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第18章 平和を求めて
第18章-⑥ いざ往かん
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従来の猛訓練と並行して、遠征軍の編成や兵站準備が急速に進められるなか、クイーンは第三師団のレイナート将軍を呼んだ。
レイナートが呼ばれた部屋には、クイーンの姿がない。が、見回すとその人は窓際に佇んでいた。アクアブルーのドレスと美しき人のその横顔とが背景に映えて、まるで絵に描いたような風情である。
「クイーン、参上しました」
「レイナート将軍、ご足労をおかけしました」
どうぞ、と着席を促した。部屋には、近衛兵がおらず、エミリアも出払っているようであった。室内に男性と二人きりになるというのは非常に珍しいことのはずで、これはクイーンが彼に対してそれだけの信頼を与えていることの証左であろう。
「お呼び立てしたのはほかでもありません。今回の出兵についてです。聞くところによると、将軍は帝国国防軍の第六軍司令官シュマイザー中将をご存じとか」
「直接の面識はありません。ただ、人伝に、その人となりや思考を知り、学びました」
「どのような人物か、将軍がご存じの範囲で、詳しくご教示いただけますか」
「良将です。現在の帝国軍において名将を挙げるとすれば、まずは第二軍のベーム中将、次にこのシュマイザー中将で、第三、第四がツヴァイク、リヒテンシュタインとなるでしょう。それ以外は恐るるに足りません」
「それほどの人物ですか。実は合衆国との国境を守るのがシュマイザー中将であると聞いて、懸念していたのです。今回の出兵は、合衆国軍と軌を一にして南北から進軍し、帝国軍の戦力を分散させることが成否を分ける鍵となりえます。シュマイザー中将が合衆国軍を一手に引き受けて頑張った場合、我が軍に不利に働くと思いまして」
「能力だけを見れば、それくらいのことはやってのける可能性があります」
「では能力以外の点では?」
「ひとつは彼の迷いと誇りです。帝国の将帥の多くが、故メッサーシュミット大将の薫陶を受けている。彼らは帝国の体制やヘルムス総統よりもむしろ、メッサーシュミット将軍に対して、個人的な忠誠心を持っています。シュマイザー中将もそうで、将軍の死後は彼らの鉄のような意志にもほころびが生じているでしょう。堅固な意志があればこそ、能力は十全に発揮される」
「おっしゃる通りです」
「いまひとつ、第六軍の参謀長は、私の恋人の兄です」
「それは初耳でした。今、その恋人の方は」
「私が亡命した直後に、自殺したと聞いています」
はっ、とクイーンは口元をおさえ、みるみる瞳に涙をたたえた。目の前にいるこの男は、この国に亡命した代償として、愛する恋人を永遠に失っていたのである。
一方、レイナートは表情を微動だにもしない。恋人がいたということは、雪解けの氷水のように沈着冷静なこの男にも、人並みの愛情があるという証であろう。愛する人を失う悲哀は、どれほど大きかったか。だが彼はそれを上回る自制心と、そして彼自身の言う意志の力によってその悲しみを封じているらしかった。
「参謀長のウェーバー少将も、誠実で真正直な人物です。彼に働きかければ、内通は難しいでしょうが、第六軍の戦意にわずかでもほころびをもうけることができるかもしれません」
「将軍、しかし」
「えぇ、ウェーバー少将は私を恨んでいるでしょう。しかし誠意を尽くして私が親書を送れば、響くかもしれない。過度な期待は禁物ですが」
「ぜひ、お願いします。将軍のご尽力には、ただただ感謝しています。帝国領の攻略、そして戦後統治にも、さらにお力をお貸しいただくと思いますが、よろしくお願いしますね」
ありがたきお言葉、と短く答えて、レイナートは深く頭を下げた。
彼と入れ違うようにして、第四軍のグティエレス将軍が招かれた。
デュッセルドルフの奇襲戦に始まる対帝国紛争において、彼は海軍と協力し、帝国領西海岸の要所であるブリュール港を制圧して、この方面の海上封鎖に成功した。その対処のため、第一軍と第七軍が帝都へと召還され、前線における帝国軍は弱体化した。これが結果的にキティホークの会戦における勝利につながり、さらに第七軍の帝都駐留は、その隷下にあったユンカースのヒンデンブルク作戦決行という事態も招いている。クイーンを擁する遠征軍が、犠牲は払いつつ国都まで帰還しえた、その影の殊勲者と言うべきが、このグティエレス将軍であろう。
「将軍、ごきげんよう」
「クイーンにもご機嫌麗しく、ご同慶の至りでございます」
「どうぞお掛けください」
次回の出兵では、グティエレスは再び海軍と手を組んで、ブリュールの陥落を目指すこととなる。ブリュールは、帝都ヴェルダンディとはまさに目と鼻の先で、この港を奪われることは、帝国軍にとってはいわば喉元に剣を突きつけられるに等しい。嫌でも一個師団程度の戦力は帝都防衛ないしブリュール奪還のため誘引されることになるであろう。戦力を分散させるという点でも有利であるし、西、南、そして対合衆国戦線となる北東と、三方に敵を抱えることとなる点でも、帝国軍を疲弊させ、作戦心理が消極的になる効果が狙える。
「同盟領からの帰還以来、親しくお話をする機会もないほど、互いに多忙にしておりましたが、改めてお礼を申したいと思います。遠征軍が同盟領から帰還できたのも、将軍の天賦の謀計に帰すべきところです。本当に、ありがとうございます」
「その功はどうか、クイーンご自身と、忠勇なる遠征軍将兵、そして留守を預かった将兵たちに賜りますよう。私はただ、小細工を弄し、帝国軍を相手にいたずらをしたのみにて」
「そのいたずらは、てきめんの効果でした。今回も、将軍の作戦を真似させていただきます。実は将軍にも本軍に加わっていただきたいところではあるのですが、前回の実績もあり、かつ少数の部隊で危地に飛び込み、敵軍を翻弄してその戦力を削ぐといったお働きは、やはり将軍にこそ期待したいと思いました」
「ご期待を裏切ることのないよう、またお預かりした大切な兵を無為に死なせることのないよう、我が能力のすべてを捧げて任務をまっとういたします」
「痛み入ります。ところで」
と、クイーンは本題に入った。
それによれば、現在、教国の政府高官らのあいだで談論風発しているというのが、「戦後の帝国統治について」であるらしい。つまり、作戦を完遂させ、ヘルムス政権を打倒したあとのレガリア帝国、もしくは新レガリア国と言うべき統治機構をどのようにつくるべきかに議論を戦わせているらしい。
危ういことだ、とグティエレスは思った。作戦が発動する前から、高官らは降した敵国の戦後処置について話し合っているのである。恐るべき楽観主義であり、遠征軍が負けるとは毛ほどにも懸念を抱いていないようだ。クイーンの作戦能力、また統率力と指揮力にそれだけの信頼、言い換えれば信仰心を抱いているというのは、一方でクイーンに対して称すべきことではあるが、同時に危機意識の欠落をもたらす。政府の中枢にいる者ならば、むしろ最悪の事態を考えてしかるべきであろう。
クイーンも、その点については憂慮していたらしい。
グティエレスは率直に述べた。
「誠に恐れ多いことですが、クイーンにはひとつ重大な欠点がございます」
「お聞かせいただけますか」
「負ける、というご経験です。将に必要なのは勝利の経験ではなく、敗北の経験なのです。クイーンはご即位に先立つ内乱鎮圧の際も、キティホークにおいても、そして先のトリーゼンベルク一帯の戦いでも、赫々たる戦果を挙げられました。デュッセルドルフでの辛酸は想像に余りありますが、それも帝国軍による卑劣な奇襲によるもので、多くの者は戦いそのものに敗れたとは思っていない。いわば、クイーンは常勝不敗の将であられ、その武名は神々しきばかり。しかし、であるからこそ、誰もクイーンの敗北を想定してはおりません。いずれ、この欠点が致命的な事態を招くことのないよう、願うものでございます」
「将軍の忠誠に感謝します。これからもその見識をお貸しいただければと思います」
その後、作戦の細部すり合わせに移った。第四師団は前回と同様、戦力を半分に分割し、グティエレス将軍自身と、副師団長のアリギエーリ将軍が率いる。
前者は海軍とともにブリュールへと上陸作戦を敢行し、かの地で帝国軍を陽動する。帝国軍が帝都に退き守るなら、進出して通商を妨害する動きを見せ、逆に攻めかけてくるならゲリラ戦術によってその疲労と消耗を誘う。そして窮地に陥れば、海は教国海軍が握っているから、海上へと退避すればよい。
後者は帝国国境に位置するカスティーリャ要塞に入って、ラマルク将軍の指揮下に入る。遠征軍が帝国領内に侵入している以上、カスティーリャ要塞に迫る危険も少ないと思われるが、別動隊を動かして要塞を制圧し、補給線を切断する意図を持たないとも限らない。一定の兵力は、国境守備のため残す必要があろう。
第三師団のレイナート将軍、第四師団のグティエレス将軍、ともに今回の作戦では本軍と別行動をとることになる。特に戦略眼と大局観を持ち合わせた両将軍だが、一方面を任せることになるだけに、事前に入念な意思疎通が必要となる。その意味で、彼らとの会談はクイーンに多くの収穫をもたらしたようであった。
そして年が明けてミネルヴァ暦1398年1月20日、ロンバルディア教国軍は出兵の準備をすべて整え、帝国領攻略作戦を開始した。教国軍における全制式戦力を投入して行われるこの戦いは、恐らくミネルヴァ大陸の歴史においても最も大規模かつ遠大な戦略によって彩られた作戦として人々の記憶と記録に残ることになるであろう。
「戦いを終わらせるための戦い」の始まりと言っていい。
中軍には、教国の王旗が翻り、その下には無論、サファイアブルーのチョハをまとったクイーンの姿がある。
レイナートが呼ばれた部屋には、クイーンの姿がない。が、見回すとその人は窓際に佇んでいた。アクアブルーのドレスと美しき人のその横顔とが背景に映えて、まるで絵に描いたような風情である。
「クイーン、参上しました」
「レイナート将軍、ご足労をおかけしました」
どうぞ、と着席を促した。部屋には、近衛兵がおらず、エミリアも出払っているようであった。室内に男性と二人きりになるというのは非常に珍しいことのはずで、これはクイーンが彼に対してそれだけの信頼を与えていることの証左であろう。
「お呼び立てしたのはほかでもありません。今回の出兵についてです。聞くところによると、将軍は帝国国防軍の第六軍司令官シュマイザー中将をご存じとか」
「直接の面識はありません。ただ、人伝に、その人となりや思考を知り、学びました」
「どのような人物か、将軍がご存じの範囲で、詳しくご教示いただけますか」
「良将です。現在の帝国軍において名将を挙げるとすれば、まずは第二軍のベーム中将、次にこのシュマイザー中将で、第三、第四がツヴァイク、リヒテンシュタインとなるでしょう。それ以外は恐るるに足りません」
「それほどの人物ですか。実は合衆国との国境を守るのがシュマイザー中将であると聞いて、懸念していたのです。今回の出兵は、合衆国軍と軌を一にして南北から進軍し、帝国軍の戦力を分散させることが成否を分ける鍵となりえます。シュマイザー中将が合衆国軍を一手に引き受けて頑張った場合、我が軍に不利に働くと思いまして」
「能力だけを見れば、それくらいのことはやってのける可能性があります」
「では能力以外の点では?」
「ひとつは彼の迷いと誇りです。帝国の将帥の多くが、故メッサーシュミット大将の薫陶を受けている。彼らは帝国の体制やヘルムス総統よりもむしろ、メッサーシュミット将軍に対して、個人的な忠誠心を持っています。シュマイザー中将もそうで、将軍の死後は彼らの鉄のような意志にもほころびが生じているでしょう。堅固な意志があればこそ、能力は十全に発揮される」
「おっしゃる通りです」
「いまひとつ、第六軍の参謀長は、私の恋人の兄です」
「それは初耳でした。今、その恋人の方は」
「私が亡命した直後に、自殺したと聞いています」
はっ、とクイーンは口元をおさえ、みるみる瞳に涙をたたえた。目の前にいるこの男は、この国に亡命した代償として、愛する恋人を永遠に失っていたのである。
一方、レイナートは表情を微動だにもしない。恋人がいたということは、雪解けの氷水のように沈着冷静なこの男にも、人並みの愛情があるという証であろう。愛する人を失う悲哀は、どれほど大きかったか。だが彼はそれを上回る自制心と、そして彼自身の言う意志の力によってその悲しみを封じているらしかった。
「参謀長のウェーバー少将も、誠実で真正直な人物です。彼に働きかければ、内通は難しいでしょうが、第六軍の戦意にわずかでもほころびをもうけることができるかもしれません」
「将軍、しかし」
「えぇ、ウェーバー少将は私を恨んでいるでしょう。しかし誠意を尽くして私が親書を送れば、響くかもしれない。過度な期待は禁物ですが」
「ぜひ、お願いします。将軍のご尽力には、ただただ感謝しています。帝国領の攻略、そして戦後統治にも、さらにお力をお貸しいただくと思いますが、よろしくお願いしますね」
ありがたきお言葉、と短く答えて、レイナートは深く頭を下げた。
彼と入れ違うようにして、第四軍のグティエレス将軍が招かれた。
デュッセルドルフの奇襲戦に始まる対帝国紛争において、彼は海軍と協力し、帝国領西海岸の要所であるブリュール港を制圧して、この方面の海上封鎖に成功した。その対処のため、第一軍と第七軍が帝都へと召還され、前線における帝国軍は弱体化した。これが結果的にキティホークの会戦における勝利につながり、さらに第七軍の帝都駐留は、その隷下にあったユンカースのヒンデンブルク作戦決行という事態も招いている。クイーンを擁する遠征軍が、犠牲は払いつつ国都まで帰還しえた、その影の殊勲者と言うべきが、このグティエレス将軍であろう。
「将軍、ごきげんよう」
「クイーンにもご機嫌麗しく、ご同慶の至りでございます」
「どうぞお掛けください」
次回の出兵では、グティエレスは再び海軍と手を組んで、ブリュールの陥落を目指すこととなる。ブリュールは、帝都ヴェルダンディとはまさに目と鼻の先で、この港を奪われることは、帝国軍にとってはいわば喉元に剣を突きつけられるに等しい。嫌でも一個師団程度の戦力は帝都防衛ないしブリュール奪還のため誘引されることになるであろう。戦力を分散させるという点でも有利であるし、西、南、そして対合衆国戦線となる北東と、三方に敵を抱えることとなる点でも、帝国軍を疲弊させ、作戦心理が消極的になる効果が狙える。
「同盟領からの帰還以来、親しくお話をする機会もないほど、互いに多忙にしておりましたが、改めてお礼を申したいと思います。遠征軍が同盟領から帰還できたのも、将軍の天賦の謀計に帰すべきところです。本当に、ありがとうございます」
「その功はどうか、クイーンご自身と、忠勇なる遠征軍将兵、そして留守を預かった将兵たちに賜りますよう。私はただ、小細工を弄し、帝国軍を相手にいたずらをしたのみにて」
「そのいたずらは、てきめんの効果でした。今回も、将軍の作戦を真似させていただきます。実は将軍にも本軍に加わっていただきたいところではあるのですが、前回の実績もあり、かつ少数の部隊で危地に飛び込み、敵軍を翻弄してその戦力を削ぐといったお働きは、やはり将軍にこそ期待したいと思いました」
「ご期待を裏切ることのないよう、またお預かりした大切な兵を無為に死なせることのないよう、我が能力のすべてを捧げて任務をまっとういたします」
「痛み入ります。ところで」
と、クイーンは本題に入った。
それによれば、現在、教国の政府高官らのあいだで談論風発しているというのが、「戦後の帝国統治について」であるらしい。つまり、作戦を完遂させ、ヘルムス政権を打倒したあとのレガリア帝国、もしくは新レガリア国と言うべき統治機構をどのようにつくるべきかに議論を戦わせているらしい。
危ういことだ、とグティエレスは思った。作戦が発動する前から、高官らは降した敵国の戦後処置について話し合っているのである。恐るべき楽観主義であり、遠征軍が負けるとは毛ほどにも懸念を抱いていないようだ。クイーンの作戦能力、また統率力と指揮力にそれだけの信頼、言い換えれば信仰心を抱いているというのは、一方でクイーンに対して称すべきことではあるが、同時に危機意識の欠落をもたらす。政府の中枢にいる者ならば、むしろ最悪の事態を考えてしかるべきであろう。
クイーンも、その点については憂慮していたらしい。
グティエレスは率直に述べた。
「誠に恐れ多いことですが、クイーンにはひとつ重大な欠点がございます」
「お聞かせいただけますか」
「負ける、というご経験です。将に必要なのは勝利の経験ではなく、敗北の経験なのです。クイーンはご即位に先立つ内乱鎮圧の際も、キティホークにおいても、そして先のトリーゼンベルク一帯の戦いでも、赫々たる戦果を挙げられました。デュッセルドルフでの辛酸は想像に余りありますが、それも帝国軍による卑劣な奇襲によるもので、多くの者は戦いそのものに敗れたとは思っていない。いわば、クイーンは常勝不敗の将であられ、その武名は神々しきばかり。しかし、であるからこそ、誰もクイーンの敗北を想定してはおりません。いずれ、この欠点が致命的な事態を招くことのないよう、願うものでございます」
「将軍の忠誠に感謝します。これからもその見識をお貸しいただければと思います」
その後、作戦の細部すり合わせに移った。第四師団は前回と同様、戦力を半分に分割し、グティエレス将軍自身と、副師団長のアリギエーリ将軍が率いる。
前者は海軍とともにブリュールへと上陸作戦を敢行し、かの地で帝国軍を陽動する。帝国軍が帝都に退き守るなら、進出して通商を妨害する動きを見せ、逆に攻めかけてくるならゲリラ戦術によってその疲労と消耗を誘う。そして窮地に陥れば、海は教国海軍が握っているから、海上へと退避すればよい。
後者は帝国国境に位置するカスティーリャ要塞に入って、ラマルク将軍の指揮下に入る。遠征軍が帝国領内に侵入している以上、カスティーリャ要塞に迫る危険も少ないと思われるが、別動隊を動かして要塞を制圧し、補給線を切断する意図を持たないとも限らない。一定の兵力は、国境守備のため残す必要があろう。
第三師団のレイナート将軍、第四師団のグティエレス将軍、ともに今回の作戦では本軍と別行動をとることになる。特に戦略眼と大局観を持ち合わせた両将軍だが、一方面を任せることになるだけに、事前に入念な意思疎通が必要となる。その意味で、彼らとの会談はクイーンに多くの収穫をもたらしたようであった。
そして年が明けてミネルヴァ暦1398年1月20日、ロンバルディア教国軍は出兵の準備をすべて整え、帝国領攻略作戦を開始した。教国軍における全制式戦力を投入して行われるこの戦いは、恐らくミネルヴァ大陸の歴史においても最も大規模かつ遠大な戦略によって彩られた作戦として人々の記憶と記録に残ることになるであろう。
「戦いを終わらせるための戦い」の始まりと言っていい。
中軍には、教国の王旗が翻り、その下には無論、サファイアブルーのチョハをまとったクイーンの姿がある。
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