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プロローグ
始まりの事件
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梅雨に差し掛かった6月頭の深夜、時刻は丁度22時、満月に近い大きな月に照らされた聖オルセン学園高等部の屋上の中央に2つのスーツケースを持った、男が一人佇んでいる。
目深くフードを被り、腰のポーチには虹色の液体の入った試験管、フィクションに出てくる錬金術師のような服装をしている。
あたりは暗く、週末だからか残業する職員の姿もないのか人がいる気配は無い。
「今回はずいぶんと護衛が多いな、クライアント殿」
男が声をかけた先、数瞬前まで何もいなかった空間が揺らぎ、褐色の肌でガタイの良い、少し神経質そうな顔をした男が現れた。
「時間通りだな、【錬金術師】。ここ最近はトラブルが多い、用心に越したことはない。」
褐色の男の背後を中心に、漆黒のスーツを身にまとった護衛が8人、屋上を囲うように控えあたりを警戒している。男の取引は、今月だけで既に3回の妨害を受けていた。
普段は1、2人しかいない護衛が増えるのも、取引相手の顔が普段と違って硬いのも頷ける。
「そうだな、噂は聞いてるよ。とっとと終わらせよう。商品は用意した、そちらは?」
「当然用意してある。魔界の鉱石、植物、魔物の臓器、要望通り揃えさせてもらった。」
【錬金術師】と呼ばれた男の周囲が蜃気楼のように揺らぎ、2人の黒スーツが大きな布袋を持って現れる。
錬金術師は男の持った袋を覗き込むと、「オーケー」と呟きながら手に持っていた2つのスーツケースを二人の黒スーツに手渡し。
「毎度あり、今後共【中立の万能屋】をどうぞよろしく。」
スーツケースを開け、中身を確認し頷く男たちに仰々しく挨拶をし、踵を返そうとしたその時。
――――――――――――ッ、ドガァァァァ――ン!!
激しい閃光とともに、黒スーツと錬金術師の中心で大きな爆発がおきた。
爆発の直前、布袋を投げ捨てとっさに爆発の反対へ飛びながら腰のポーチから試験管を投げつけた錬金術師は、虹色の障壁に守られながらも屋上のフェンスまで吹き飛ばされる。
反対側には、熱で溶けながらもかろうじて原型をとどめたスーツケース二つと二人分の肉片が、褐色の肌の男の眼前に張られた透明な壁にぶつかり張りついていた。
一瞬で二人が焼失し、爆風の止まぬ屋上に少女の声が響き渡る。
『そこまでよ!ブラックドレアム!!このプリズマシャインが来たからにはもう逃げられないわよ!!』
今月四回目の金髪魔法少女の襲撃だった。
目深くフードを被り、腰のポーチには虹色の液体の入った試験管、フィクションに出てくる錬金術師のような服装をしている。
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「毎度あり、今後共【中立の万能屋】をどうぞよろしく。」
スーツケースを開け、中身を確認し頷く男たちに仰々しく挨拶をし、踵を返そうとしたその時。
――――――――――――ッ、ドガァァァァ――ン!!
激しい閃光とともに、黒スーツと錬金術師の中心で大きな爆発がおきた。
爆発の直前、布袋を投げ捨てとっさに爆発の反対へ飛びながら腰のポーチから試験管を投げつけた錬金術師は、虹色の障壁に守られながらも屋上のフェンスまで吹き飛ばされる。
反対側には、熱で溶けながらもかろうじて原型をとどめたスーツケース二つと二人分の肉片が、褐色の肌の男の眼前に張られた透明な壁にぶつかり張りついていた。
一瞬で二人が焼失し、爆風の止まぬ屋上に少女の声が響き渡る。
『そこまでよ!ブラックドレアム!!このプリズマシャインが来たからにはもう逃げられないわよ!!』
今月四回目の金髪魔法少女の襲撃だった。
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