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第四章 セストの秘密
少年チーロ
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風にあたりたい。ロザリアは一人、再び魔の森を見下ろせる砦の上に立った。沈みかけた夕日が、赤く魔の森を染めている。石壁の塀に頬杖を付き、つくともなくため息をつく。
普段は考えないようにしている前世でのことや、真っ暗な闇に覆われた最期の瞬間のことが蘇ってくる。
同時に、自分の本質はロザリアであるのか、山本めぐであるのかという答えの出ない問いが襲ってくる。
いつもならそんな不安に襲われてもロザリアの周りには、父や母、姉や妹にペアーノ室長に同僚達がいる。どん底に落ちる前に、彼らとの日常が、いつもロザリアを元の場所へと掬い上げてくれる。
「……はぁ」
でもここには誰もいない。落ちるところまで落ちる前に、自分で気持ちを立て直さなければ。明日は早朝から一角獣狩りが始まるのだ。
「やーっと会いにこられた!」
頬杖を付き、眼下に赤く染まる魔の森を見下ろしていると、すぐ側で子供の声があがった。
声のした方を見ると、小学生高学年くらいの少年が、にこにこしながら立っていた。いつの間にこんな側まで来たのだろう。
短めに刈った髪はセストと同じ銀髪で、子供らしい大きな瞳は緑がかった灰白色だ。貫頭衣を着た少年は、蔦模様が刺繍された腰帯を結んでいる。見たことのある意匠だった。どこでだったかと考えるまでもなく、瞬時にわかった。セストの家だ。調度類や、貸してくれた服に描かれていた蔦模様と同じだ。
そちらに気を取られていると、少年は上から下までロザリアに視線を走らせた。
「もうそんなに大きくなったんだね。やっぱ向こうの世界とこっちでは、時間軸がだいぶおかしなことになってんだな。ね、ディーナ」
「……ディーナ?」
聞き覚えのない名で呼ばれ、ロザリアは首を傾げた。そもそもこの少年のことをロザリアは知らない。
「あの、誰かと間違えてない?」
人違いされているとしか思えない。聞き返すと、少年はあははと笑った。
「そかそか。記憶がないんだっけな。そうだったよね。んー、じゃあなんだかおかしな感じだけど、はじめまして? でもあれ? 少なくとも一回は会ってるよね。それも覚えてないの? まぁいっか。えーっと、今はなんて名前なの?」
「わたしはロザリアだけど……」
「ロザリアかぁ。うん、いい名前だ。僕はチーロ。よろしくね、ロザリア」
「……よ、よろしく…?」
していいのかな。この砦に出入りする誰かの子供だろうか。きれいな顔立ちの男の子だ。にこにこと人懐っこく笑いながら、「ねぇ、来て」とロザリアの腕を引く。
記憶がないだの、チーロの言ったことの意味は全くわからなかったが、無邪気な笑顔に不審感を抱けず、ロザリアは戸惑った顔でチーロを見下ろした。
「お母さんとはぐれたの? 一緒に探そうか? それともお父さんと来たのかな?」
「何言ってんだよロザリア。僕のお母さんは君だし、お父さんなんて、とっくの昔に死んだからね」
ますますわからない。ロザリアにこんな大きな子供がいるはずもない。それにそもそも、一度も経験のないロザリアに子がいるはずがない。
「えっと……、どうしよっか」
子供の相手は正直得意ではない。しかもチーロは意味のわからないことばかり言う。大人をからかって遊んでいるのかもしれないが、だからといってこんな砦に置き去りにするわけにもいかない。
ロザリアの袖を握るチーロの手をとり、ロザリアは手を繋いだ。まだ幼さの残る柔らかな手だ。
「とりあえず誰かに聞いてみようか」
砦の中を聞いて回ったら、チーロの保護者は必ずいるはずだ。王都からこちらへ移動してきた狩りのメンバーの子がついてきた可能性は低いだろうから、元々この砦に出入りしている者の子だろう。魔法防衛局や魔石収集室に勤めている魔法士の子供かもしれない。
けれどそんなロザリアの考えとは別に、チーロは焦れたように声を上げた。
「もう、だから誰かに聞いてみるとかそんなのいいから。僕と一緒に来てよ。せっかくこっちの世界で会えたんだ。僕の家に来てよ。一緒に帰ろうよ」
チーロはぐいぐいとロザリアの手を引っ張る。子供とはいえ十歳くらいの少年の力だ。それなりに強い。引かれるままに足が動いた。
「ちょっと待って、チーロくん。君の家はまた今度遊びに行かせてもらうね。わたし明日の朝から大事な仕事で、今からチーロくんの家に遊びに行くわけにはいかないの」
「だーかーらー。遊びに来るんじゃなくて、そこがロザリアのほんとの家だから。帰るだけだから」
「ちょっと、言ってる意味がわからないかなぁ」
宥めるように言い、ロザリアが足を止めると、チーロは頬をぷくっと膨らませた。
「もう、いちいち面倒くさいなぁ。さっきも言ったろう? ロザリアは僕のお母様なんだって。ちゃんと僕の話聞いてくれてた?」
「聞いてたわよ。聞いてたけど、ほんとにわからない。第一もしほんとにチーロくんが私の子供なら、わたしは八歳くらいで子供を産んだことになる。チーロくんって十歳くらいでしょ?」
「十歳だよ。だからそれもさっきちゃんと言ったでしょ。時間軸がズレてるんだから」
こっちの世界と前世の世界との時間軸のズレについては正確なところはわからない。チーロにそうだと言われればそうなのかもしれないが、前世の記憶と重ね合わせてみても、ロザリアは子供を産んだことはない。
「え? ちょっと待って?」
それよりも重大なことに気が付いた。
「……向こうの世界とこっちの世界って…言った? チーロくん、わたしの元いた世界のことを知っているの?」
チーロの話は、ロザリアが異世界から転生してきたことを承知しているかのような言い方だ。
ロザリアの驚きをよそに、チーロは、「なんだそんなことか」と軽く受け、当然のようにロザリアが秘密にしてきたことを暴露する。
「もちろん知ってるさ。ロザリアは異世界からの転生者だろ?」
「なっ……」
二の句が継げずにいると、自分の言葉がロザリアに衝撃を与えたことに満足したチーロは、へへんと得意げだ。
「ついでに言うと、ロザリアは僕のお母様のディーナの生まれ変わりでもあるんだぞ。ロザリアは忘れてるだろうけど、元々ロザリアはディーナとしてこの世界で生きていた。賊に襲われて死んだけどね。で、異世界で山本めぐだっけ? 確か。そんな名前で転生して、またこっちの世界に転生した」
「え? え? え?」
チーロの口からぽんぽんと衝撃的な話が飛び出す。ロザリアは頭がパニックだ。
自分が元々はこちらの住人だった?
それもこんな大きな子供がいるようなお母さん?
それにどうして―――。
前世の山本めぐという名前までチーロは知っているのだろうか。
眼下の魔の森がざわりと蠢いた。吸い込まれそうな緑がかった灰白色の瞳に、ロザリアの奥深くに眠っていた記憶がつつかれた。
「……そうだ…。わたし、あなたのことを知ってる…。あの日、わたしのところへ来たよね。あの夜、会社からの帰り道で……」
繁華な駅前通りを過ぎ、人気のない路地を少し行っところで。
今みたいに、無邪気な子供の声で、「見ーつけた」と嬉しそうに言われた。銀髪の可愛らしい子供で、「どうしたの? こんなところで一人でいたら危ないよ。お母さんは?」とさっきみたいに自分は話しかけた。
名前も聞かれた。少年相手だったから、普通に名乗って、一緒にお母さんを探してあげるねと少年の手を取ったところで、全てが闇に反転した。
「あの闇って……」
今思い返してみれば、転移の渦に入る時と同じだった。
「こっちの世界にわたしを連れてくるために転移しようとしたの?」
チーロはへへと悪びれず笑い、
「そうなんだ。ちゃんと連れて帰れるかどうか他の人で試したんだけどさ。その時はうまく行ったのに、僕どこかで手順を間違えたんだろうね。めぐちゃんこっちの世界に来た途端死んじゃってさ。ごめんね」
「ごめんねって……。そんな…」
軽く謝られて、はいそうですかと納得できる話ではない。あの一瞬で、チーロは山本めぐの全てを奪っていったのだ。
「信じられない…」
「だよね。でもほんとだから」
「違う。わたしが言ったのは、そういうことじゃない。そんな簡単に、人一人の命を奪っておいて、そんな、ごめんねって。そんなのって…あんまりよ」
そのせいでどれだけロザリアが苦しんできたか。残してきた家族や友達のことを、どれほど心配したか。
そんな簡単な言葉一つで片付けられることではない。
ロザリアが目に涙をためてチーロを見ると、チーロは、え?と驚いた顔をして、急におろおろとしだした。
「な、なに泣いてんだよ。別にいいじゃん、どうせ転生できることは分かってたんだから。何も泣くことはないだろ?」
「転生できるなら、その人の人生を奪ってもいいの? そうじゃないでしょう? チーロ、あなたもう十歳なんだよね。そんなこともわからないの?」
ロザリアが真っ直ぐにチーロの目を見て叱ると、チーロは「な、なんだよ」とぱっとロザリアの手を離した。
「急にお母様みたいな顔するなよな。き、今日のところは一人で帰るよ。なんだよ、なんだよ。大事なこともなんにも教えてくれずに死んだのは、ディーナの方なんだぞ」
チーロは不満そうに頬を膨らませ、くるりと踵を返すと石壁の塀に跳び乗った。一瞬振り返って恨めしそうな目でロザリアを見、チーロは宙へ身を躍らせた。
「えっ!」
驚いて塀にかけより、眼下を見下ろしても、チーロの姿はもうどこにもなかった。
普段は考えないようにしている前世でのことや、真っ暗な闇に覆われた最期の瞬間のことが蘇ってくる。
同時に、自分の本質はロザリアであるのか、山本めぐであるのかという答えの出ない問いが襲ってくる。
いつもならそんな不安に襲われてもロザリアの周りには、父や母、姉や妹にペアーノ室長に同僚達がいる。どん底に落ちる前に、彼らとの日常が、いつもロザリアを元の場所へと掬い上げてくれる。
「……はぁ」
でもここには誰もいない。落ちるところまで落ちる前に、自分で気持ちを立て直さなければ。明日は早朝から一角獣狩りが始まるのだ。
「やーっと会いにこられた!」
頬杖を付き、眼下に赤く染まる魔の森を見下ろしていると、すぐ側で子供の声があがった。
声のした方を見ると、小学生高学年くらいの少年が、にこにこしながら立っていた。いつの間にこんな側まで来たのだろう。
短めに刈った髪はセストと同じ銀髪で、子供らしい大きな瞳は緑がかった灰白色だ。貫頭衣を着た少年は、蔦模様が刺繍された腰帯を結んでいる。見たことのある意匠だった。どこでだったかと考えるまでもなく、瞬時にわかった。セストの家だ。調度類や、貸してくれた服に描かれていた蔦模様と同じだ。
そちらに気を取られていると、少年は上から下までロザリアに視線を走らせた。
「もうそんなに大きくなったんだね。やっぱ向こうの世界とこっちでは、時間軸がだいぶおかしなことになってんだな。ね、ディーナ」
「……ディーナ?」
聞き覚えのない名で呼ばれ、ロザリアは首を傾げた。そもそもこの少年のことをロザリアは知らない。
「あの、誰かと間違えてない?」
人違いされているとしか思えない。聞き返すと、少年はあははと笑った。
「そかそか。記憶がないんだっけな。そうだったよね。んー、じゃあなんだかおかしな感じだけど、はじめまして? でもあれ? 少なくとも一回は会ってるよね。それも覚えてないの? まぁいっか。えーっと、今はなんて名前なの?」
「わたしはロザリアだけど……」
「ロザリアかぁ。うん、いい名前だ。僕はチーロ。よろしくね、ロザリア」
「……よ、よろしく…?」
していいのかな。この砦に出入りする誰かの子供だろうか。きれいな顔立ちの男の子だ。にこにこと人懐っこく笑いながら、「ねぇ、来て」とロザリアの腕を引く。
記憶がないだの、チーロの言ったことの意味は全くわからなかったが、無邪気な笑顔に不審感を抱けず、ロザリアは戸惑った顔でチーロを見下ろした。
「お母さんとはぐれたの? 一緒に探そうか? それともお父さんと来たのかな?」
「何言ってんだよロザリア。僕のお母さんは君だし、お父さんなんて、とっくの昔に死んだからね」
ますますわからない。ロザリアにこんな大きな子供がいるはずもない。それにそもそも、一度も経験のないロザリアに子がいるはずがない。
「えっと……、どうしよっか」
子供の相手は正直得意ではない。しかもチーロは意味のわからないことばかり言う。大人をからかって遊んでいるのかもしれないが、だからといってこんな砦に置き去りにするわけにもいかない。
ロザリアの袖を握るチーロの手をとり、ロザリアは手を繋いだ。まだ幼さの残る柔らかな手だ。
「とりあえず誰かに聞いてみようか」
砦の中を聞いて回ったら、チーロの保護者は必ずいるはずだ。王都からこちらへ移動してきた狩りのメンバーの子がついてきた可能性は低いだろうから、元々この砦に出入りしている者の子だろう。魔法防衛局や魔石収集室に勤めている魔法士の子供かもしれない。
けれどそんなロザリアの考えとは別に、チーロは焦れたように声を上げた。
「もう、だから誰かに聞いてみるとかそんなのいいから。僕と一緒に来てよ。せっかくこっちの世界で会えたんだ。僕の家に来てよ。一緒に帰ろうよ」
チーロはぐいぐいとロザリアの手を引っ張る。子供とはいえ十歳くらいの少年の力だ。それなりに強い。引かれるままに足が動いた。
「ちょっと待って、チーロくん。君の家はまた今度遊びに行かせてもらうね。わたし明日の朝から大事な仕事で、今からチーロくんの家に遊びに行くわけにはいかないの」
「だーかーらー。遊びに来るんじゃなくて、そこがロザリアのほんとの家だから。帰るだけだから」
「ちょっと、言ってる意味がわからないかなぁ」
宥めるように言い、ロザリアが足を止めると、チーロは頬をぷくっと膨らませた。
「もう、いちいち面倒くさいなぁ。さっきも言ったろう? ロザリアは僕のお母様なんだって。ちゃんと僕の話聞いてくれてた?」
「聞いてたわよ。聞いてたけど、ほんとにわからない。第一もしほんとにチーロくんが私の子供なら、わたしは八歳くらいで子供を産んだことになる。チーロくんって十歳くらいでしょ?」
「十歳だよ。だからそれもさっきちゃんと言ったでしょ。時間軸がズレてるんだから」
こっちの世界と前世の世界との時間軸のズレについては正確なところはわからない。チーロにそうだと言われればそうなのかもしれないが、前世の記憶と重ね合わせてみても、ロザリアは子供を産んだことはない。
「え? ちょっと待って?」
それよりも重大なことに気が付いた。
「……向こうの世界とこっちの世界って…言った? チーロくん、わたしの元いた世界のことを知っているの?」
チーロの話は、ロザリアが異世界から転生してきたことを承知しているかのような言い方だ。
ロザリアの驚きをよそに、チーロは、「なんだそんなことか」と軽く受け、当然のようにロザリアが秘密にしてきたことを暴露する。
「もちろん知ってるさ。ロザリアは異世界からの転生者だろ?」
「なっ……」
二の句が継げずにいると、自分の言葉がロザリアに衝撃を与えたことに満足したチーロは、へへんと得意げだ。
「ついでに言うと、ロザリアは僕のお母様のディーナの生まれ変わりでもあるんだぞ。ロザリアは忘れてるだろうけど、元々ロザリアはディーナとしてこの世界で生きていた。賊に襲われて死んだけどね。で、異世界で山本めぐだっけ? 確か。そんな名前で転生して、またこっちの世界に転生した」
「え? え? え?」
チーロの口からぽんぽんと衝撃的な話が飛び出す。ロザリアは頭がパニックだ。
自分が元々はこちらの住人だった?
それもこんな大きな子供がいるようなお母さん?
それにどうして―――。
前世の山本めぐという名前までチーロは知っているのだろうか。
眼下の魔の森がざわりと蠢いた。吸い込まれそうな緑がかった灰白色の瞳に、ロザリアの奥深くに眠っていた記憶がつつかれた。
「……そうだ…。わたし、あなたのことを知ってる…。あの日、わたしのところへ来たよね。あの夜、会社からの帰り道で……」
繁華な駅前通りを過ぎ、人気のない路地を少し行っところで。
今みたいに、無邪気な子供の声で、「見ーつけた」と嬉しそうに言われた。銀髪の可愛らしい子供で、「どうしたの? こんなところで一人でいたら危ないよ。お母さんは?」とさっきみたいに自分は話しかけた。
名前も聞かれた。少年相手だったから、普通に名乗って、一緒にお母さんを探してあげるねと少年の手を取ったところで、全てが闇に反転した。
「あの闇って……」
今思い返してみれば、転移の渦に入る時と同じだった。
「こっちの世界にわたしを連れてくるために転移しようとしたの?」
チーロはへへと悪びれず笑い、
「そうなんだ。ちゃんと連れて帰れるかどうか他の人で試したんだけどさ。その時はうまく行ったのに、僕どこかで手順を間違えたんだろうね。めぐちゃんこっちの世界に来た途端死んじゃってさ。ごめんね」
「ごめんねって……。そんな…」
軽く謝られて、はいそうですかと納得できる話ではない。あの一瞬で、チーロは山本めぐの全てを奪っていったのだ。
「信じられない…」
「だよね。でもほんとだから」
「違う。わたしが言ったのは、そういうことじゃない。そんな簡単に、人一人の命を奪っておいて、そんな、ごめんねって。そんなのって…あんまりよ」
そのせいでどれだけロザリアが苦しんできたか。残してきた家族や友達のことを、どれほど心配したか。
そんな簡単な言葉一つで片付けられることではない。
ロザリアが目に涙をためてチーロを見ると、チーロは、え?と驚いた顔をして、急におろおろとしだした。
「な、なに泣いてんだよ。別にいいじゃん、どうせ転生できることは分かってたんだから。何も泣くことはないだろ?」
「転生できるなら、その人の人生を奪ってもいいの? そうじゃないでしょう? チーロ、あなたもう十歳なんだよね。そんなこともわからないの?」
ロザリアが真っ直ぐにチーロの目を見て叱ると、チーロは「な、なんだよ」とぱっとロザリアの手を離した。
「急にお母様みたいな顔するなよな。き、今日のところは一人で帰るよ。なんだよ、なんだよ。大事なこともなんにも教えてくれずに死んだのは、ディーナの方なんだぞ」
チーロは不満そうに頬を膨らませ、くるりと踵を返すと石壁の塀に跳び乗った。一瞬振り返って恨めしそうな目でロザリアを見、チーロは宙へ身を躍らせた。
「えっ!」
驚いて塀にかけより、眼下を見下ろしても、チーロの姿はもうどこにもなかった。
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