをわずかでも満たそうという代償行動なのかもしれない。
「さびしいよ。美咲と離れたくない」
「うふふ、コータは素直だね。一日の最後に、私に言いたいことある?」
これも、美咲の求める答えが幸太には分かる。
彼はそっと美咲を抱き寄せながら、耳元で静かに伝えた。
「美咲、愛してる」
「コータ……ありがとう。私も、愛してる」
美咲を抱き寄せると、首元からかぐわしいバラの香りが匂い立つ。
狂おしいほどに、いとおしい。
彼女を抱く腕の力を緩めるのに、幸太はどれほど苦労したことだろう。
ここで幸太を見送る、と言う美咲をなだめ、玄関の向こうに彼女の姿が吸い込まれゆくのを見届けて、彼はようやく踵を返し、家路に就いた。
幸太には、日々、目標にしていることがある。
毎日を後悔なく、後悔のしようがないほどに大切に生きるということだ。
そしてそれはつまり、美咲の幸せのため、いかに行動できたか、ということでもある。
その意味では、この2日間は彼にとって思い残すことのない期間だった。
美咲を愛しきった、美咲を幸せにできたという、心ゆくばかりの実感がある。
美咲を幸せにする。
それだけを考えて生きてゆこうという、幸太のこのTake2は、これまで悔いなく進んできている。
あとは美咲の幸せと彼の幸せとが、交わったまま、途切れることなく永遠に続いていけばいい。
チェックアウトを済ませ、大きめの荷物を預けて美咲とともにホテルを後にする幸太は、自分のことながら驚きとともに感嘆を禁じえなかった。
前日、彼は美咲と深夜まで愛し合い、しかもそれだけでは飽き足らず、朝も情熱のまま彼女を求めた。
精神的にはともかく、肉体的には睡眠時間の不足もあって疲れが残っているはずだ。
が、ほとんど疲労感がない。
Take1にさかのぼれば、記憶のうちの自分は、結婚してから急激に性欲が減退し、たまに義務的に訪れる妻との営みは彼にとってときに苦痛と苦悩の種ですらあった。しかも心から楽しめないこともあって、翌朝にはどっとむなしい疲れに襲われるのが常だった。
つまり性欲も体力も、30歳当時の彼は例えば20代前半の頃などと比べるとみじめなほど衰えている。世間的には30歳といえば多くの意味でまだまだ無理が利くものとみなされているが、現実にはそうではなかった。
それは単に肉体の問題ではなく精神面の問題が大きかったのだと幸太は振り返って思う。妻に魅力を感じていない、妻を愛せていない男にとっての夫婦の営みは、一種の拷問と言っていい。鬱々として心にはずみがなければ、体の方もやる気をなくすというものだ。
その意味では、今は18歳の性欲に18歳の体力、しかも目の前にいるのは人生のすべてを懸けてでも愛してゆきたいひとだ。
寝る時間も惜しいくらいに、愛していたい。
(なんというか、鬼が金棒を2本持っているようなものだよな……)
くだらないことを思いぼんやりする幸太以上に、美咲は元気だ。この日もよく晴れ、彼女はホテルから出るなり走り出して、外気を思いきり吸い込み、両腕を上げて大きく伸びをした。
天使を思わせるような、無邪気ではつらつとした姿だ。
「今日もいいお天気! おなかすいたから、早く行こうよー」
腹ごしらえは、中華街だ。
美咲はほとんど好き嫌いがなく、例えば辛いものは幸太よりも強い。
中華料理も、大好きだ。
「そういえばコータは、家でもたまに料理するんだよね。どれくらいやるの?」
「週に2回くらいだよ。年明けてから受験終わるまでは母親にやってもらったけど」
「料理、好きなんだね。得意なのは?」
「カレーかな。スパイスとハーブで無限の組み合わせがあるから、楽しいよ」
「へー、すごいね!」
「美咲は料理するんだっけ?」
「私、ホットケーキなら上手につくれるよ!」
「あっ……」
「あー今バカにしたでしょ!」
美咲は料理が本当に苦手で、これまで何度か挑戦したが、そのたびに食材がむなしく浪費されただけだったらしい。
「いや、別に料理なんてただの趣味なんだから、できなくたっていいじゃん。そんなことより、俺は美咲がおいしそうにご飯食べてくれるだけでうれしいよ。ほら、美咲が幸せなら俺も幸せだから」
「そっか、そうだよね! じゃあ今日もたくさん食べる!」
2日目は、予定に少し余裕がある。
中華料理の口直しに、アップルマンゴーのソフトクリームを食べながら中華街を抜け、山下公園をのんびり散歩する。
元町をぶらぶらし、途中のカフェでひと休み。
迎賓館の前を通り、軽く息を切らしながら階段を上がり、坂を進んでゆくと、突如として雑木林が途切れ、視界が開ける瞬間が訪れる。
「ここ、ずっと来てみたかったの。港の見える丘公園」
展望エリアのベンチに座ると、ベイブリッジや横浜港が正面に映る。
大さん橋などと比べると、ロケーションの点ではやや控えめだが、それでも天気の良さや上り坂を踏みしめてきた快い疲労などあって、すがすがしいばかりの爽快感が感じられた。
「この公園、けっこう有名なの?」
「うん、けっこう有名だと思うよ。あと、私の大好きな歌でも、歌われてるの」
「へー、なんの歌?」
美咲が歌詞を口ずさむと、俺にはその曲がすぐに分かった。
「あぁ、俺、その曲知ってる」
「そう、『秋の気配』の最初で歌ってる公園が、ここなんだよ」
「だから、来てみたかったんだね。美咲、真っ先にここに来たいって言ってたもんね」
「そう。いつか、本当に好きになった人と、一緒に来てみたいって思ってたんだ。お別れの歌なんだけどね」
手をつなぎながら、一緒に続きを歌ったり、大学で入りたいサークルの話などをしているうち、風のにおいが徐々に変わってくる。夜の闇が、まるで東の空に、紺色の絵の具を混ぜ込んでゆくかのようだ。
どうして、どうしてこれほど、美咲とともにある時間は性急に過ぎ去ってしまうのだろう。
「美咲はそしたら、どの曲が一番好きなの?『あなたのすべて』、『秋の気配』、『ラブ・ストーリーは突然に』?」
「全部好き」
「一番は?」
「全部が一番。ほかにも『大好きな君に』でしょ、『Yes-No』でしょ、『キラキラ』でしょ、『伝えたいことがあるんだ』も好き。あと、あまり有名じゃないけど『君との思い出』もすっごくいい曲なんだよ!」
「全部が一番?」
「そう、全部が好きだから、全部が一番だよ!」
園内にはローズガーデンがあり、バラはこの時期まだ見頃ではないが、季節の花が咲いている。ふたりはそうした花の群れごとにしゃがみ込んでは、笑顔を交換した。
近くのアメリカ山公園に移動した頃には、もう夜の帳が下りかかっている。
(楽しかった旅行も、もう終わりか……)
同じことを美咲も感じ、離れがたい思いを味わっているのだろう。
ベンチに並んで座り、街灯の明かりを呆然と眺めていると、美咲がこらえきれないように、問いを発した。
「コータ、さびしい?」
「ん?」
「旅行終わっちゃって、さびしい?」
目を合わせると、瞳がそれと分かるほどに濡れている。
美咲は、互いの気持ちを言葉にして共有したいのだ。
幸太は思いのままを口にした。
「さびしいよ。今日は、さびしい」
「昨日みたいに、くっついて寝られないもんね」
「けど、まだ旅行は終わってないよ」
「そうだね。でも、もうすぐ終わっちゃう」
「終わっても、またすぐに会えるよ」
どれほど自分に言い聞かせたところで、離れるさびしさは埋めがたいだろう。
美咲のさびしさも。
美咲が、さびしそうな表情を見せている。
幸太にはそのことが何よりも悩ましい。
あの日のこと、あの日の面影を、思い出してしまう。
せめて今、彼女にできることはないだろうか。
そう思っていると、まるで幸太の戸惑いがテレパシーで伝わったのか、美咲が想いを言葉にしてくれた。
「コータ」
「うん」
「……キスして」
そのような要求さえも、美咲が口にすると、いじらしく、愛くるしい甘えに思われる。
きっと、愛するひとの唇を感じること以外に、今のこのさびしさから逃れることはできないだろう。
何度か唇を重ね、それでも美咲は、幸太をなお引き止めようとするように、
「お願い、もっと……」
幸太は美咲を体ごと抱き寄せ、口づけを繰り返した。
しかし、幸太には分かっていた。
このようにすればするほど、さらに、さらに恋しさが増して、より切なく、より別れがつらくなるということを。
そのことはもちろん、美咲にも分かっていたはずだ。
だが、そうせずにはいられないふたりだった。
手を握り合い、無言で歩く。
ホテルに預けた荷物を受け取り、駅から電車に乗ると、旅行の疲れと心地よい揺れ、愛するひととともにある多幸感と安心感が、たちまちふたりのまぶたを重くする。
渋谷から乗り換えて、美咲の自宅の最寄り駅で降り、そのまま家の門まで送り届ける。
「楽しかったね」
「うん、ほんとに楽しかった。色々ありがとう。買い物付き合ってくれたり、荷物持ってくれたり、ずっと私のこと大切に守ってくれて」
「そりゃあ美咲のこと、世界で一番、大切に想ってるから」
「えへへ、ありがとう。コータ、さびしいでしょ?」
と、優しい微笑みとともにまたしてもそう聞くのは、美咲自身、さびしさで身を切られるような思いを味わっているからだ。
それと、幸太にさびしいと言ってもらうことで、自分のさびしさをわずかでも満たそうという代償行動なのかもしれない。
「さびしいよ。美咲と離れたくない」
「うふふ、コータは素直だね。一日の最後に、私に言いたいことある?」
これも、美咲の求める答えが幸太には分かる。
彼はそっと美咲を抱き寄せながら、耳元で静かに伝えた。
「美咲、愛してる」
「コータ……ありがとう。私も、愛してる」
美咲を抱き寄せると、首元からかぐわしいバラの香りが匂い立つ。
狂おしいほどに、いとおしい。
彼女を抱く腕の力を緩めるのに、幸太はどれほど苦労したことだろう。
ここで幸太を見送る、と言う美咲をなだめ、玄関の向こうに彼女の姿が吸い込まれゆくのを見届けて、彼はようやく踵を返し、家路に就いた。
幸太には、日々、目標にしていることがある。
毎日を後悔なく、後悔のしようがないほどに大切に生きるということだ。
そしてそれはつまり、美咲の幸せのため、いかに行動できたか、ということでもある。
その意味では、この2日間は彼にとって思い残すことのない期間だった。
美咲を愛しきった、美咲を幸せにできたという、心ゆくばかりの実感がある。
美咲を幸せにする。
それだけを考えて生きてゆこうという、幸太のこのTake2は、これまで悔いなく進んできている。
あとは美咲の幸せと彼の幸せとが、交わったまま、途切れることなく永遠に続いていけばいい。
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