クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック

文字の大きさ
上 下
66 / 66
2章レルス王国編

キリアダンジョン最深層②

しおりを挟む
これはエマ次第だ。やれるか?」

「…!ええもちろんよ!!やれるわ!!」 

「よし…。反撃開始だ。」

3人で固まったまま移動して作戦を伝える。キメラの動きが見えてさせいれば3人で攻撃を防ぐのは難しいことじゃない。ただこちらから攻撃できないので一方的に殴られるだけだが。

「……って言うことだ。」「分かった!」「了解…!」

「よし、それじゃあ、作戦開始だ。」

3人が散り散りになる。そしてエマには俺の煌縛鎖を持たせる。俺たちの初めの一手は…。

「限界突破!!」

俺のスキル「限界突破」だ。ここで勝負を着ける!!

脚の許容範囲限界まで身体能力強化をかける。この強化が続くのは本当にわずか。それ以上は足がイカれてしまう…!!

だが、その間は…、

「よう…。俺と遊ぼうぜ。」

このキメラとほぼ互角。若干こちらが劣ってしまうが。なのですぐに後ろをとられて攻撃されてしまう。しかし先程までと違い余裕を持ってガードできる。

キメラも俺が急に速くなったことに戸惑ったようで、すぐに空へと逃げる…。だが…、

「逃がすか!!」

俺もキメラと同じように空をかける!!マジックで足場を作れば同じことができるんだよ!!

しかし相変わらず俺の攻撃は決まらない…!!コイツ…本当に攻撃を避けるときのスピードだけは段違いに速い…!!だが、それでいい。俺の目的は準備ができるまでコイツをここに留めておくこと。

「出来たよ!タイチ!!」

ルアの声を合図に俺は使

時間加速も時間減速もしていない俺はキメラの姿すら見えない。今の俺ではキメラの攻撃を防げない。まさに自殺行為。だが、俺は背中を刀でガードする。そしてすぐに予想通り俺の背中に衝撃が走る…!コイツは最初の攻撃以外はずっと背後から攻撃することにこだわっていたように見えた。予想通りだったな…。

俺はルアが先程居た位置を通り過ぎて壁に衝突する。

キメラは自分と同じぐらいの速さで動く俺を警戒したのか、一直線に俺の元へと向かってくる。

だ」

しかし…、キメラはルアが作ったとてつもなく細かい無数の魔法陣の罠にかかる。
 
「チェイントラップ…!やっと捕まえた!!」

今ルアが使った魔法陣は360度あらゆる方向に仕掛けられ、魔法陣のどれかひとつでも起動すると全てが起動するという中々に強力な効果だ。

発動した魔法は初級の土魔法…。それも相手を少しの間土で縛るだけの魔法だ。

このキメラなら1秒もないうちに抜け出すだろう。

だが…、

「十分…。」

その隙を逃さず、キメラの下から煌縛鎖が襲いかかり、確実に動きを止める!

これは俺が魔法を解除してすぐにゾーンを使い、エマが設置した煌縛鎖をこのポイントに向かってくるようにベクトルを操作した。完璧っ!これは嵌った!!

「エマっ!!!撃て!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Sideエマ  
「作戦を伝える。このまま敵の攻撃を防ぎながらきいてくれ。」

「わかった!」

「まず、俺がアイツと戦う。その間にルアは魔法陣を書いて欲しいんだ。」

「アレと戦うって言っても攻撃できるの?」 

「安心しろ。ちょっと俺との戦いで時間を無駄にしてもらうだけだ。それでルアの魔法陣だが、初級魔法で相手の動きを止める魔法とかないか?それをあるポイントに大量に仕込んで欲しい。」

「そういう魔法はあるけど…アレが相手じゃ1秒もないうちに逃げられちゃうよ?それに魔法陣に気づかれちゃうよ?」
 
「それは無いな。アイツは多分魔力感知が出来ない。じゃなきゃエマの銃弾なんか踏まえねぇよ。ほんの少し動きを止めれたらそれでいい。後は煌縛鎖で捕まえる。魔法陣をこの小さい鉄に書いてくれ。書いたらポイントに設置。」

「了解!」

「んで、エマには2つ頼みたい。1つは煌縛鎖を地面にばらけて置いてくれ。2つ目は俺がアイツの動きを止める。その瞬間をシリウスでアイツを撃ち抜け。」

大役じゃない…。私がミスしてしまえば全てが破綻してしまう…。

「やれるか?」

「……タイチは私がやれると思ってるの?」

「もちろんだ。」

「…やるわ。」

ここまで期待されてるんじゃ、絶対に断れないわ。それにタイチがルアが信じてくれてるのよ。それに応えなきゃ。

「それじゃあ、これが煌縛鎖だ。」

「…タイチ…、何かこれ濡れてるんだけど?」

タイチから渡されたアイテムボックスの中には煌縛鎖が入っていることは分かる。けど、何故かしら?中がすごく水浸しなのよ。

「……気にするな。作戦開始だ。」


これは時間が命だわ!私の雷装の時間も考えるとそんなに長くないわね。これが最後よ!

すぐに太一から渡された煌縛鎖を地面に刺していく。簡単には抜けないようにね。あの魔物なら鎖ごと移動してもおかしくないわ。

それが終わったらすぐにシリウスを取り出す。とっておきの魔法陣弾をセットして、タイチが言ったポイントに照準を合わせる…。

私が失敗すれば全てが終わる…。これほどまでにプレッシャーを感じることは今まで無かった。
 
大丈夫…。あんなにも練習してきた。私は…やれるわ…!!

「エマっ!!!撃て!!」

タイチの声を合図にシリウスの引き金を引こうとする……が、

バリリッ!

「えっ……?」

その瞬間に私の体から雷が霧散した。つまり…雷装の時間切れ…。シリウスは雷装がなきゃ撃つことは出来ない。私専用の武器…。

私はまた失敗したの?まだ出来損ないなの?私はまた…1人に……。

「諦めんな!!!」

はっ!上を見るとタイチ自身がキメラを押さえつけている。



私は変わりたかったんじゃない…。強くなりたかったんじゃない…。

私は……本当は……仲間が欲しかった………。仲間になりたかったんだ……。

「大人しくしてよ!!」

タイチがキメラから離れてしまい、鎖からの脱出を図ろうとしている。このままじゃすぐに抜け出す。

しかしそこをルアが火魔法で攻撃をする。避けられたけど鎖といつ仕込んだのか分からないけどもう一度ルアの魔法陣が発動して、キメラの動きが止まった。

今よ…!私の限界なんて知らない…!!期待してくれた人に応えたい…!!報いたい!!私は仲間を守りたい!!!

「雷…装!!!!」
 
一瞬だけ!!この一瞬だけでいい!!

動かない体を電気で無理やり動かす!!

「喰らいなさい!!!」

シリウスの引き金を引く!この弾丸は唯一私が作ったもの!魔法も私だけのオリジナル雷魔法。

雷を纏った弾丸は一直線にキメラに向かう!

もっと速く!疾く!!!

弾丸はキメラの反射すら間に合わないスピードで進み、キメラを撃ち抜く!!


「雷魔法…神威かむい!!」





Sideタイチ
しまった…。エマの雷装の時間切れか…!!

まだ間に合う…!カバーしろ。これが最初で最後のチャンスだ!

「ルア!!」

「分かってる!!」

俺はすぐに魔法をかけ直してキメラの元に向かう!ルアも俺の意図を汲んで行動してくれる。

鑑定でわかった。アイツはスピードにステータスをとんでもないほど振っているがそれ以外は大したことない!一撃でも与えることが出来れば倒せる!

クソっ!空間操作は相手が強すぎるなら相手の動きのベクトルを阻害してもほとんど意味をなさない。これが空間操作の弱点。強すぎる相手の前ではベクトルを邪魔しても意味が無い!このキメラの動きを阻害してもほとんど効果がないだろう。

だから強者と戦っても、同じレベルで戦えるように自分のベクトルを強化すればいいという考えで生まれたのが煌縛鎖だ。

このキメラを逃がさないように俺はキメラの背後からしがみつき、動きを阻害する。

「諦めんな!!!!」

まだチャンスはある。まだ勝つ希望は消えていない…!

空間操作ゾーン!!」

鎖の縛り付けを強化し、キメラの動きを止める!これなら避けれない!

「ルア!やれ!!」

タイミングを狙っていたルアがキメラに向かって突撃する。体力、耐久力も俺が上。俺ごと細剣で刺せば勝つのは俺達だ!

その時、キメラの尻尾の蛇が俺に噛み付く…!その瞬間に体から力が抜けていく。

毒か!そうか。俺が吹っ飛ばされたのはこいつが強くなったんじゃなくて俺が弱くなったからか!多分最初の一撃の時に喰らっていたのだろう。  

ヤバい!キメラの動きを止められない!体から力が抜けてキメラから手を離してしまい、地面へと落ちていく。

そのせいでルアの攻撃が決まらず避けられてしまう。

「大人しくしてよ!!」

ルアが炎の槍でキメラを追撃する。それもキメラは避ける。避けた先は先程、キメラを捕まえたポイントだった。そして…もう一度魔法陣が発動する。

あの魔法陣はルア…か…?いつの間に…。

この隙を逃すな…!!

体が動かないなど知ったことか!俺の身体だ!動け!!

風斬りかざぎり疾風はやて!!」

クサナギの居合切りでかまいたちを起こす。この技は風斬りシリーズの中で1番の射程と速さを誇る。

しかし、それがキメラに到達するよりも早く一条の電閃がキメラを穿つ!

そしてそれによりキメラから火が上がる。煌縛鎖に浸した大量の酒がキメラにも伝わり、発火したんだろう。

そしてその後すぐにキメラが真っ二つになる。

しおりを挟む
感想 28

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(28件)

2021.12.12 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

解除
よりより
2020.09.17 よりより

よく再会と書く所を再開って書いているのを目にしますが、なぜなのでしょう?

解除
イカペンギン

いつも楽しく読ませてもらってます

解除

あなたにおすすめの小説

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。 そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。 なんでも見通せるという万物を見通す目だった。 目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。 これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!? その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。 魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。 ※他サイトでも連載しています。  大体21:30分ごろに更新してます。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。

いけお
ファンタジー
仕事からの帰宅途中に突如足元に出来た穴に落ちて目が覚めるとそこは異世界でした。 元の世界に戻れないと言うので諦めて細々と身の丈に合った生活をして過ごそうと思っていたのに心配性な方々が守護霊として付いてきた所為で静かな暮らしになりそうもありません。 登場してくる神の性格などでツッコミや苦情等出るかと思いますが、こんな神様達が居たっていいじゃないかと大目に見てください。 追記 小説家になろう  ツギクル  でも投稿しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。