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プロローグ

魔法少女、敗北

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「―――――がはっ…ッ!」

 プリズマシャインは空中から屋上の硬いコンクリートの床面に向かって叩きつけられ、小さなクレーターを作りながら仰向けに倒れた。

「うっ…ゲホッ、がはっ…ぐっ……がっ」

 無理やり肺から空気を吐き出され激しく咳き込みながらも、少女は起き上がろうと必死に腕に力を入れる、しかし。

「てめぇ人の物吹き飛ばしておいて、俺の事無視して雑魚狩りはじめてんだよ。」

「ぐばぁぁ゛ぁぁ゛ぁ゛ぁっ!!」

 少女の元へ降り立つ錬金術師風の男。
 その見た目からは想像もつかないほどの圧倒的な速さと力で、上半身を起こそうとする可憐な少女の腹部を何度も何度も蹴りつけねじ伏せる。

「ぐぶぇっっ!がっふぁ……げほっ!!………や…やめっ、どうして」

 何度も腹を蹴られる衝撃に、吹き飛ばされたときでも握りしめていたショートソードが、とうとう手から零れ落ちる。無理やり吐き出される空気とともに上がってきた嘔吐と涙で顔中を汚しながら、少女が懇願する。

「どうして?俺の貴重な錬金材料吹き飛ばしておいて、どうしてもくそもあるか?」

 腹の上に右足を乗せたまま、手のひらに金属の鎖を召喚する錬金術師。
 鎖は意思を持っているかのように動き出し、プリズマシャインの両手首と両足首を雁字搦めに固定する。固定され、Iの時になった少女は、錬金術師の魔法により振りかぶった彼の腕がちょうど腹部と同じ高さになる位置まで持ち上がる。

 ――ドゴンッ!

「いぐはぎああああああああああああああああああぁぁぁーーーーー!!?」

 空中に固定され、腹部にさらなる追撃が加えられる。床を背にしていたときと違い、力を逃がす場所が無く、圧倒的な膂力によって加えられる一撃の全てが少女の細い身体に浸透する。

「てめぇが吹き飛ばした素材、どれだけの価値があるものだと思ってやがる。人の人生どころか、小さな企業1つ丸々買収できるような金額だったんだぞ?」

 ――ボコッ!

「おっぼぉおおおおぉぉぉおおおおおおおーーーーーーーっ!!」

 こみ上げる胃酸を吐き散らしながら、信じられないものを見るかのような視線を錬金魔道士へ注ぐ。

「あぁ、もしかしてどうして自分がこんなにあっさりやられているんだ、って意味の『どうして』か?そりゃてめぇよりも俺が強ぇからだよ、魔法道具を作るだけしか能がない錬金術師だと思って舐めてやがったのか?」

 容赦なく腹を殴られている魔法少女に、少年の言葉へ返す余裕はない。
 少年のあまりの強さに、褐色の男も唖然としていた。

「うぶぅぅぅっううううえ゛え゛っぇぇぇあ゛ぁぁぁっ!!」

 上下に伸ばされた手足を軸に、少女の身体がくの字に折れ、抑えきれなかった胃酸が口から吹き出す。

 ――ボゴン!

「くぅぅ……っそぉ……ほおおおおぉごおおぉぉっ!!!」

 見た目の反した防御力を誇るレオタード型変身衣装のはずなのだが、その上から3度腹部を殴打されただけで少女の視界に星が散り、胃から黄色い酸が逆流してくるのを止められなくなった。

「今代最強の天才魔法少女…か、今代最強程度で歴代最強の錬金魔道士に勝てるわけねぇだろ。」

 男がただの錬金術師ではないという発言と、その異様なまでの攻撃力に魔法少女は生命の危機を感じる。
 このままでは殺されかねない。手足の拘束を解くための対抗魔法を発動させようと必死に集中する。

 とはいえ、強固な鎖はそう簡単に解けそうにない。
 避けられない次の一撃に耐える覚悟を決め、喉を焼く胃酸の痛みと苦味を堪え腹部に力を入れた。
 しかし少女の覚悟を余所に、錬金魔道士を名乗った男の手は、少女の腹ではなく豊満な胸へとのびる。

「しかし、間近で見るとほんとにでけぇなぁ」
「……あっぐっ…や゛めっ…おっぱい………揉まないで……ひぎぃぃぃぃぃぃっ」

 すべすべとした薄いスーツ越しに、少女のEカップはある巨乳を持ち上げ、引っ張り、力を込めて揉みしだく。

「うっはすげぇ肉感、重っこれ1kg近くあるんじゃねぇの?おっ、なんだよ乳首ビンビンじゃねぇか」
「あぎっぃぃ…や…ちくび…とれちゃ…あぁぁぁぁっ………ひぐあぁっ」

 少女の右乳が引きちぎれんばかりに伸ばされ、勢いよく離されると、その衝撃に声が漏れ魔法の集中が途切れる。

「くうぅぅぅ……戦いの最中に敵の胸を揉むなんてっ!」
「ははっ、戦い…なぁ」

 まるで勝負にならず一方的に殴りつけている状況に、錬金魔道士が呆れたような声で笑う。

(…余裕ってこと…馬鹿にしてっ…!すぐに後悔させてあげるわ!!)

 錬金魔道士を睨みつけ、この隙を逃すものかと一度途切れた魔法を発動さるため再度集中を高まらせる。

「気に触ったか?悪い悪い。ところで、ここだって十分に人体の急所だぜ?」

 笑いながら、睨む少女の左乳首をクリクリと摘む。

「……くぅっ…!!」

 少女は捏ねくり回される乳首が発する痛みと、少しの快感に耐えながら集中した魔力を更に高める。

「なんたって掴みやすい!」
「はぁっ!?」

 錬金魔道士の一言に、嘲笑とも取れる声をあげたその直後、少女の絶叫が迸った。
 ――ブチンッ!
 樹から熟れた果実を摘み取るように簡単に、レオタードの生地ごと少女の左乳首が引きちぎられた。

「ひぎいいいいいいいいいいいいいいいいいああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーつっっっ!!!」

 あまりに唐突に人体の一部を引きちぎられ、予想もしていなかった激痛に魔力の制御も何もかも吹き飛ばされ只々叫ぶ。
 穴の空いた左房の頂から、勢いよく血と肉が吹き出す。

「戦闘だからな、きちんと急所を狙って相手を倒さないとなっと!」

 ――ブチンッ!

「はぁぁっっぎいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃいぃいぃぃぃぃぃああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!」

 同様の軽い仕草で今度は少女の右乳首が引きちぎられる。左房と同様に、勢いよく血肉が飛び出した後、ドクドクと血が溢れだす。
 錬金魔道士は飛び散り口元へ付着した少女の血をぺろりと舐めた後、吐き捨てるように言い放った。

「敵だってんならいいぜ、容赦なくてボコボコにしてやんよ!」

「はぐぅぅっ!!おっぉぼぉぉ!!ほごぉぉぉっ!ぐぶっうぇぇぇっ!!んぶっ!!がはぁぁっ!!」

 何度も紺色のスーツ越しに殴りつけられる。

(痛い痛い痛いっ!これは、だめっ……!なんとかして…抜け出さないと…!?)

「あがぁぁぁぁぁぁぁっ!!ひぎいいいぃぃぃいぃぃい!!」

 乳首を引きちぎられ、肝臓、胃、腸、子宮と満遍なく男の拳に嬲られ、口から血と共に泡が吹き出て痙攣しだす自称今代最強の魔法少女。

「………………っ!…………………………ぁっ!…………………ぅ……………はっ!!」

 今にも死にそうな状態ながら、最後の力を振り絞るように少女の右人差し指に魔力光が宿る。

「おいおい、でっけぇビルの柱も一撃で吹き飛ぶような威力で何発の殴ってんのに、まだ意識あるのかよ…」

 魔法少女のあまりの頑丈さに呆れた錬金魔道士は、最後のあがきを見せる少女にトドメを刺すためその股間から衣装を剥ぎ取り、包皮に隠された小さな陰核に手を伸ばす。
 皮をむかれ、きゅぃっと姿を顕にした小さな豆を掴み、次の瞬間容赦なく引きちぎった。

「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――いいいいぃっぎゃアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!」

 ――プシャァァァ!!

 一瞬遅れて、断末魔のような絶叫を上げ全身を何度も大きく痙攣させる魔法少女。その股間から真っ赤な鮮血と共に黄色い液体を撒き散らすとガクリと首を倒し意識を失った。

「…………ぅ………………………………ぁ…………………………………」


「お……おい、【錬金術師】!」

 と、そこに背後から狼狽えたような声がかかった。
 錬金魔道士は気絶した少女を投げ捨てると、声に向かって振り返った。
 彼の後ろ、ひび割れた床に仰向けにうつ伏せに倒れ痙攣する少女の股間からは止まること無くちょろちょろと尿が漏れ続け、仄かなアンモニア臭と共に湯気をあげていた。



「あぁ、悪い、あんたらの敵だったな。」
「いや、助けてもらってすまない。しかし・・・。」

 なんと言えば良いのかを考えながら、怯えるように言葉に詰まる褐色肌の男。
 護衛を含め誰一人として倒せるようなビジョンが見えず、命と引き換えに時間稼ぎをするのが精一杯だった魔法少女を瞬殺した錬金術師。彼に一切の怯えを見せずに相対するには、その男の精神力では難しかった。
 そんな男に対して、錬金魔道士は肩をすくめながら言う。

「渡したスーツケースは無事だろう?中身もおそらく大丈夫だ。」

 命をかけた逃亡劇を覚悟した直後の、突然の終幕にそこまで気が回っていなかった褐色肌の男はすぐにスーツケースを開いて確かめる。

「…大丈夫だ。だが、すまないこちらの商品は……」

 最初の砲撃で消失した布袋があった場所を見やりながら、男が力な呟くように言う。
 そんな男の肩に片手を置きながら。

「まぁ消えちまったもんは仕方ねぇ。受け取った後だし俺の不注意だ」

 油断したわ…とぼやきながら男が続ける。

「一応魔法少女連中には【中立】が行う取引には手を出すな、って前から警告はしてたんだけどなぁ…」

 頬を掻きながら、あーあ困った困った、といった表情を浮かべる。

「まぁ手を出してきたのは奴らだし、流石に実力差も考えて俺への報復とかはしてこないだろ。」

 男は、「まぁもしやってきたらぶっ潰してやるけどな」などと物騒なことを呟きながら不敵な笑みを浮かべた後、「あんたらはわかんねぇから気をつけろ」と忠告した。

「ということで、今回俺が受け取る商品が全部無くなっちまったわけだが……代わりといっちゃ何だが、こいつをもらっていくぜ」

 尿を漏らしきり、未だに痙攣しながら血の海に沈んでいる少女を親指で指さしながら褐色肌の男に告げる。

「……は?」

「お前らの怨敵だってことはわかっているんだが、流石に今回のことは俺も頭来たからな。わりぃけど吹っ飛んじまった商品の代わりにもらっていくぜ。」

「あぁいや、うむそれは構わないのだが。一体どうするつもりなのだ?」

「………………がはっ…!」

 痙攣する少女の腹部を蹴り上げ、浮き上がった身体を腕一本で抱える征司は。

「んー、ちょっと俺に楯突いたことを後悔して懺悔して悔恨しながら絶望しながら謝ってくるくらいまで嬲りながら奴隷として調教してやろうかと。あぁもしよさげに調教できたらレンタルしてやらんこともないぞ?無料で、とは言わないけどな。」

 なんでもないように言う征司の瞳の奥に、暗い殺意を感じとった褐色肌の男は、身震いしながらただ一言「そうか」と返した。

 彼は、《決してこの男と敵対してはならない》と胸に強く刻みつけ、虚空へ消える錬金魔道士を見送った。

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