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第一章
ヨハンナの夢と現実
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ヨハンナには夢がある。
またいつか、イクサカ地方の山岳地帯で、羊と共に暮らすことだ。
たくさんの羊を飼うことは難しいかもしれない。だからほんの数頭の羊たちと、少しの野菜を育て、できれば大好きな黄色いハララの花の側で暮らしたい。
昼はのんびり羊を放牧し、夜は、養父母である老夫婦に教えてもらった機織で、羊毛の絨緞を作る。そうして穏やかに時を刻み、吹き渡る草原の風を感じながら穏やかに暮らしたい。
「おいそこの女。きれいなエメラルドグリーンの髪と瞳だな。ハーネヤンの出かい?」
夕方の宿屋「山の裾」の一階食堂は戦場だ。
クシラ帝国でも、首都に継ぐ中核都市であるオシ街。
ヨハンナがかつて暮らしたイクサカ地方、その山岳地帯から流れ出る川を、西へと下った港町。
宿屋「山の裾」は、普段から多くの貿易商が出入りするこの街一番の宿屋である。その五階建ての一階部分。おかみさんの切り盛りする食堂で、ヨハンナは夕食を客へと運んでいた。
今日のメイン料理をテーブルへと並べたところで、そのテーブルについていた男性客がヨハンナの手を掴んだ。
「ハーネヤンの出かどうかと聞いてるんだよ。どうなんだい?」
「あの、すみません。お客様、手を離していただけますか」
夕食時の食堂は混む。おかみさんのいらいらも今が最高潮だ。酒の入った客たちは大声で話に花を咲かせ、名物の魚介料理に舌鼓を打つ。
たいてい上客は街の高級レストランへ行くので、この食堂へ食べに来るのは一般客だ。
主人についてきた馬丁の者や、小間使いが多い。野卑な言葉が飛び、手癖の悪い客は、お運びの女性従業員の尻を戯れに撫でてくる。
ヨハンナは男に掴まれた手を引いたが、男の力は存外に強かった。厨房を見るとおかみさんがいらいらした顔でこちらを睨んでいる。
客のあしらいなどさっさとして早く戻って来いということだ。まだまだ仕事は山のようにあるのだ。
「あの、お客様。手を……」
「さっさと客の質問に答えろ。無礼な下働きが。ハーネヤンなのか?」
ハーネヤンは海を渡った先にある大国の名前だ。いくつもの荒れた海を渡る海の民の国だ。
もちろん、下働きのヨハンナが、高い船賃を払って、海を渡ったそんな大国に行ったことがあるわけもない。
ハーネヤンの出かと聞かれれば、答えはノーだ。行ったことも見たこともない、話に聞くだけの大国だ。けれどハーネヤンには、ヨハンナと同じエメラルドの髪と瞳をした人種が多く、よくハーネヤンの出身だと間違われる。
「見事なエメラルドだな。ハーネヤンでもここまで鮮やかなエメラルドは珍しい。おまえ、ハーネヤンの出ではないだろう?」
腕を掴んだ客は、じろじろと鑑賞物を見るかのようにヨハンナを見てくる。
実際のところ、ヨハンナは自分がどこの出であるのか知らない。
知らないのだが、よくハーネヤンの出身かと聞かれるので聞かれればそうだと答えることにしていた。
一度知らないと答えたら、ではテンドウ族かとしつこく聞かれたことがあって、それ以来ハーネヤンだと答えている。
どうやら、十七年前に滅んだテンドウ族にも同じ特徴をもった人がいたらしい。
テンドウ族にとってエメラルドの瞳と髪は特別な色らしく、一度わからないと答えると「神子さま」と拝まれたことがある。
それに懲りて、その一件以来、ハーネヤンの出だと答えることにしていた。
しかしこのときは、早く仕事に戻らねば、おかみさんの勘気を買うことが気になって、過去の失敗を失念していた。
男の質問に答えるよりも、おかみさんの勘気が気になって仕方がなかった。
おかみさんは、仕事でドジをふんだり、ぐずったりすると、後で鞭を振るう。短い鞭で、手首をぶたれるのだが、みみずばれになってあとがとても痛い。
それに今日は漁火の灯火がある。
普段から夕方の食堂は混みあうが、今日はここオシ街で開かれている灯台祭りの中日とあって、各地から集まった人で特に賑わっていた。
部屋も満室で、いつもより早い夕食を軽く摂り、このあと酔客たちは街へと繰り出す。
「ヨハンナ! 何してんだい! さっさとしな! 愚図はいらないよ!」
とうとう業を煮やしたおかみさんの怒号が飛んだ。
「はい、おかみさん」
ヨハンナは慌てて返事を返し、未だ手を放そうとしない男を見た。
節くれだった指に、よく日に焼けた浅黒い顔。身なりは悪くない。商人の小間使いだろうか。太い眉の下の目は、他をだしぬいてやろうというしたたかさをのぞかせている。赤毛の男だった。
「女を引っかけるなら、宿屋じゃなくて娼館にでも行きな」
「あいてっ! いててててっ!」
横からぬっと腕が伸びてきて、ヨハンナを掴む男の腕を、別の腕が掴んだ。指に力を入れたらしく、したたかな目をした男は、叫びながらヨハンナから手を放した。
「なにすんだよ! いてぇじゃねぇか!」
男は赤毛を逆立てて後ろを振り返った。
男の手を掴んだのは、黒髪に琥珀の瞳を持った二十歳過ぎの青年だった。すらりと背が高く、腰に佩いた護身用の剣が異彩を放っている。
服装は商人の護衛といった簡素で動きやすいものだったが、他の酔客達にはない品の良さを漂わせている。
琥珀の瞳に、威圧的な何かを感じ取ったのだろう。赤毛のしたたかな目の男は、振り上げたこぶしをそっと下ろした。
「なんだい、兄ちゃん。邪魔すんじゃねぇよ」
悪態をつきながらも、大人しく席に戻り、ぐびっとグラスの酒をあおった。もう、ヨハンナに興味を失ったかのように。
ヨハンナは琥珀の瞳の青年にぺこりと頭を下げ、急いで厨房へと戻った。
どうかおかみさんが、この不手際を許してくれますように。
顔色を見ながら、後は言われた仕事を必死でこなした。
灯台祭りは、船の安全を見守る灯台に感謝の念を捧げる祭りで、オシ街で年一度開かれる。
船舶関係の仕事に従事する人間はもとより、その恩恵に預かる貿易商人、オシ街で商売をする人たちの無礼講でもある。
店先にはいつも以上に露店が出され、酒はオシ街の領主から無料で振舞われる。
祭りの中日である今日は、幾千もの船が海に繰り出し、一斉に漁火をともし、海を照らす。漁火の灯火と呼ばれる、祭りのハイライトが行われる。
少し高台から眺めるその光景は、白熱球の明かりが揺れる水面に映り、息をのむほど幻想的で美しい。
ヨハンナは、夜中に行われるこの漁火の灯火を初めて見たとき、その美しさに心を奪われた。
以来、一年に一度のこの光景を楽しみにしている。残念ながら去年は宿屋の仕事が終わらず、急いで高台へと駆けつけたときには最後の一隻が白い軌跡を描きながら遠洋へと遠ざかっていくところだった。
だから何としても今年は漁火の灯火をこの目に収めたかった。
なるべくスムーズに仕事を終わらせて、おかみさんの勘気で仕事を増やされたくはなかった。
遅れを取り戻そうと、ヨハンナは懸命に足と手を動かした。
この時のヨハンナの頭の中は、一年に一度の美しい光景のことでいっぱいだった。ハーネヤンの出身かという男の質問に明確に答えなかったことを後悔することになるとは、思いもよらなかった。
またいつか、イクサカ地方の山岳地帯で、羊と共に暮らすことだ。
たくさんの羊を飼うことは難しいかもしれない。だからほんの数頭の羊たちと、少しの野菜を育て、できれば大好きな黄色いハララの花の側で暮らしたい。
昼はのんびり羊を放牧し、夜は、養父母である老夫婦に教えてもらった機織で、羊毛の絨緞を作る。そうして穏やかに時を刻み、吹き渡る草原の風を感じながら穏やかに暮らしたい。
「おいそこの女。きれいなエメラルドグリーンの髪と瞳だな。ハーネヤンの出かい?」
夕方の宿屋「山の裾」の一階食堂は戦場だ。
クシラ帝国でも、首都に継ぐ中核都市であるオシ街。
ヨハンナがかつて暮らしたイクサカ地方、その山岳地帯から流れ出る川を、西へと下った港町。
宿屋「山の裾」は、普段から多くの貿易商が出入りするこの街一番の宿屋である。その五階建ての一階部分。おかみさんの切り盛りする食堂で、ヨハンナは夕食を客へと運んでいた。
今日のメイン料理をテーブルへと並べたところで、そのテーブルについていた男性客がヨハンナの手を掴んだ。
「ハーネヤンの出かどうかと聞いてるんだよ。どうなんだい?」
「あの、すみません。お客様、手を離していただけますか」
夕食時の食堂は混む。おかみさんのいらいらも今が最高潮だ。酒の入った客たちは大声で話に花を咲かせ、名物の魚介料理に舌鼓を打つ。
たいてい上客は街の高級レストランへ行くので、この食堂へ食べに来るのは一般客だ。
主人についてきた馬丁の者や、小間使いが多い。野卑な言葉が飛び、手癖の悪い客は、お運びの女性従業員の尻を戯れに撫でてくる。
ヨハンナは男に掴まれた手を引いたが、男の力は存外に強かった。厨房を見るとおかみさんがいらいらした顔でこちらを睨んでいる。
客のあしらいなどさっさとして早く戻って来いということだ。まだまだ仕事は山のようにあるのだ。
「あの、お客様。手を……」
「さっさと客の質問に答えろ。無礼な下働きが。ハーネヤンなのか?」
ハーネヤンは海を渡った先にある大国の名前だ。いくつもの荒れた海を渡る海の民の国だ。
もちろん、下働きのヨハンナが、高い船賃を払って、海を渡ったそんな大国に行ったことがあるわけもない。
ハーネヤンの出かと聞かれれば、答えはノーだ。行ったことも見たこともない、話に聞くだけの大国だ。けれどハーネヤンには、ヨハンナと同じエメラルドの髪と瞳をした人種が多く、よくハーネヤンの出身だと間違われる。
「見事なエメラルドだな。ハーネヤンでもここまで鮮やかなエメラルドは珍しい。おまえ、ハーネヤンの出ではないだろう?」
腕を掴んだ客は、じろじろと鑑賞物を見るかのようにヨハンナを見てくる。
実際のところ、ヨハンナは自分がどこの出であるのか知らない。
知らないのだが、よくハーネヤンの出身かと聞かれるので聞かれればそうだと答えることにしていた。
一度知らないと答えたら、ではテンドウ族かとしつこく聞かれたことがあって、それ以来ハーネヤンだと答えている。
どうやら、十七年前に滅んだテンドウ族にも同じ特徴をもった人がいたらしい。
テンドウ族にとってエメラルドの瞳と髪は特別な色らしく、一度わからないと答えると「神子さま」と拝まれたことがある。
それに懲りて、その一件以来、ハーネヤンの出だと答えることにしていた。
しかしこのときは、早く仕事に戻らねば、おかみさんの勘気を買うことが気になって、過去の失敗を失念していた。
男の質問に答えるよりも、おかみさんの勘気が気になって仕方がなかった。
おかみさんは、仕事でドジをふんだり、ぐずったりすると、後で鞭を振るう。短い鞭で、手首をぶたれるのだが、みみずばれになってあとがとても痛い。
それに今日は漁火の灯火がある。
普段から夕方の食堂は混みあうが、今日はここオシ街で開かれている灯台祭りの中日とあって、各地から集まった人で特に賑わっていた。
部屋も満室で、いつもより早い夕食を軽く摂り、このあと酔客たちは街へと繰り出す。
「ヨハンナ! 何してんだい! さっさとしな! 愚図はいらないよ!」
とうとう業を煮やしたおかみさんの怒号が飛んだ。
「はい、おかみさん」
ヨハンナは慌てて返事を返し、未だ手を放そうとしない男を見た。
節くれだった指に、よく日に焼けた浅黒い顔。身なりは悪くない。商人の小間使いだろうか。太い眉の下の目は、他をだしぬいてやろうというしたたかさをのぞかせている。赤毛の男だった。
「女を引っかけるなら、宿屋じゃなくて娼館にでも行きな」
「あいてっ! いててててっ!」
横からぬっと腕が伸びてきて、ヨハンナを掴む男の腕を、別の腕が掴んだ。指に力を入れたらしく、したたかな目をした男は、叫びながらヨハンナから手を放した。
「なにすんだよ! いてぇじゃねぇか!」
男は赤毛を逆立てて後ろを振り返った。
男の手を掴んだのは、黒髪に琥珀の瞳を持った二十歳過ぎの青年だった。すらりと背が高く、腰に佩いた護身用の剣が異彩を放っている。
服装は商人の護衛といった簡素で動きやすいものだったが、他の酔客達にはない品の良さを漂わせている。
琥珀の瞳に、威圧的な何かを感じ取ったのだろう。赤毛のしたたかな目の男は、振り上げたこぶしをそっと下ろした。
「なんだい、兄ちゃん。邪魔すんじゃねぇよ」
悪態をつきながらも、大人しく席に戻り、ぐびっとグラスの酒をあおった。もう、ヨハンナに興味を失ったかのように。
ヨハンナは琥珀の瞳の青年にぺこりと頭を下げ、急いで厨房へと戻った。
どうかおかみさんが、この不手際を許してくれますように。
顔色を見ながら、後は言われた仕事を必死でこなした。
灯台祭りは、船の安全を見守る灯台に感謝の念を捧げる祭りで、オシ街で年一度開かれる。
船舶関係の仕事に従事する人間はもとより、その恩恵に預かる貿易商人、オシ街で商売をする人たちの無礼講でもある。
店先にはいつも以上に露店が出され、酒はオシ街の領主から無料で振舞われる。
祭りの中日である今日は、幾千もの船が海に繰り出し、一斉に漁火をともし、海を照らす。漁火の灯火と呼ばれる、祭りのハイライトが行われる。
少し高台から眺めるその光景は、白熱球の明かりが揺れる水面に映り、息をのむほど幻想的で美しい。
ヨハンナは、夜中に行われるこの漁火の灯火を初めて見たとき、その美しさに心を奪われた。
以来、一年に一度のこの光景を楽しみにしている。残念ながら去年は宿屋の仕事が終わらず、急いで高台へと駆けつけたときには最後の一隻が白い軌跡を描きながら遠洋へと遠ざかっていくところだった。
だから何としても今年は漁火の灯火をこの目に収めたかった。
なるべくスムーズに仕事を終わらせて、おかみさんの勘気で仕事を増やされたくはなかった。
遅れを取り戻そうと、ヨハンナは懸命に足と手を動かした。
この時のヨハンナの頭の中は、一年に一度の美しい光景のことでいっぱいだった。ハーネヤンの出身かという男の質問に明確に答えなかったことを後悔することになるとは、思いもよらなかった。
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