【完結】戦争から帰ったら妻は別の男に取られていましたが 上官だった美貌の伯爵令嬢と恋をする俺の話

スコブル

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ここはどこ?

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ヤケ酒を飲んで潰れたフランツ、その後です。

※ フランツ視点



ーーーーーーー



 チュン…チュン…鳥が鳴いてる…明るい…朝かな?うっ 頭が痛い。喉がものすごく渇いている…

 み、水ぅ…水が飲みたい!

 横になったまま手をバタバタ振って 水、水、と うめいていたら

「やっと起きたか」

 トルーデが、俺の両手を引っ張ってベッドの上で半身を起こさせた。

 勢いが良すぎてちょっとクラッとした。

 グラスに入った冷水を渡される。
「水飲め。あれだけ飲んだら喉がカラッカラだろ」

「悪ぃな…」

 ごくごく。プハー あー、水が美味い!

 ええと、確か昨日は…



戦争が終わった

故郷に帰ってきた

自宅へ

その男誰やねん

俺、ショック受ける

トルーデに遭遇

ヤケ酒

クダを巻く



 あー、途中から記憶がおぼろげだ。酔って、なんかごちゃごちゃと、グダグダと、未練がましいことを言ってた、よう、な‥??

 教えてトルーデ…

「フランツが『潰れた』から 我が家の馬車で、この別邸まで運ばせてもらったよ。
 つい勧めすぎてしまったかもしれない。すまない…」

「い、いや、ヤケ酒に付き合ってくれって頼んだのは俺だから、謝られるようなことは、なにも…、この屋敷ってケストナー家の別邸なの、か?」

「そうだよ」

 やっと認識出来てきた。俺が今いるところに。

 絢爛華美ではないが、重厚な調度品、高い天井、広い部屋、でかいベッド、シルクのシーツ、ふかふかの掛け布団、枕。

 外はいい天気。窓の外からは鳥の声。目の前の麗人トルーデからは薔薇のような芳しい香りがする。
 うん、別世界かな???

 襟がフリル状のブラウス、動きやすいトラウザーズ姿で、俺を見てにっこり笑むトルーデ。

 お前、家でも男装なのかよ!!まあいいけど!!!うん、すごく似合ってる!そのトップス!!

 なんか背後に薔薇が見えるかも!俺、まだ酒残ってんのかな……。

 確か俺は、あの、小汚い格好で、(ブーツだけ安靴に替えて)あの飲み屋に行った筈だが
 今の俺はいつの間にか貫頭衣のような寝巻きを着ていた。

 身体もサッパリしている。俺から、せっけんの匂いすらする。

 どうやら
 俺はこの別邸の風呂場で丸洗いされたらしい。

 ベロベロに酔っ払った汚い男を、洗わせてしまった…。

 あああ すいません…俺、そこらの汚れた野良犬よりか洗いがいのある汚れ具合だったかも。

 うん、俺、野良犬以下!迷惑かけすぎィィィィ!

 そしてちょっと恥ずかしい!まあ男性の使用人の方達だとは思うんだけども!うん…。

 両手で髪をガシガシやって、穴があったら入りたい気持ちになる俺。

「…大丈夫か?」

「ああ、うん、色々迷惑をかけたな ごめん ありがとう…」

「迷惑だなんて思わないさ 他ほかならぬ君だもの」

 トルーデの、破壊力バツグンの微笑みキターーーー!白い歯が綺麗!

 キラキラしたものが室内に充満してる気がする‥なんなんだろう、コレ、「魅了」の魔法かな?

 それとも妖精が飛んでる?

 いやいやいや、勘違いしてはいけない。

 俺なんかに「魅了」の魔法をかけねえだろ。

 HAHAHAHAHA 平凡を煮詰めて平凡にしたような俺、勘違いなんか致しません。

 大体、元々美しいトルーデなんだからこれは単に美しさゆえの現象か…??

 嗚呼、美しさは罪 ────…

 俺相手に魔法も魅了もヘッタクレもねえか。
 うん、友達友達友達友達友達友達友達友達友達友達友達…

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