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第5章 天啓
第5章-② 遠交近攻
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クイーン・エスメラルダの正式な即位後、最も早く祝賀の使節団を送ってきたのは、オクシアナ合衆国であった。
オクシアナ合衆国はミネルヴァ大陸の西北部を占める民主主義と共和主義を標榜する国で、大陸一の海軍を有する強大な軍事国家である。かつてこの国の領土は、ローレンシア帝国という大陸内最大の古典的封建主義国家の一部に過ぎなかったが、ミネルヴァ暦1281年にブラックリバー、オリスカニー、ベニントンといった都市で重税と飢饉を起因とする武装蜂起が発生し、民兵の力によって革命運動が巻き起こった。帝国軍は国土の半ばほどを革命軍に奪われつつも次第に勢いを盛り返したが、北方のバブルイスク帝国が介入の姿勢を見せたため、やむなく独立を認める文書に調印し、オクシアナ合衆国が成立した。
ローレンシア帝国はその後、大貴族の叛乱や対立が激化していくつかの有力諸侯に分裂し、地上から消滅した。帝国の解体後はブリストル公、コーンウォリス公、トレントン公といった諸侯が10年戦争と呼ばれる泥沼の戦いを繰り広げたが、最終的には平和協定を結び、相互不可侵を約束して終結している。
また10年戦争と並行して大陸東北方に位置するバブルイスク帝国も、オクシアナ合衆国の「革命の輸出」を受け、帝国主義が滅んでいる。ただしその後に成立したバブルイスク連邦は、オクシアナ合衆国とは根本的に思想を異にする社会主義国家であった。これが史上初めての、プロレタリア革命である。
これら政治的な地殻変動が、ミネルヴァ暦13世紀末期から14世紀前期の約半世紀にわたって生じた。近代民主主義国家と近代社会主義国家の誕生は大陸中を驚愕させたが、革命運動はそれ以上に波及することなく、14世紀半ばにはひとまず政治的安定を迎えた。
もっとも、14世紀後半になってからも、オクシアナ・バブルイスク両国による北方戦争や、レガリア帝国における国家社会主義の台頭、コーンウォリス公国とトレントン公国の消滅など、大きな波乱が歴史上では起こっているが、それは長くなるので別の機会に述べる。
少なくともミネルヴァ暦1394年時点で、大陸に現存している国家を高緯度順に並べると、次のようになる。
バブルイスク連邦
オクシアナ合衆国
ブリストル公国
オユトルゴイ王国
レガリア帝国
スンダルバンス同盟
ロンバルディア教国
このうち、いち早く特使を派遣して新生ロンバルディア教国と誼を結ぼうとしたのがオクシアナ合衆国であったのには、多少の事情がある。
特使は正使が大統領首席補佐官のジェラルド・トンプソン、副使が国務次官のマーク・ハリスという少壮気鋭のコンビで、これが常駐使節のロブ・フォックスという冴えない中年男性を伴って現れた。
表向きはあくまで即位の祝賀で、謁見も広間のひとつで型通りに行われた。祝いの辞を述べ、贈答品を渡し、答礼を受け、退出する。無論、彼らも子供の使いではないので、非公式な会談で濃度の高い外交交渉が行われることを期待している。
談話室に通され、教国の名産で自国では高級食材として知られるマスカットをしゃぶりながら待った。ロンバルディア教国における突っ込んだ交渉事は通常、枢密院議長のマルケス侯爵が代表として行うので、彼らも白髪の老紳士との対面を想像していたが、意外にも、部屋に入ってきたのは妙齢の女性ばかりが四人。
神官長のロマン女史、近衛兵団千人長のクロエ、宮廷顧問官のエミリア、そしてクイーンであった。
拝謁の際は女王の正装である例の臙脂色のローブを羽織って広間の奥の椅子に端座していたが、今はどういうわけか、ドレスを一枚着ただけの略装に着替えている。明るめの青で、ターコイズブルーと表現してよさそうな、涼しげな装いである。
まさか女王自らが非公式の会談に応じてもらえるとは思わず、三人は慌てて起立し、最敬礼で迎えた。
「皆さん、こんにちは。どうぞおかけください」
「痛み入ります。女王陛下自らのお出まし、恐悦の至りでございます」
「ありがとうございます。私もお会いできてうれしいですよ」
その気持ちを裏付けるかのようにとびきり明るく微笑むクイーンの容姿に、異国の使節は揃いも揃って見惚れた。放心したようにしばし口を開けていたが、副使のハリスが要らざることを言った。
「お噂はかねがね耳に親しんでおりましたが、実にお美しい。我が国の大統領夫人よりもお美しいですな」
正使のトンプソンが焦って袖を引いた。
「ブラッドリー大統領のご夫人は、お美しい方なんですね」
「あぁいえいえ、何しろ大統領夫人なので、立場上、もっぱらそのように吹聴しておかねばなりません。ただ、陛下の眉目の類稀なことは、巧言令色ではなく、本心から思っていることです」
クイーンはハリスのブラックジョークを解せず、ふふ、と愉快げに笑い声を立てた。その声が、蝶が舞うような軽やかさと優美さがありながら、山を流れる小川のような清冽さと高貴さも備えている。
ちなみにブラッドリー大統領の側近からは陰で揶揄される程度に、その夫人は醜女で通っている。
「お国では、誰もが女性をそのように褒められるのですか?私はほかにも似たことをおっしゃる人を知っていますよ」
軽くあしらわれたように感じたのか、ハリスが戸惑いつつさらに応じようとするところに、正使のトンプソンが割り込んだ。彼は早くも全身の毛穴が開いて汗が噴き出すのを実感している。ここは外交交渉の席であるというのに、なんと無礼で場を弁えぬ男を連れてきてしまったのであろうか。
彼が生来の冷静さとシニカルさを失い、落ち着かない気分を味わっている理由はいまひとつ。クイーンの随員としてこの交渉の席に同席しているほかの三人の女性がまるで笑顔という概念を喪失したかのように、表情筋をぴくりともさせないことであった。クイーンの後方に直立している近衛将校は護衛のためであろうが、隻腕のエミリアと修道服のロマン女史は、ハリスの不調法を目の前にして苦笑するでもなく、眉をひそめるでもなく、一切動じていない。無残なほどであった。
(やりにくいな)
トンプソンはこの空気を自力で変え、主導権を握るべく必死で舌を動かした。
「あぁ似たことを申し上げた者というのは、もしかしてドン・ジョヴァンニのことでしょうか。彼は先般の叛乱鎮圧で殊勲の功名を上げたと聞き及んでおります」
「えぇ、彼のことです。先日など、あなたの美貌を目にすれば、眠らずとも夢見心地になれるなどと。面白い方でしょ」
「なんの、彼の表現は言い得て妙です。陛下の容色の絶倫なることと、高徳の鮮やかなることは、合衆国にもはや鳴り響いております」
「生まれはこちらの国ですが、半生は合衆国で過ごしたと聞いています。トンプソンさんは、彼とお知り合いですか?」
「彼は我が国の高官のあいだではそれなりに名の通った人物です。直接、話したことはありませんが」
「残念です。今は軍とともに訓練と演習に出ていて、この場にお呼びできません。彼がいれば貴国のことで、きっともっと楽しくお話しできたのですけれど」
かなわない、と思った。ただでさえ容易な交渉ではないのに、ドン・ジョヴァンニのような計算外の要素にこの場に加わられては、まとまるものもまとまらなくなる。
トンプソンは少々強引ながら、本題に入ることにした。
「その我が国の指導者である大統領より、今回は非公式の伝言を預かってまいりました」
「ぜひ、伺いたく存じます」
「レガリア帝国のことです」
オクシアナ合衆国は大陸西北部、ロンバルディア教国は大陸西南部に位置し、そのあいだを分断しているのがレガリア帝国である。この国は先の内戦において叛乱軍側に暗に協力していた。クイーンにとっても、ロンバルディア教国にとっても、潜在的な脅威であり、仮想敵と言える存在である。
レガリア帝国はベルンハルト・ヘルムスという野心家が総統を名乗り政治的代表者に就いてからは、領土の拡張欲が旺盛かつ露骨で、精強な陸軍と勤勉な国民と国家社会主義という思想とを擁している。その外交的及び軍事的暴威には、ロンバルディア教国と同様、長大な国境で隣接するオクシアナ合衆国も脅かされているところである。
要は今回の外交交渉の目的は、レガリア帝国への脅威を互いに確認し、正式な同盟関係ではないにしても、友好的関係を構築し、それによって帝国を牽制しようとの意図であった。
南北から挟撃される危険を踏まえれば、帝国としても両国に理不尽な要求や過大な譲歩を迫ることもないであろう。
いわば遠交近攻の外交政策で、遠くに味方をつくり近くの敵と対する方針を、オクシアナ合衆国は持っているということだ。
「分かりました」
と、やや考えたあとで、クイーンは回答した。
「我が国としても、レガリア帝国の拡張政策や苛烈な内政方針については、胸を痛めているところです。一朝事あれば、協調して外交交渉の席に就くことは異存ありません。貴国とは今後も友好的な関係でありたいと望んでいます」
トンプソンは大統領首席補佐官として、若いながらも外交術を心得、政治世界における手練手管にも通じているが、その彼をして舌を巻くような言であった。クイーンの意思表示は、あくまで事態が悪化した際には、外交によって協力するということで、合衆国の敵までも彼らが引き受けるような約束はしない、ということらしい。
慎重で、賢明な対応と言うべきだった。
合衆国政府の裏の目的としては、あわよくば軍事同盟の密約を結んでしまうことで、自国の安全保障を安定させることと、いまひとつは顧問団を派遣してロンバルディア教国の技術を盗むこと、そして顧問団を受け入れることで、民主主義思想を輸出し、国体を塗り替え、ロンバルディア教国を自陣営に引き込んでしまおうという狙いであった。
そこまでは踏み込んで交渉できぬか、といささか弱気になりかけていたところ、クイーンから予想外の質問が飛び出した。
「不案内でお恥ずかしいのですが、貴国の民主共和主義とは、どのような思想なのでしょうか?」
あっ、と同席した全員が凍りついたように動きを止めた。
民主共和主義とは何か。それは王の存在を否定し、人民自身が選んだ代表者が合議し多数決によって政治を行う思想である。軍も、最高指揮権は文民の長である大統領にあり、その行動は法によって制限される。
エミリアもロマン女史もクロエ千人長も、知識階級としてこの新興思想の概要くらいは知っている。そしてそれは、王政の破壊につながる危険思想であることも。無論、クイーンも知った上で、興味があり聞いたのであろう。
合衆国政府と握手することが、そのまま思想的影響を受けることに直結してはならない。だから互いの思想を述べることはこの席では暗黙のタブーであったわけだが、女王自身がそれを破ったのである。
(破天荒な女王だ。それとも評判は嘘で、実はただの阿呆か)
問われたトンプソン補佐官の方が、見苦しいほどに慌ててしまった。
「民主共和主義は、身分のない世界を理想としております」
単語の一つひとつを吟味し、注意深く選択しつつ、彼は実に30分ほどの時間をかけて、絶対王政と民主共和主義の相違点を説明した。クイーンはそれを不審なほどに熱心に聞き、合間にいくつかの鋭い質問を投げかけるなどした。
トンプソン補佐官は、絶対王政国家の君主に民主共和主義を平和的に説くという珍妙な役を演じている自分が、歴史上の道化師に思え、できれば早々に切り上げたいところであったが、相手が食いついてなかなか離さない。
最終的に、民主共和主義思想の講義を受け終わったクイーンはこう言った。
「とても素晴らしい思想です」
「は、なんと……?」
「民主共和主義は志の高い、立派な思想であると思います」
三人の使節は思わず礼儀を忘れ、口をあんぐりと開けて互いに顔を見合わせた。どうも、狐につままれたような気分である。
「特に、人民自身が人民の総意によってその命運を決するというところが、とても感銘を受けました。血統や世襲は、政治構造の根幹に置くにはあまりに大きな欠陥があると私も思います」
「は、はい、ご理解いただき恐縮の極みでございます」
「けど、例えば今、我が国で選挙を行ったら、やはり陛下が指導者として選ばれるのではありませんかしら」
一言も発することなく聞いていたロマン神官長が、初めて口を開いた。なるほど、クイーンの民衆からの支持は圧倒的で、民主的手続きにのっとって選挙を行っても、疑いようもなく大多数の票を獲得することになるであろう。
三名の使節はロマン女史の発言を一種の諧謔と解釈し、ことさらにぎやかに笑声を上げたが、当人がにこりともしないので、すぐに気まずそうに沈黙した。友好的だが、感性のまるで噛み合わない両国代表団の会談は、こうして終了した。
会見の席上、以下のことが決まった。
ひとつ、両国は、従来の持続的な友好関係を再確認する。
ひとつ、両国は、経済的な協力関係の強化に合意する。
ひとつ、両国は、自国の安全保障に影響のない範囲での情報共有に合意する。
ひとつ、両国は、相手国で保護されている自国からの亡命者への裁判権を放棄する。
ひとつ、オクシアナ合衆国は、エスメラルダ女王の即位を正式に承認する。
また両国の関係強化を円滑ならしめるため、今回の特使の副使で国務次官のマーク・ハリスが、一時的にロンバルディア教国に駐在することとなった。彼は国都アルジャントゥイユの一隅にあるオクシアナ合衆国使節団の宿舎に起居して、教国政府と継続的な外交交渉を行ったり、レガリア帝国の動向についてこの方面から情報収集することになる。
正使のジェラルド・トンプソンは、即日国都を発し、合衆国首都のブラックリバーを目指して馬車を急がせた。
ペースを乱され、軍事同盟の密約と顧問団の派遣及び受け入れまでは踏み込めなかったが、当方の思惑を完全に満たせるような外交交渉など存在しない。教国側も、女王単独で国家の方針を即決できるわけもない。今回は、少なくともロンバルディア教国がレガリア帝国を共通の脅威とみなしていること、合衆国に対して友好的な関係を希望していることが確認できただけでよしとすべきであろう。
ロンバルディア教国は大陸南西部のアポロニア半島にあり、その北側玄関口はレガリア帝国のみと接している。そのため、往路と同様、復路もレガリア帝国領を通過して合衆国へと向かうことになる。
馬車から帝国領を丹念に観察し、あるいは宿泊のため立ち寄った町や村の様子を見るにつけ、その活気には驚かされる。教国の都であるアルジャントゥイユも活気があった。ただそれは日々を楽しく、平和に、幸福に、ささやかな希望にあふれているという意味での楽天的な活気で、帝国領はまるで違う。そこはほとんど戦時下であった。特に都市部においてその傾向は顕著で、整然としているがどこか物々しい空気と、謹厳だがどこか酷薄な印象のする人々が目につく。それらが、あくなき成長と拡大を求めているのが皮膚感覚でも伝わってくる。国家社会主義による独裁体制の、これが目指す国づくりなのか。
確かに軍は精強で、近年は軍備拡張が図られ規模も膨張しつつある。単純に軍事力を比較すれば、ロンバルディア教国など敵ではなく、オクシアナ合衆国も単独では抗しえない。
だが人の自由が失われ、移動や財産を制限され、反対者を弾圧し、すべてに国家の強化が優先されるという構造は、合衆国政府内でもリベラル派として知られるトンプソンにはどうも歪んで見えてならない。
(いずれはこの国と戦うことになるかもしれない。そのとき、教国が味方につけば)
楽な戦いにはならないだろう。ただ信頼に足る味方がいれば、充分に勝機はある。
しかし、ともかくも今は重要な任務をまずまず満足すべき首尾で終えたところで、道中、無用なトラブルは避けたい。
トンプソンは一見慎ましくも謙虚な佇まいを演出して、悠々とレガリア帝国領を北へ北へと縦断していった。
オクシアナ合衆国はミネルヴァ大陸の西北部を占める民主主義と共和主義を標榜する国で、大陸一の海軍を有する強大な軍事国家である。かつてこの国の領土は、ローレンシア帝国という大陸内最大の古典的封建主義国家の一部に過ぎなかったが、ミネルヴァ暦1281年にブラックリバー、オリスカニー、ベニントンといった都市で重税と飢饉を起因とする武装蜂起が発生し、民兵の力によって革命運動が巻き起こった。帝国軍は国土の半ばほどを革命軍に奪われつつも次第に勢いを盛り返したが、北方のバブルイスク帝国が介入の姿勢を見せたため、やむなく独立を認める文書に調印し、オクシアナ合衆国が成立した。
ローレンシア帝国はその後、大貴族の叛乱や対立が激化していくつかの有力諸侯に分裂し、地上から消滅した。帝国の解体後はブリストル公、コーンウォリス公、トレントン公といった諸侯が10年戦争と呼ばれる泥沼の戦いを繰り広げたが、最終的には平和協定を結び、相互不可侵を約束して終結している。
また10年戦争と並行して大陸東北方に位置するバブルイスク帝国も、オクシアナ合衆国の「革命の輸出」を受け、帝国主義が滅んでいる。ただしその後に成立したバブルイスク連邦は、オクシアナ合衆国とは根本的に思想を異にする社会主義国家であった。これが史上初めての、プロレタリア革命である。
これら政治的な地殻変動が、ミネルヴァ暦13世紀末期から14世紀前期の約半世紀にわたって生じた。近代民主主義国家と近代社会主義国家の誕生は大陸中を驚愕させたが、革命運動はそれ以上に波及することなく、14世紀半ばにはひとまず政治的安定を迎えた。
もっとも、14世紀後半になってからも、オクシアナ・バブルイスク両国による北方戦争や、レガリア帝国における国家社会主義の台頭、コーンウォリス公国とトレントン公国の消滅など、大きな波乱が歴史上では起こっているが、それは長くなるので別の機会に述べる。
少なくともミネルヴァ暦1394年時点で、大陸に現存している国家を高緯度順に並べると、次のようになる。
バブルイスク連邦
オクシアナ合衆国
ブリストル公国
オユトルゴイ王国
レガリア帝国
スンダルバンス同盟
ロンバルディア教国
このうち、いち早く特使を派遣して新生ロンバルディア教国と誼を結ぼうとしたのがオクシアナ合衆国であったのには、多少の事情がある。
特使は正使が大統領首席補佐官のジェラルド・トンプソン、副使が国務次官のマーク・ハリスという少壮気鋭のコンビで、これが常駐使節のロブ・フォックスという冴えない中年男性を伴って現れた。
表向きはあくまで即位の祝賀で、謁見も広間のひとつで型通りに行われた。祝いの辞を述べ、贈答品を渡し、答礼を受け、退出する。無論、彼らも子供の使いではないので、非公式な会談で濃度の高い外交交渉が行われることを期待している。
談話室に通され、教国の名産で自国では高級食材として知られるマスカットをしゃぶりながら待った。ロンバルディア教国における突っ込んだ交渉事は通常、枢密院議長のマルケス侯爵が代表として行うので、彼らも白髪の老紳士との対面を想像していたが、意外にも、部屋に入ってきたのは妙齢の女性ばかりが四人。
神官長のロマン女史、近衛兵団千人長のクロエ、宮廷顧問官のエミリア、そしてクイーンであった。
拝謁の際は女王の正装である例の臙脂色のローブを羽織って広間の奥の椅子に端座していたが、今はどういうわけか、ドレスを一枚着ただけの略装に着替えている。明るめの青で、ターコイズブルーと表現してよさそうな、涼しげな装いである。
まさか女王自らが非公式の会談に応じてもらえるとは思わず、三人は慌てて起立し、最敬礼で迎えた。
「皆さん、こんにちは。どうぞおかけください」
「痛み入ります。女王陛下自らのお出まし、恐悦の至りでございます」
「ありがとうございます。私もお会いできてうれしいですよ」
その気持ちを裏付けるかのようにとびきり明るく微笑むクイーンの容姿に、異国の使節は揃いも揃って見惚れた。放心したようにしばし口を開けていたが、副使のハリスが要らざることを言った。
「お噂はかねがね耳に親しんでおりましたが、実にお美しい。我が国の大統領夫人よりもお美しいですな」
正使のトンプソンが焦って袖を引いた。
「ブラッドリー大統領のご夫人は、お美しい方なんですね」
「あぁいえいえ、何しろ大統領夫人なので、立場上、もっぱらそのように吹聴しておかねばなりません。ただ、陛下の眉目の類稀なことは、巧言令色ではなく、本心から思っていることです」
クイーンはハリスのブラックジョークを解せず、ふふ、と愉快げに笑い声を立てた。その声が、蝶が舞うような軽やかさと優美さがありながら、山を流れる小川のような清冽さと高貴さも備えている。
ちなみにブラッドリー大統領の側近からは陰で揶揄される程度に、その夫人は醜女で通っている。
「お国では、誰もが女性をそのように褒められるのですか?私はほかにも似たことをおっしゃる人を知っていますよ」
軽くあしらわれたように感じたのか、ハリスが戸惑いつつさらに応じようとするところに、正使のトンプソンが割り込んだ。彼は早くも全身の毛穴が開いて汗が噴き出すのを実感している。ここは外交交渉の席であるというのに、なんと無礼で場を弁えぬ男を連れてきてしまったのであろうか。
彼が生来の冷静さとシニカルさを失い、落ち着かない気分を味わっている理由はいまひとつ。クイーンの随員としてこの交渉の席に同席しているほかの三人の女性がまるで笑顔という概念を喪失したかのように、表情筋をぴくりともさせないことであった。クイーンの後方に直立している近衛将校は護衛のためであろうが、隻腕のエミリアと修道服のロマン女史は、ハリスの不調法を目の前にして苦笑するでもなく、眉をひそめるでもなく、一切動じていない。無残なほどであった。
(やりにくいな)
トンプソンはこの空気を自力で変え、主導権を握るべく必死で舌を動かした。
「あぁ似たことを申し上げた者というのは、もしかしてドン・ジョヴァンニのことでしょうか。彼は先般の叛乱鎮圧で殊勲の功名を上げたと聞き及んでおります」
「えぇ、彼のことです。先日など、あなたの美貌を目にすれば、眠らずとも夢見心地になれるなどと。面白い方でしょ」
「なんの、彼の表現は言い得て妙です。陛下の容色の絶倫なることと、高徳の鮮やかなることは、合衆国にもはや鳴り響いております」
「生まれはこちらの国ですが、半生は合衆国で過ごしたと聞いています。トンプソンさんは、彼とお知り合いですか?」
「彼は我が国の高官のあいだではそれなりに名の通った人物です。直接、話したことはありませんが」
「残念です。今は軍とともに訓練と演習に出ていて、この場にお呼びできません。彼がいれば貴国のことで、きっともっと楽しくお話しできたのですけれど」
かなわない、と思った。ただでさえ容易な交渉ではないのに、ドン・ジョヴァンニのような計算外の要素にこの場に加わられては、まとまるものもまとまらなくなる。
トンプソンは少々強引ながら、本題に入ることにした。
「その我が国の指導者である大統領より、今回は非公式の伝言を預かってまいりました」
「ぜひ、伺いたく存じます」
「レガリア帝国のことです」
オクシアナ合衆国は大陸西北部、ロンバルディア教国は大陸西南部に位置し、そのあいだを分断しているのがレガリア帝国である。この国は先の内戦において叛乱軍側に暗に協力していた。クイーンにとっても、ロンバルディア教国にとっても、潜在的な脅威であり、仮想敵と言える存在である。
レガリア帝国はベルンハルト・ヘルムスという野心家が総統を名乗り政治的代表者に就いてからは、領土の拡張欲が旺盛かつ露骨で、精強な陸軍と勤勉な国民と国家社会主義という思想とを擁している。その外交的及び軍事的暴威には、ロンバルディア教国と同様、長大な国境で隣接するオクシアナ合衆国も脅かされているところである。
要は今回の外交交渉の目的は、レガリア帝国への脅威を互いに確認し、正式な同盟関係ではないにしても、友好的関係を構築し、それによって帝国を牽制しようとの意図であった。
南北から挟撃される危険を踏まえれば、帝国としても両国に理不尽な要求や過大な譲歩を迫ることもないであろう。
いわば遠交近攻の外交政策で、遠くに味方をつくり近くの敵と対する方針を、オクシアナ合衆国は持っているということだ。
「分かりました」
と、やや考えたあとで、クイーンは回答した。
「我が国としても、レガリア帝国の拡張政策や苛烈な内政方針については、胸を痛めているところです。一朝事あれば、協調して外交交渉の席に就くことは異存ありません。貴国とは今後も友好的な関係でありたいと望んでいます」
トンプソンは大統領首席補佐官として、若いながらも外交術を心得、政治世界における手練手管にも通じているが、その彼をして舌を巻くような言であった。クイーンの意思表示は、あくまで事態が悪化した際には、外交によって協力するということで、合衆国の敵までも彼らが引き受けるような約束はしない、ということらしい。
慎重で、賢明な対応と言うべきだった。
合衆国政府の裏の目的としては、あわよくば軍事同盟の密約を結んでしまうことで、自国の安全保障を安定させることと、いまひとつは顧問団を派遣してロンバルディア教国の技術を盗むこと、そして顧問団を受け入れることで、民主主義思想を輸出し、国体を塗り替え、ロンバルディア教国を自陣営に引き込んでしまおうという狙いであった。
そこまでは踏み込んで交渉できぬか、といささか弱気になりかけていたところ、クイーンから予想外の質問が飛び出した。
「不案内でお恥ずかしいのですが、貴国の民主共和主義とは、どのような思想なのでしょうか?」
あっ、と同席した全員が凍りついたように動きを止めた。
民主共和主義とは何か。それは王の存在を否定し、人民自身が選んだ代表者が合議し多数決によって政治を行う思想である。軍も、最高指揮権は文民の長である大統領にあり、その行動は法によって制限される。
エミリアもロマン女史もクロエ千人長も、知識階級としてこの新興思想の概要くらいは知っている。そしてそれは、王政の破壊につながる危険思想であることも。無論、クイーンも知った上で、興味があり聞いたのであろう。
合衆国政府と握手することが、そのまま思想的影響を受けることに直結してはならない。だから互いの思想を述べることはこの席では暗黙のタブーであったわけだが、女王自身がそれを破ったのである。
(破天荒な女王だ。それとも評判は嘘で、実はただの阿呆か)
問われたトンプソン補佐官の方が、見苦しいほどに慌ててしまった。
「民主共和主義は、身分のない世界を理想としております」
単語の一つひとつを吟味し、注意深く選択しつつ、彼は実に30分ほどの時間をかけて、絶対王政と民主共和主義の相違点を説明した。クイーンはそれを不審なほどに熱心に聞き、合間にいくつかの鋭い質問を投げかけるなどした。
トンプソン補佐官は、絶対王政国家の君主に民主共和主義を平和的に説くという珍妙な役を演じている自分が、歴史上の道化師に思え、できれば早々に切り上げたいところであったが、相手が食いついてなかなか離さない。
最終的に、民主共和主義思想の講義を受け終わったクイーンはこう言った。
「とても素晴らしい思想です」
「は、なんと……?」
「民主共和主義は志の高い、立派な思想であると思います」
三人の使節は思わず礼儀を忘れ、口をあんぐりと開けて互いに顔を見合わせた。どうも、狐につままれたような気分である。
「特に、人民自身が人民の総意によってその命運を決するというところが、とても感銘を受けました。血統や世襲は、政治構造の根幹に置くにはあまりに大きな欠陥があると私も思います」
「は、はい、ご理解いただき恐縮の極みでございます」
「けど、例えば今、我が国で選挙を行ったら、やはり陛下が指導者として選ばれるのではありませんかしら」
一言も発することなく聞いていたロマン神官長が、初めて口を開いた。なるほど、クイーンの民衆からの支持は圧倒的で、民主的手続きにのっとって選挙を行っても、疑いようもなく大多数の票を獲得することになるであろう。
三名の使節はロマン女史の発言を一種の諧謔と解釈し、ことさらにぎやかに笑声を上げたが、当人がにこりともしないので、すぐに気まずそうに沈黙した。友好的だが、感性のまるで噛み合わない両国代表団の会談は、こうして終了した。
会見の席上、以下のことが決まった。
ひとつ、両国は、従来の持続的な友好関係を再確認する。
ひとつ、両国は、経済的な協力関係の強化に合意する。
ひとつ、両国は、自国の安全保障に影響のない範囲での情報共有に合意する。
ひとつ、両国は、相手国で保護されている自国からの亡命者への裁判権を放棄する。
ひとつ、オクシアナ合衆国は、エスメラルダ女王の即位を正式に承認する。
また両国の関係強化を円滑ならしめるため、今回の特使の副使で国務次官のマーク・ハリスが、一時的にロンバルディア教国に駐在することとなった。彼は国都アルジャントゥイユの一隅にあるオクシアナ合衆国使節団の宿舎に起居して、教国政府と継続的な外交交渉を行ったり、レガリア帝国の動向についてこの方面から情報収集することになる。
正使のジェラルド・トンプソンは、即日国都を発し、合衆国首都のブラックリバーを目指して馬車を急がせた。
ペースを乱され、軍事同盟の密約と顧問団の派遣及び受け入れまでは踏み込めなかったが、当方の思惑を完全に満たせるような外交交渉など存在しない。教国側も、女王単独で国家の方針を即決できるわけもない。今回は、少なくともロンバルディア教国がレガリア帝国を共通の脅威とみなしていること、合衆国に対して友好的な関係を希望していることが確認できただけでよしとすべきであろう。
ロンバルディア教国は大陸南西部のアポロニア半島にあり、その北側玄関口はレガリア帝国のみと接している。そのため、往路と同様、復路もレガリア帝国領を通過して合衆国へと向かうことになる。
馬車から帝国領を丹念に観察し、あるいは宿泊のため立ち寄った町や村の様子を見るにつけ、その活気には驚かされる。教国の都であるアルジャントゥイユも活気があった。ただそれは日々を楽しく、平和に、幸福に、ささやかな希望にあふれているという意味での楽天的な活気で、帝国領はまるで違う。そこはほとんど戦時下であった。特に都市部においてその傾向は顕著で、整然としているがどこか物々しい空気と、謹厳だがどこか酷薄な印象のする人々が目につく。それらが、あくなき成長と拡大を求めているのが皮膚感覚でも伝わってくる。国家社会主義による独裁体制の、これが目指す国づくりなのか。
確かに軍は精強で、近年は軍備拡張が図られ規模も膨張しつつある。単純に軍事力を比較すれば、ロンバルディア教国など敵ではなく、オクシアナ合衆国も単独では抗しえない。
だが人の自由が失われ、移動や財産を制限され、反対者を弾圧し、すべてに国家の強化が優先されるという構造は、合衆国政府内でもリベラル派として知られるトンプソンにはどうも歪んで見えてならない。
(いずれはこの国と戦うことになるかもしれない。そのとき、教国が味方につけば)
楽な戦いにはならないだろう。ただ信頼に足る味方がいれば、充分に勝機はある。
しかし、ともかくも今は重要な任務をまずまず満足すべき首尾で終えたところで、道中、無用なトラブルは避けたい。
トンプソンは一見慎ましくも謙虚な佇まいを演出して、悠々とレガリア帝国領を北へ北へと縦断していった。
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「転生者はめぐりあう」 始めました。
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