【完】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた

迦陵 れん

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80 幼い頃のプロポーズ

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 長期休暇が終わる一週間前──。

 私はレスターが治療を受けている施設へと行き、今後のことを二人で色々と話し合った。

 結果として、私は今現在ミーティアがお世話になっている伯爵家に、これから彼女と一緒にお世話になることが決まった。

 ミーティアが私から離れたがらなかったことと、『訳あり』として避けられている学園より、何も知られていない他国の学園の方が通いやすいだろうという理由で。

 期限としては、取り敢えずレスターの療養が終わるまでの間。その時が来たら、後のことはまた相談して決めることになっている。

 ちなみにフェルとパルマーク様は、長期休暇が終わると同時に帰国することが決まった。フェル曰く、パルマーク様は私のストーカーになりかけていたため、私の身の安全を確保する目的で他国行きを決めたから、私が自国にいないなら、帰らせるのは当然なのだとか。

 それに、今はパルマーク様の標的が完全にミーティアへと移ってしまっているから、フェルとしても彼を自国へ帰して、ミーティアと引き離しておきたいのだろうと思う。

 事故とはいえ、せっかくミーティアとキスして良い雰囲気になりかけてるのに、ここで邪魔されたらたまったものではないものね。とはいえ、これから暫くは離れ離れになってしまうのだけれど。

 それでもきっとフェルのことだから、オリエル公爵家の力を使って何度も会いにやって来るんだと思う。そうしたら私もミーティアと一緒にフェルに会えるし、一石二鳥かな。

 レスターは私との約束通り、街で会ってからは一度も私に会いに来ず、真面目に治療へ取り組んでいたようで──会った時には、なんと車椅子から立ち上がれるようになっていた。歩けるようになるのはまだ大分先らしいけれど、大きな進歩であることには変わりない。

「ユリアを失うことに比べたら、その他のことなんて些細なことだと気が付いたんだ。僕はユリアのためなら、どんなことだってしてみせる。だからユリア……ずっと僕を、僕だけを見ていて欲しい」

 レスターの回復ぶりにフェルと驚いていたら、突然彼がそんなことを言い出すものだから、その後ミーティアとフェルにニヤつかれて大変だった。
 


※※※



 半年後──。

 ミーティアは無事に伯爵家の養子となり、そのまま卒業──というか嫁入り──するまでお世話になることが決まった。今後は、長期休暇を利用してファンティス男爵家に遊びに行く、ということになりそうだ。

 フェルはというと──親を説得して、ちゃっかり此方の国へと留学してきた。目的は勿論ミーティアだと思うけど、分厚い眼鏡をかけて学園に通っている彼女とは違い、フェルは素顔のままで通っているから、毎日令嬢達に追い回されて大変そう。そのせいで怒ったミーティアにそっぽを向かれ、半泣きになって私に縋りついてきたけれど、そこは自分でなんとかしてと突き放した。

 私はというと、此方の学園での居心地が良く、すっかり気に入ってしまったため、両親を口説き落として卒業まで留学期間を延長することを認めてもらった。お世話になっている伯爵家の方々とも家族同士で交流を持ち、互いの国の情報交換をし合ったりして、なかなかに友好的な関係を築けているようだ。

 パルマーク様は──ミーティアも私も国へ戻って来ないことを知り、一時は絶望していたそうだけれど、騎士として身を立てるべく、一念発起して訓練に明け暮れているそうだ。──というのは、本人からの話。

 他から仕入れた情報によると、めぼしい令嬢はほぼほぼ婚約してしまっていることに加え、パルマーク様のような筋骨隆々な体格の方は人気がないようで……婚約してくれる令嬢が見つからないとのこと。

 後はお騒がせ王太子殿下だけれど──彼は三ヶ月ほど経過したのち、突然王城へと戻ってきたそうだ。けれど、その頃には既に廃嫡されていて、学園にも退学届が出されていたそう。

 次期王太子には王弟殿下のご嫡男が即位し、元王太子となったカーライル様は、平民街で監視付きの生活を営んでいるそうだ。尤も、監視役は生活の手助けなどをするわけではないので、廃嫡後の三ヶ月でカーライル様はすっかり以前の面影をなくし、痩せ細って生気がなくなってしまっているらしい。

 最初の方こそ廃嫡された王太子を哀れに思った街の人々が手を差し伸べようとしたみたいなのに、カーライル様は不遜な態度でそれを断ったばかりか、「私と貴様達とでは立場が違う!」などと宣って、完全に彼らの反感を買ってしまったそうだから、これからもどんどん彼の生活は辛いものになっていくのでしょうね。

 そしてレスターは──足の治療を一年半ほどで終え、コーラル侯爵家へと帰って行った。

「ユリア、君には必ず毎日手紙を書く。学園でも婚約者がいることをきちんと告白するから、どうか僕を捨てないで。僕が傍にいなくても、婚約者などは作らないでいて欲しい」

 と言い置いて。
 
 まだ普通に歩くことはできないけれど、杖を使えばなんとか歩けるほどにまで回復したレスターは、通学しながら職探しを再開するそうだ。それもすべて私のため──ではなく、自分のためでもあると言っていたから、もうお互いに寄りかかるだけの関係ではなくなると思う。ううん、そうしていかなければいけない。

「……ユリア、可愛い僕のお姫様。これからは僕が全力で君のことを守るから、どうか僕と婚約して下さい」

 学園卒業後、帰国した私を待っていたのは──大きな花束を両手いっぱいに抱えたレスターと、幼い頃に聞いた彼からのプロポーズの言葉だった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 これにて完結となります。

 長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!

 今回は自分の文章力のなさとか記憶の欠如とか……色々な問題に気付いた作品となりました(気付いたからって直せるわけではないのですが)。

 そのせいで連載も予定より一ヶ月も伸びてしまいましたし……。

 終わり方については様々なご意見があるかと思いますが、最初から幼い頃のプロポーズを最後に持ってこようとは思っていたので、予定通りといえば予定通りの終わり方ではあります。


 途中で思うように書けないことに落ち込んで執筆に悩んだ時もありましたが、みなさまの『いいね』やエール、感想などに助けられて、無事完結まで漕ぎ着けることができました。

 特に感想は返信が全然できなかったのに、たくさん書いていただけて……(ノω・、`)お陰で気づかせてもらったことも多かったです。感想を書いてくれたみなさま、ありがとうございます!

 最後になりますが、私の拙い作品を読んでいただきまして、本当にありがとうございました!

 






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