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第2章-耐久テスト編-
第20話:電撃、酸、熱耐久試験(2)
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バケツごと鉄の棒が片付けられ、次の道具が運ばれてきた。
次もバケツと、透明な銃の形をした…水鉄砲だろうか、それが一丁。
「熱がだめなら次は酸かのう」
ガイアスがバケツの中身を水鉄砲に入れる。ドロッとした、紫色の液体だ。塩酸とか硫酸のような、人類がよく扱う酸ではなさそうだ。
「何…それ……!!?」
バケツからは悪臭も漂ってくる。
匂いを嗅いだ叶海が顔をしかめ、離れたところにいるイービルガイですら鼻を摘んでいた。
「酸じゃよ。普通の塩酸なんぞでは貴様の仲間らにすら対して効果が無かったからのう、毒持ち怪人の体内から取り出した特製品じゃ。溶かせぬ敵などいない、などと豪語しておったが果たしてどうかのう」
叶海に向かって銃口を構え、ガイアスが引き金を引く。
――ぴゅっぴちゃ!
「ひいいぃぃっ!?やだっ、お腹!!」
叶海の腹部、スーツの上にべっとりと粘り気のある酸がかけられる。
異臭が叶海の鼻をつきシュワシュワと溶けるような音がするが、特に今回も痛みはない。
(あれ、大丈…夫?)
《肯定。スーツ表面の融解を確認しましたが、すぐに再生可能な範囲内です。装着者の皮膚まで到達することはありません》
「効いておらぬのう、尻も手足も同様か」
鉄の棒を押し付けられたときと同様に、背面、手足、剥き出しの肌にも酸がかけられるが、腹部と変わらない。ねっちりとこびりつき、シュワシュワと音を立てるだけだ。
《毒性の解析に成功。スーツの浄化機能により、付着した毒素を無毒化します》
AIの声が響いて少しすると、溶けるような音がやみ、こびりついた酸がスルリと下へ落ちていった。
(すごい!毒の無毒化とかもできるんだ…)
《肯定。体内に摂取した場合でも、ほとんどの毒素を無毒化可能です。敵地での長時間任務を想定し、スーツ及び着用者を清潔に保つ浄化機能も備えております》
(そんな機能が…あ、おしっこ漏らしたのが気持ち悪くないにももしかして)
《放尿を含む、着用者の体液は全て浄化済みです。スーツ表面及び着用者の臀部に付着した排便も浄化済みです。ウォシュレットよりも便利ですよ》
(あ、ありがとう…そうだった、さっきうんち…下痢便漏らしたんだった……)
叶海が脱糞アクメの黒歴史を思い出している間に、ガイアスが床に落ちても床を溶かさず、何事もない酸の残骸を見て呟く。
「完全に無毒化しよったな。やれやれ、入れ物を用意するのにも苦労したというのになんということじゃ」
酸入りのバケツと水鉄砲を片付け、今度は大型の機械を持ってくる。
そこから線でつながったシールを取り出し、それを叶海の身体に貼っていく。
両手両足、二の腕に太もも、腹に尻、股間にも貼られ、胸には上下左右これでもかと貼り付けられた。
「これって……!」
「うむ、貴様らの世界にも同様のものがあるらしいのう」
ガイアスが機械を操作し、威力調整をするレバーを引き上げると、シールから電流が走った。
――バチバチバチバチバチ!!
「くっ、ひいぃぃ……!?」
(電気っ、痛…くはないけど、ちょっと痺れる。ううわっ、スーツの表面バチバチしてる!?)
《問題ありません、スーツの耐電容量を下回っています。装着者への影響も微量、戦闘行動に支障ありません》
(そっか。って、こんな状態じゃぁ戦えないんだけど…)
AIと頭の中で会話していると、ガイアスから声がかかる。
「余裕そうじゃのぅ」
「そうよ、これくらいどうってことないわ、むしろ気持ちいいくらいよ」
「ほほう、流石はドMじゃのう、痛くて気持ちえぇか」
「なっ、そ、そうじゃないわよぉ!」
「フオッホッホッ、まぁこれからたっぷりと気持ちよくしてやるからそう興奮するでない」
誰が興奮なんてするか、と言い返そうとする直前、威力調整レバーが最大まで引き上げられる。
「うひいいいぃぃいぃ!?あぁっ、くううぅぅ痺れっ…あぁん」
叶海の反応に若干の苦痛が混じる。とはいえ、まだ余裕はありそうだ。
そんな叶海の様子には似つかわしくなく、スーツ表面では積乱雲の中のようにバチバチと轟音をたてものすごい威力の紫電が走りその光で部屋中を照らしている。
「ほほぅ…大したもんじゃ、これでも効かぬか。貴様の仲間の何人かはこれで黒焦げになったのじゃがのう」
「なっ、なんてことを…!!でも、わたしには効かないわ。無駄よ!」
(他の人達にもこんなひどいことしてるんだ…許せない)
怪人の残虐行為に怒りを覚える叶海だが、このままでは明日の我が身。
ガイアスの実験もこれで終わるとは思えない。
「そのようじゃ。他の連中と同様に、攻撃を続け限界を超えればダメージが通るようになるのか、試してみてもよいのじゃが…さすがにその様子ではいつ限界を超えるかわからんのぅ」
ガイアスがレバーを下ろすと、電流が止む。
バチバチと暫く叶海の身体表面で残った電気が弾けていたが、それもすぐにおさまる。
「さて、熱、酸、電気と試したがやはりそのスーツがある限り効かぬか。耐久性もこれまでのやつらとは比べ物にならぬな」
貼り付けたシールを全て外し、ゴブリンに次の実験道具を指示する。
「となれば、次は硬い敵を倒すためのセオリーを試すとしようか。どういうものか知っておるかのう?」
「……知らないわよ、そんなの」
「ふむ、まぁ単純な話じゃ。外がだめなら中から壊せ、じゃ」
次もバケツと、透明な銃の形をした…水鉄砲だろうか、それが一丁。
「熱がだめなら次は酸かのう」
ガイアスがバケツの中身を水鉄砲に入れる。ドロッとした、紫色の液体だ。塩酸とか硫酸のような、人類がよく扱う酸ではなさそうだ。
「何…それ……!!?」
バケツからは悪臭も漂ってくる。
匂いを嗅いだ叶海が顔をしかめ、離れたところにいるイービルガイですら鼻を摘んでいた。
「酸じゃよ。普通の塩酸なんぞでは貴様の仲間らにすら対して効果が無かったからのう、毒持ち怪人の体内から取り出した特製品じゃ。溶かせぬ敵などいない、などと豪語しておったが果たしてどうかのう」
叶海に向かって銃口を構え、ガイアスが引き金を引く。
――ぴゅっぴちゃ!
「ひいいぃぃっ!?やだっ、お腹!!」
叶海の腹部、スーツの上にべっとりと粘り気のある酸がかけられる。
異臭が叶海の鼻をつきシュワシュワと溶けるような音がするが、特に今回も痛みはない。
(あれ、大丈…夫?)
《肯定。スーツ表面の融解を確認しましたが、すぐに再生可能な範囲内です。装着者の皮膚まで到達することはありません》
「効いておらぬのう、尻も手足も同様か」
鉄の棒を押し付けられたときと同様に、背面、手足、剥き出しの肌にも酸がかけられるが、腹部と変わらない。ねっちりとこびりつき、シュワシュワと音を立てるだけだ。
《毒性の解析に成功。スーツの浄化機能により、付着した毒素を無毒化します》
AIの声が響いて少しすると、溶けるような音がやみ、こびりついた酸がスルリと下へ落ちていった。
(すごい!毒の無毒化とかもできるんだ…)
《肯定。体内に摂取した場合でも、ほとんどの毒素を無毒化可能です。敵地での長時間任務を想定し、スーツ及び着用者を清潔に保つ浄化機能も備えております》
(そんな機能が…あ、おしっこ漏らしたのが気持ち悪くないにももしかして)
《放尿を含む、着用者の体液は全て浄化済みです。スーツ表面及び着用者の臀部に付着した排便も浄化済みです。ウォシュレットよりも便利ですよ》
(あ、ありがとう…そうだった、さっきうんち…下痢便漏らしたんだった……)
叶海が脱糞アクメの黒歴史を思い出している間に、ガイアスが床に落ちても床を溶かさず、何事もない酸の残骸を見て呟く。
「完全に無毒化しよったな。やれやれ、入れ物を用意するのにも苦労したというのになんということじゃ」
酸入りのバケツと水鉄砲を片付け、今度は大型の機械を持ってくる。
そこから線でつながったシールを取り出し、それを叶海の身体に貼っていく。
両手両足、二の腕に太もも、腹に尻、股間にも貼られ、胸には上下左右これでもかと貼り付けられた。
「これって……!」
「うむ、貴様らの世界にも同様のものがあるらしいのう」
ガイアスが機械を操作し、威力調整をするレバーを引き上げると、シールから電流が走った。
――バチバチバチバチバチ!!
「くっ、ひいぃぃ……!?」
(電気っ、痛…くはないけど、ちょっと痺れる。ううわっ、スーツの表面バチバチしてる!?)
《問題ありません、スーツの耐電容量を下回っています。装着者への影響も微量、戦闘行動に支障ありません》
(そっか。って、こんな状態じゃぁ戦えないんだけど…)
AIと頭の中で会話していると、ガイアスから声がかかる。
「余裕そうじゃのぅ」
「そうよ、これくらいどうってことないわ、むしろ気持ちいいくらいよ」
「ほほう、流石はドMじゃのう、痛くて気持ちえぇか」
「なっ、そ、そうじゃないわよぉ!」
「フオッホッホッ、まぁこれからたっぷりと気持ちよくしてやるからそう興奮するでない」
誰が興奮なんてするか、と言い返そうとする直前、威力調整レバーが最大まで引き上げられる。
「うひいいいぃぃいぃ!?あぁっ、くううぅぅ痺れっ…あぁん」
叶海の反応に若干の苦痛が混じる。とはいえ、まだ余裕はありそうだ。
そんな叶海の様子には似つかわしくなく、スーツ表面では積乱雲の中のようにバチバチと轟音をたてものすごい威力の紫電が走りその光で部屋中を照らしている。
「ほほぅ…大したもんじゃ、これでも効かぬか。貴様の仲間の何人かはこれで黒焦げになったのじゃがのう」
「なっ、なんてことを…!!でも、わたしには効かないわ。無駄よ!」
(他の人達にもこんなひどいことしてるんだ…許せない)
怪人の残虐行為に怒りを覚える叶海だが、このままでは明日の我が身。
ガイアスの実験もこれで終わるとは思えない。
「そのようじゃ。他の連中と同様に、攻撃を続け限界を超えればダメージが通るようになるのか、試してみてもよいのじゃが…さすがにその様子ではいつ限界を超えるかわからんのぅ」
ガイアスがレバーを下ろすと、電流が止む。
バチバチと暫く叶海の身体表面で残った電気が弾けていたが、それもすぐにおさまる。
「さて、熱、酸、電気と試したがやはりそのスーツがある限り効かぬか。耐久性もこれまでのやつらとは比べ物にならぬな」
貼り付けたシールを全て外し、ゴブリンに次の実験道具を指示する。
「となれば、次は硬い敵を倒すためのセオリーを試すとしようか。どういうものか知っておるかのう?」
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