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第26章 巨星は墜ち
第26章-⑤ 権謀の渦
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オクシアナ合衆国の大統領職は、1期4年と規定されており、通例として2期を超えて選出されることはない。これは初代大統領のスタンリー・グリフィスが3期目の大統領職を要請されながら固辞したことに由来するもので、これを慣習としたのには、権力の集中と停滞、そして腐敗を防ぐ意味があると解釈されている。
ただ、現大統領アーサー・ブラッドリーは、大規模な国際紛争が進行中であることを理由に、3期目の大統領選に出馬し、続投を果たしている。
したたかな政治家だ。
教国軍による帝国領攻略作戦が予想よりも順調に推移していることと、合衆国軍の進軍が期待をはるかに下回る速度であることを聞いたブラッドリーは、その鋭敏な政治的嗅覚をもってして、この事態を危機ととらえた。何が危機かというと、帝国との戦争に勝てるかどうか、という点ではない。勝敗は、大方見えている。帝国軍は教国のクイーン・エスメラルダに連戦連敗、戦えば必ず負けると言っていいほどに弱い。教国軍は士気も旺盛で、破竹の勢いである。そして合衆国軍は、少なくとも戦場において何ら存在感を発揮できずにいる。何しろ、戦場に到着することすらできないでいるのだ。このまま戦況が推移し、帝国が教国軍の手によって覆されれば、帝国の戦後処理に関して合衆国の発言権は与えられないであろう。そのような事態になれば、彼が目論む4選が危うい。合衆国軍が挙げる戦果、合衆国政府の成果は、すべて彼の再選につながるのだ。
つまり危機とは、端的には教国に対する競争意識と、再選のための野心、そこにある。
この解決のため、彼は対策を首席補佐官のジェラルド・トンプソン、国務長官のウィリアム・シャーマンという左右の側近に諮った。両名はただちに大統領自ら帝都ヴェルダンディを目指し進発することを提言した。大統領の代理人を派遣するのでは、結局、交渉の主導権を教国側に握られるであろう。教国女王と完全に対等に渡り合えるのは、交渉術の点でも、権限の点でも、ブラッドリー大統領本人しかいない。
ブラッドリーは帝都へ赴くことを決意した。
ただ、大きな問題が二つある。
一つ目は、彼自身の肉体に関してである。以前にも説明を加えた通り、彼は若い頃に病気をして、その後遺症が下半身の麻痺というかたちで残っている。日常生活はすべて車椅子を利用しており、長期にわたる移動は本来、難しい。同じ馬車に揺られるのでも、下半身麻痺の者と健常者とでは、負担が違う。だが、これについては乗り切れるだろうと彼自身は思った。
むしろ重大な問題は、大統領夫人マディソンの反対に遭ったことである。マディソンはブラッドリーの後援者の娘で、彼が政界でのし上がれたのも、この妻と義理の父親が持つ政治的経済的影響力によるところが大きい。彼女は評判が立つほどの醜女であり、人々も彼らの婚約を政略結婚だと噂してはばからなかったし、しかもそれは事実であった。実家が大富豪でなければ、彼も狐の化け物のような顔をしたこの女と結婚することはなかったに違いない。もっとも、政略結婚であるだけに、彼女に頭が上がらないのも事実である。
マディソンは夫の帝都行きを知って、口出しせずにはいられない、といった調子で明快に反対意見を述べた。
「あなた、どういうつもりです。まだ戦局がどうなるか分かりませんのに、そのような体で帝国領へ向かうなど。兵士たちの足手まといになるのがおちですよ」
「移動は馬車だし、問題はないよ。教国は女王自ら前線に出て、帝都を陥落させるのも時間の問題だそうだ。私が行かなければ、うまいところを教国に全部持っていかれてしまうよ」
「身の丈に合わぬ野心を抱いて欲をかき、慣れないことに手を出すと身を滅ぼしますよ。教国の女王はよく知りませんが、あなた自身の器量を顧みてごらんなさい」
「国益だよ、国益。私が国益を代表する以上、私がやらねばならないんだ」
「せいぜい足をすくわれないようにするのですね」
強気なファースト・レディとのあいだでこれまで大きなトラブルもなく夫婦関係を継続できたのは、まずは夫の忍耐と自制の賜物であろう。マディソンの実家はブラッドリーの最大の支援者であり、この人物の協力がなければ、彼は再選どころか大統領の座から引きずり降ろされかねない。それを思えば、家庭が彼に与えるストレスも耐え忍ぶことができた。
夫人の反対をやり過ごし、彼はトンプソン補佐官とともに馬車に乗り、首都ブラックリバーを出発した。道中、何よりも気になるのは教国女王の人柄についてである。帝国との国境に近い城塞都市オリスカニー付近に到達した頃、彼は女王と面識のあるトンプソンに尋ねた。
「改めて問うが、教国女王とはどのような人物か」
「一言で言えば、高潔にして誠実、かと」
「ならば、帝国の戦後処理、利害調整に関しても我々に譲歩してくれるかな」
「いえ、寛大ではありますが甘くはないかと。帝国との戦争では、教国側の方がはるかに大きな犠牲を払いましたから、正当な対価は先方も国益を代表して要求してくると考えるべきでしょう」
「なるほど。では帝国の降伏によってもたらされる権益の多くは放棄せざるをえんか。今後、帝国が教国の事実上の従属国となることも避けられないということでもある。だが我々としては、一つ大きな望みがある。クリケットでも、一発逆転の試合の方が面白いだろう」
「一発逆転?」
そのような方策があるのだろうか、とトンプソンは思った。俊秀として名を馳せつつも、彼は政治世界においてはまだまだ中堅程度の経験しか持たない。
しばらく考えたが、合衆国の国益を拡大し、教国を出し抜く方策など思いつかない。
「分からないかね。帝国の民主化だよ」
「あっ」
と、トンプソンは思わず小さく叫んだ。まさに、その手があったではないか。
部下の反応に気分をよくしたブラッドリーは、いかにも策士といった表情で微笑んだ。
「そうだ。帝国が従来の国家社会主義を放棄し、体制を転換するとすれば、かつてのレガリア王室を担ぎ上げて中道化するか、あるいはより民主的な方向へ改革することになる。我々としては後者の方針が採用されるよう働きかける。帝国が民主国家に変容すれば、短期的には教国の庇護下に置かれるとしても、思想的には明らかに合衆国寄りだ。長い目で見れば我が国との連帯を強めていく方向に向かうだろう」
「ご明察です。そうなれば実質的に我が国の影響力を拡大することができるでしょう。目の前の利益にばかり固執すると、道を誤ることになるということです」
「あとは、働きかけの方法だな。民主化を、教国と帝国にどう認めさせるか」
「以前、教国女王は我が国の民主共和思想に理解を示していました。提案すれば、耳を傾けてくれるでしょう」
「ふん、絶対多数の民衆の上に据えられた玉座に座る女王が、どう民主主義を肯定するというのだ。ありえん」
ブラッドリーはたちまち機嫌を害し、馬車の歩みを速めるよう大声で命じた。
もともと、彼は不快でたまらないのだ。軍は彼の期待に応えられず、帝国軍に対し戦果を挙げられていない。彼らが教国軍を凌ぐだけの活躍を見せていれば、大統領である彼がわざわざ帝都まで赴かずともよいのである。
(帝国の戦後処理が一段落したら、早急に軍組織の強化に着手し、対同盟、対王国戦線では必ず教国よりも多く得点できるようにせねばならないな)
揺れの激しくなった馬車のなかで、ブラッドリーは先の先まで見据えて、油断なく権謀をめぐらせている。
ただ、現大統領アーサー・ブラッドリーは、大規模な国際紛争が進行中であることを理由に、3期目の大統領選に出馬し、続投を果たしている。
したたかな政治家だ。
教国軍による帝国領攻略作戦が予想よりも順調に推移していることと、合衆国軍の進軍が期待をはるかに下回る速度であることを聞いたブラッドリーは、その鋭敏な政治的嗅覚をもってして、この事態を危機ととらえた。何が危機かというと、帝国との戦争に勝てるかどうか、という点ではない。勝敗は、大方見えている。帝国軍は教国のクイーン・エスメラルダに連戦連敗、戦えば必ず負けると言っていいほどに弱い。教国軍は士気も旺盛で、破竹の勢いである。そして合衆国軍は、少なくとも戦場において何ら存在感を発揮できずにいる。何しろ、戦場に到着することすらできないでいるのだ。このまま戦況が推移し、帝国が教国軍の手によって覆されれば、帝国の戦後処理に関して合衆国の発言権は与えられないであろう。そのような事態になれば、彼が目論む4選が危うい。合衆国軍が挙げる戦果、合衆国政府の成果は、すべて彼の再選につながるのだ。
つまり危機とは、端的には教国に対する競争意識と、再選のための野心、そこにある。
この解決のため、彼は対策を首席補佐官のジェラルド・トンプソン、国務長官のウィリアム・シャーマンという左右の側近に諮った。両名はただちに大統領自ら帝都ヴェルダンディを目指し進発することを提言した。大統領の代理人を派遣するのでは、結局、交渉の主導権を教国側に握られるであろう。教国女王と完全に対等に渡り合えるのは、交渉術の点でも、権限の点でも、ブラッドリー大統領本人しかいない。
ブラッドリーは帝都へ赴くことを決意した。
ただ、大きな問題が二つある。
一つ目は、彼自身の肉体に関してである。以前にも説明を加えた通り、彼は若い頃に病気をして、その後遺症が下半身の麻痺というかたちで残っている。日常生活はすべて車椅子を利用しており、長期にわたる移動は本来、難しい。同じ馬車に揺られるのでも、下半身麻痺の者と健常者とでは、負担が違う。だが、これについては乗り切れるだろうと彼自身は思った。
むしろ重大な問題は、大統領夫人マディソンの反対に遭ったことである。マディソンはブラッドリーの後援者の娘で、彼が政界でのし上がれたのも、この妻と義理の父親が持つ政治的経済的影響力によるところが大きい。彼女は評判が立つほどの醜女であり、人々も彼らの婚約を政略結婚だと噂してはばからなかったし、しかもそれは事実であった。実家が大富豪でなければ、彼も狐の化け物のような顔をしたこの女と結婚することはなかったに違いない。もっとも、政略結婚であるだけに、彼女に頭が上がらないのも事実である。
マディソンは夫の帝都行きを知って、口出しせずにはいられない、といった調子で明快に反対意見を述べた。
「あなた、どういうつもりです。まだ戦局がどうなるか分かりませんのに、そのような体で帝国領へ向かうなど。兵士たちの足手まといになるのがおちですよ」
「移動は馬車だし、問題はないよ。教国は女王自ら前線に出て、帝都を陥落させるのも時間の問題だそうだ。私が行かなければ、うまいところを教国に全部持っていかれてしまうよ」
「身の丈に合わぬ野心を抱いて欲をかき、慣れないことに手を出すと身を滅ぼしますよ。教国の女王はよく知りませんが、あなた自身の器量を顧みてごらんなさい」
「国益だよ、国益。私が国益を代表する以上、私がやらねばならないんだ」
「せいぜい足をすくわれないようにするのですね」
強気なファースト・レディとのあいだでこれまで大きなトラブルもなく夫婦関係を継続できたのは、まずは夫の忍耐と自制の賜物であろう。マディソンの実家はブラッドリーの最大の支援者であり、この人物の協力がなければ、彼は再選どころか大統領の座から引きずり降ろされかねない。それを思えば、家庭が彼に与えるストレスも耐え忍ぶことができた。
夫人の反対をやり過ごし、彼はトンプソン補佐官とともに馬車に乗り、首都ブラックリバーを出発した。道中、何よりも気になるのは教国女王の人柄についてである。帝国との国境に近い城塞都市オリスカニー付近に到達した頃、彼は女王と面識のあるトンプソンに尋ねた。
「改めて問うが、教国女王とはどのような人物か」
「一言で言えば、高潔にして誠実、かと」
「ならば、帝国の戦後処理、利害調整に関しても我々に譲歩してくれるかな」
「いえ、寛大ではありますが甘くはないかと。帝国との戦争では、教国側の方がはるかに大きな犠牲を払いましたから、正当な対価は先方も国益を代表して要求してくると考えるべきでしょう」
「なるほど。では帝国の降伏によってもたらされる権益の多くは放棄せざるをえんか。今後、帝国が教国の事実上の従属国となることも避けられないということでもある。だが我々としては、一つ大きな望みがある。クリケットでも、一発逆転の試合の方が面白いだろう」
「一発逆転?」
そのような方策があるのだろうか、とトンプソンは思った。俊秀として名を馳せつつも、彼は政治世界においてはまだまだ中堅程度の経験しか持たない。
しばらく考えたが、合衆国の国益を拡大し、教国を出し抜く方策など思いつかない。
「分からないかね。帝国の民主化だよ」
「あっ」
と、トンプソンは思わず小さく叫んだ。まさに、その手があったではないか。
部下の反応に気分をよくしたブラッドリーは、いかにも策士といった表情で微笑んだ。
「そうだ。帝国が従来の国家社会主義を放棄し、体制を転換するとすれば、かつてのレガリア王室を担ぎ上げて中道化するか、あるいはより民主的な方向へ改革することになる。我々としては後者の方針が採用されるよう働きかける。帝国が民主国家に変容すれば、短期的には教国の庇護下に置かれるとしても、思想的には明らかに合衆国寄りだ。長い目で見れば我が国との連帯を強めていく方向に向かうだろう」
「ご明察です。そうなれば実質的に我が国の影響力を拡大することができるでしょう。目の前の利益にばかり固執すると、道を誤ることになるということです」
「あとは、働きかけの方法だな。民主化を、教国と帝国にどう認めさせるか」
「以前、教国女王は我が国の民主共和思想に理解を示していました。提案すれば、耳を傾けてくれるでしょう」
「ふん、絶対多数の民衆の上に据えられた玉座に座る女王が、どう民主主義を肯定するというのだ。ありえん」
ブラッドリーはたちまち機嫌を害し、馬車の歩みを速めるよう大声で命じた。
もともと、彼は不快でたまらないのだ。軍は彼の期待に応えられず、帝国軍に対し戦果を挙げられていない。彼らが教国軍を凌ぐだけの活躍を見せていれば、大統領である彼がわざわざ帝都まで赴かずともよいのである。
(帝国の戦後処理が一段落したら、早急に軍組織の強化に着手し、対同盟、対王国戦線では必ず教国よりも多く得点できるようにせねばならないな)
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