錬金魔導師、魔法少女を奴隷調教する

濡れ雑巾と絞りカス

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第1章

新生活(1)

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 行為の後、茉莉香が動けるようになるまで二人はしばらくベッドで抱き合ったままだった。

 体を拭き、衣服を整えたところで、征司が話を切り出す。

「スッキリしたところで本題だ。まずはこれを渡しておこう」
「なにこれ…銀の…タグ?」

 手渡されたのは、スマホの四分の一くらいの大きさの金属のプレートだった。
 よく見ると、薄っすらと溝が刻まれ、『輝山 茉莉香』と書かれている。

「家畜みたいに首輪でも付けてそこにぶら下げておけとでも言うの?」

 茉莉香は、ふざけるなと言わんばかりに銀のタグを征司へと投げ返す。

「おっと。鞄とかスマホにつけるっていう発想よりも先にそういうのが出てくるのか。だいぶ環境に順応しているんじゃないか?」

 銀のタグを危なげなくキャッチし、笑いながら征司が言う。
 茉莉香は顔を真っ赤にしながら。

「……っ!そんなわけ無いでしょ、変態のあなたが考えそうなことを言っただけよ」
「まぁそういうことにしておこうか」

 事も無げに言い、「ちゃんと持っとけ」と茉莉香の右手を包み込むように両手で再度、銀のタグを手渡す。

「意外とむっつりだった茉莉香ちゃんがしたいうと言うならば首輪も用意するけれど、そいつは異空間収納機能が付いているから持ち運びには問題ないぞ」
 茉莉香は「誰がむっつりだ!」と抗議した後、手渡された銀のタグをまじまじと眺める。
「異空間収納って…」

 しまうときは収納したいと念じればいい、と言う征司。
 試してみると、スッと手のひらから銀のタグが消えた。
「取り出したいときはそう念じろ」
 指示通りに念じると、今度は手のひらに銀のタグが現れる。

「うそっ、これって…私達の武器と同じ…?!」

 異空間収納を行うときの感覚が、普段魔法少女として変身するときや、魔法少女の武器を召喚するときと同じであることに茉莉香は気づいた。

「原理は一緒だな」

 あっさりという征司に、茉莉香は驚きを隠せ無い。
 空間を操る魔法は、かなりの上位魔法である。それを物に付与しようとすると難易度は更に跳ね上がる。現に同様の効果を付与されている魔法少女の衣装や武器は神々によって作られたと言われており、どれほど空間魔法や物質生成魔法を得意としている魔法少女でも同様の効果を持ったアイテムを作り出すことはできなかった。せいぜい空間魔法を得意とする魔法少女が、自分の魔法で人や物体を異空間に移動させたり短距離を転送させたりできる程度である。

「でだ、そいつの使いみちだが、茉莉香の呪印の状態を確認するためのものだ。名前の刻んである面を上にして、状態を表示するように念じるか『状態表示』と言ってみろ」

 茉莉香が、異空間収納をしたときと同じように念じると銀のタグが緑色の光を放ち始める。SFアニメの空中ディスプレイのように何もない空間に文字が浮かび上がってきた。

「何よこれ…!?」

 --------------------------------------------------
 輝山 茉莉香 呪印侵食度 9%

『呪印効果(パッシブ)』
 状態通知、居場所通知、主人に対する悪意行動抑制

『呪印効果(アクティブ)』
 痛覚-快感変換、感度操作 0.1~50倍、
 意識誘導、記憶読み取り、身体制御、魔力制御、肉体変化
 --------------------------------------------------

 呪印の侵食度と発現している効果がRPGのステータスのように並んでいた。

「ふむ、やっぱり普通にセックスしただけじゃぁ侵食はほとんど進まないか…」

 いつの間にか茉莉香の後ろに移動し、ステータスを覗き込む征司が言う。
 ステータスに書かれた侵食度は、昨日処女を奪った後から変わっていなかった。

「ひゃんっ」

 茉莉香は驚き反射的に前方へ飛び退いた。

「いやー流石は魔法少女だよな。お前ら神々から力を授けられているせいで、外部からの侵食に対してプロテクトが硬い硬い。特に呪印みたいなのは本人が望むか、肉体を限界近くまで痛めつけたうえで、精神も限界近くまですり減らさないとほっとんど通らないからなぁ」
「私が屈すると呪印が侵食するって、そういうこと……」

 征司の言を信じるならば、呪印の侵食は普通にしていればほとんど進まず、茉莉香が望むか、心身がボロボロに傷つけられた状態になると進むということだ。

(つまり私の心が屈しなければ……!捕まっている状態で身体を責められるのはどうしようもないけれど、心さえ折れずに耐えれば、あるいは……)

「そう、だから茉莉香が自分から呪印を受け入れてくれるのが一番早いんだよな」

 考え込む茉莉香に、さも軽い口調の征司。

「そんなあり得ない期待されても困るわ。私の心は、絶対に屈しない」

 覚悟を秘めた、強い口調だった。

「まぁ、そうだよな。そうじゃなくっちゃ嬲り甲斐がねぇ。これからじっくりと時間をかけて、毎日たっぷりと責めまくってやるから楽しみにしてろよ」

(きっと前回の拷問のような酷い責めを何回もする気なのね…でも、それに耐えて、呪印を解呪してこの悪の錬金魔道士を倒す、それしか無いなら絶対にやってみせるわ)

 何をされても屈すること無く耐え抜き、その間に呪印の解呪方法を探るしか茉莉香が自由になる道はない。
 恐ろしく困難を極めるであろう茨の道だが、必ず成し遂げると心の中で静かに誓う。

「ちなみにそのタグ、ステータスタグって言うんだが、そいつの表記は表示するときにタグが茉莉香の様子を解析して、分かりやすい形で表記している。だからその時の状態によって表示内容は多少変わるぞ。目安程度に思っとけ。」

 言われて、茉莉香は再度、ステータスタグに表示された効果を確認する。

「侵食度はそうそう変わらないだろうが、そうだな…例えば俺が呪印に魔力を込めたりすると操作できる感度の倍率は上がるだろうし、逆に茉莉香が全力で抵抗したら多少は下がるだろうな」
「そう…わかりました」

(感度操作が最大50倍、この間犯されたときより数字が大きくなっているのね…。それに状態通知に居場所通知、どこにいても私がどんな常態なのか把握されてしまうということね…。身体が勝手に動かされていたのは身体制御の効果かしら。少なくともこの3つをなんとかしないと…簡単には逃げられないわね)

 明示的に書かれたことで、抵抗の難しさを感じた茉莉香は暗澹たる思いを抱き、ステータス表示を閉じた。
 一方で、茉莉香はどうしたら呪印に抵抗できるかを既に考え始めていた。

「ついでに、そいつは持っているだけでいろんな補助効果があるぞ。代表的なところだと、体力自動回復・魔力自動回復・物理耐性・魔法耐性・状態異常耐性・身体能力強化・魔力出力強化・魔力制御力強化あたりがレベル5相当で付与してある。当然呪印の効果のほうが優先されるけどな。それと茉莉香になにかしようとすると、その相手に茉莉香が俺の奴隷(もの)だってことが伝わるような効果も組み込んである」
 勝手に死なれたりでもしたら困るしな、と征司が言う。

「はぁぁっ!?嘘でしょっ!レベル5の効果を8つ以上付与するなんて、上位霊装クラスのアイテムじゃないそれ!!」

 ついでに付けるような効果じゃないわよ…と呆れるように呟きながらまじまじと銀のタグを見つめる茉莉香。

 魔法的な効果を付与された道具や装備を、この世界では霊装と言う。製作者の腕にもよるが、一般的に霊装に付与される効果は、アクセサリーのようなものであれば1つ、2つ程度、武器や鎧でも4つ以上あるものはそうそうない。効果にもよるが、5つ以上の効果が同時に付与されると、霊装のランクが1段階以上引き上げられる事が多い。
 ランクは、レベル1~10までにレート分けされ、付与効果のレベルによって決定される。複数付与されたものは最大レベルのものがその霊装のランクとなり、レベル1~2が下位霊装、3~5が中位霊装、6~8が上位霊装、9~10が最上位霊装となっている。
 征司が渡した銀のタグは、中位霊装クラスの付与効果が8つ以上あり、ひとつ上の上位霊装に匹敵するアクセサリーとなっている。

 アイテム作成ができる魔法少女でも、レベル4、5の付与ができれば良い方だ。最もアイテム作成に特化した魔法少女が素材を集め全力で作ったとしてもレベル6が限界。ぎりぎり上位霊装にたどりつく程度の魔道具を作り出すのが精々だ。そんなものを物のついでのように作り出す、征司の特異性に茉莉香が驚くのも無理はない。

 ちなみに、神から授けられた魔法少女の衣装や武器はほぼ全てが上位霊装。大抵がレベル7~8相当の効果を付与されている。
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