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新しい人生へ
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※ フランツ視点
ーーーーー
俺は教会で、離婚の届けを出した。
こちらの世界、前世のようなカッチリした戸籍制度は存在しないが、一応教会に届けは必要。
教会の人に、俺たち夫婦に起こったこと(戦争中に、妻が男とデキてしまった)をざっくりと話すと
「……そういう事情なら、あちらが異を唱えることもないでしょうな」
と、受理してくれた。
本来なら、片方が勝手に離婚届を出すのはあまりよろしくない。
悪意をもって強引に、妻なり夫なりパートナーなりを「追い出す」方策にも使われる場合もあるからだ。
だがしかし 戦争のゴタゴタで、俺たち夫婦みたいなケースがあちこちに起こっているんだとか。
これでもし片方が不満ならば、後日対応してもらえるそうだ。
俺の生き死には不明で、今までいわば「宙ぶらりん」な状態だった。
これで、イレーネ達3人も前に進めるかもしれないし……。
この世界では庶民の場合、配偶者は一人しか認められていない。新たな相手と結婚したければ、かつての配偶者と別れなければならない。
王族は側室を持ってOK。貴族も愛人を持ってOK。(ただし、きちんと扶養及び関係精算後は財産分与すること)
◆
あーー…俺ってお人好し?お人好し過ぎんだろ!!!バッカじゃねえのか?俺!!筋金入りのバカ。
「イレーネの為」「イレーネ達3人の為」か?
…いいや、自分の為にも俺はいま離婚する必要があると思うわけよ。
俺も前に進みたい。戦場から生きて帰ったきたんだから。
例えばだけど、俺が今からイレーネに復縁を迫るだとか、戦時中の不貞を責めるとか……やりたいか?ソレ。
俺、それをやってどうなるよ?やりたくないな-。そういうの。
こんなふうに俺の側がキッパリしてるのは
「お人好し」「ええかっこしい」「やせ我慢」だと言われるかもしれん。
だけど、人から何を言われても思われても別にいい。
子供まで出来たカップルの間に割り入って、エネルギーを消耗したくもない、ってのもある。
え?執着がなさすぎるんじゃないか、だって?
うーん、執着も、時と場合によっては手放さないといけないんじゃないか?俺には今がそれ。
……それにあの赤ん坊を見たら、なんつうかこう…複雑な気持ちになっちまって。
とどのつまり、俺は赤ん坊って存在に弱いのかもしれん。
死んじまった弟も妹も、可愛かった。
赤ん坊だった弟や妹を背負って子守をするのが『お兄ちゃん』である俺の日常だった。
俺はガキで、ガキなりに大変だったけど
あいつらはすっげえ可愛かったな。本当に。次第にデカくなって、あいつらがクソ生意気になった後も可愛かった。
◆
イレーネをかっさらっていったあの男は、そりゃ憎いよ。憎いけど。だけど生まれた子供は、なーんにも悪くねえだろ?
赤ん坊は、自分が生まれる場所を選べないんだから。
…5年は長すぎたよな。戦争。俺がここを離れていた4年間も。
しばし無言で考えていたら
担当の人から少し同情めいた視線を送られた。すいません、帰ります!
◆
手続きが終わったので、教会に頼んでイレーネ宛てに、離婚が成立した旨の手紙を出してもらう。
これにて、めでたく?独身に戻った。
はー。やれやれ。バツイチか~……
前世では結婚する前に、心筋梗塞?で死んで、転生先ではバツイチ。
前世で死んだ歳を足すと、俺、いま50超えてるな……おい、足すな足すな!!!
こっちではまだ20代後半だ!
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俺は教会で、離婚の届けを出した。
こちらの世界、前世のようなカッチリした戸籍制度は存在しないが、一応教会に届けは必要。
教会の人に、俺たち夫婦に起こったこと(戦争中に、妻が男とデキてしまった)をざっくりと話すと
「……そういう事情なら、あちらが異を唱えることもないでしょうな」
と、受理してくれた。
本来なら、片方が勝手に離婚届を出すのはあまりよろしくない。
悪意をもって強引に、妻なり夫なりパートナーなりを「追い出す」方策にも使われる場合もあるからだ。
だがしかし 戦争のゴタゴタで、俺たち夫婦みたいなケースがあちこちに起こっているんだとか。
これでもし片方が不満ならば、後日対応してもらえるそうだ。
俺の生き死には不明で、今までいわば「宙ぶらりん」な状態だった。
これで、イレーネ達3人も前に進めるかもしれないし……。
この世界では庶民の場合、配偶者は一人しか認められていない。新たな相手と結婚したければ、かつての配偶者と別れなければならない。
王族は側室を持ってOK。貴族も愛人を持ってOK。(ただし、きちんと扶養及び関係精算後は財産分与すること)
◆
あーー…俺ってお人好し?お人好し過ぎんだろ!!!バッカじゃねえのか?俺!!筋金入りのバカ。
「イレーネの為」「イレーネ達3人の為」か?
…いいや、自分の為にも俺はいま離婚する必要があると思うわけよ。
俺も前に進みたい。戦場から生きて帰ったきたんだから。
例えばだけど、俺が今からイレーネに復縁を迫るだとか、戦時中の不貞を責めるとか……やりたいか?ソレ。
俺、それをやってどうなるよ?やりたくないな-。そういうの。
こんなふうに俺の側がキッパリしてるのは
「お人好し」「ええかっこしい」「やせ我慢」だと言われるかもしれん。
だけど、人から何を言われても思われても別にいい。
子供まで出来たカップルの間に割り入って、エネルギーを消耗したくもない、ってのもある。
え?執着がなさすぎるんじゃないか、だって?
うーん、執着も、時と場合によっては手放さないといけないんじゃないか?俺には今がそれ。
……それにあの赤ん坊を見たら、なんつうかこう…複雑な気持ちになっちまって。
とどのつまり、俺は赤ん坊って存在に弱いのかもしれん。
死んじまった弟も妹も、可愛かった。
赤ん坊だった弟や妹を背負って子守をするのが『お兄ちゃん』である俺の日常だった。
俺はガキで、ガキなりに大変だったけど
あいつらはすっげえ可愛かったな。本当に。次第にデカくなって、あいつらがクソ生意気になった後も可愛かった。
◆
イレーネをかっさらっていったあの男は、そりゃ憎いよ。憎いけど。だけど生まれた子供は、なーんにも悪くねえだろ?
赤ん坊は、自分が生まれる場所を選べないんだから。
…5年は長すぎたよな。戦争。俺がここを離れていた4年間も。
しばし無言で考えていたら
担当の人から少し同情めいた視線を送られた。すいません、帰ります!
◆
手続きが終わったので、教会に頼んでイレーネ宛てに、離婚が成立した旨の手紙を出してもらう。
これにて、めでたく?独身に戻った。
はー。やれやれ。バツイチか~……
前世では結婚する前に、心筋梗塞?で死んで、転生先ではバツイチ。
前世で死んだ歳を足すと、俺、いま50超えてるな……おい、足すな足すな!!!
こっちではまだ20代後半だ!
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