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2章レルス王国編

再び城へ

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「聞きなさい!絶対に城では暴れないようにしてよね!!」

「んな事言ってもなぁ。」

エマは朝から少し不機嫌気味だ。どうやら俺とルアの2人で寝ていたのが気に食わなかったらしい。

「はぁ…。昨日のタイチの行動も本当は国家反逆罪よ!!父上が許したから良かったものの本当なら死刑でも全然おかしくないわ!」

「しょうがないだろ?なんか貴族の奴らがムカついたんだから…。それに恐怖で脅すって目的もあったんだし。」

「昨日は目的があったからまだ許せたものの今日は駄目よ!何言われても絶対に暴れないでね!」

「エマちゃんの悪口言われても?」

「えぇ、そうよ!例え私の悪口や、タイチの悪口を言われてもよ!」

「わかってるよ。俺だってそこまで馬鹿じゃねぇ。目的もなく暴れたりしねぇよ。」

「私もわかってるよ!」

「……わかってるならいいのよ!」

「「多分!」」

俺とルアが息ぴったりでそう宣言した。

「あんた達ね~!!」

城に入ったらエマとは別れることになった。

昨日と同じように謁見の間まで連れていかれた。さてさて今日は平和に終わると信じたいな~。

おぉ~!昨日より貴族の豚が多いなぁ。それより多いのは騎士団、魔法師団の人数かな?明らかに俺に敵意を向けてるな。100人以上いるな。

「それではタイチ殿に褒美を与える。」

「はっ。ありがたき幸せ!」

この俺の言葉にルアとエマは笑いを堪えている様子。他の貴族も面白くないなさそうに俺を見る。

「タイチ殿の作るギルドの承認、ギルドの建物の贈呈、王国のダンジョンであるキリアダンジョン、ヤルガダンジョンの探索許可、亜人の罪人の譲渡、王城の書物の閲覧許可、御使い様の定期的な情報の提供を認める!」

「そして、余は王国がタイチ殿に危害を加えないことを宣言する。」

ふむ。貴族の奴隷の譲渡は出来ないっぽいな。貴族が奴隷を持っていません!って言い張ったのかもな。

「して、タイチ殿ギルド名はどうする?」

やべ。何も考えなかった。よし、ここは安直に行こう。えーっと亜人のギルドだから…。

「…ビースト…。ギルド名はビーストギルドです。」 

「ふむ。ここにビーストギルドの設立を認める!」

よし!ここまでは予想通り!見ろ!問題なく終わらせたぞ!

「ここで余から1つ、みんなに報告することがある。我が娘エマとそこにいるタイチ殿との婚約が決まった。タイチ殿は隣にいるルア殿と婚約しておるから後妻ということになる。」

……oh。言っちゃうのね。これで逃げ道は無くなったわけか…。元々婚約するつもりだったから良かったけど。問題はこれで他の貴族との摩擦が大きくならないかだな。
  
「なっ!?陛下!気は確かですか!」「王女様を助けたとは言え、国家を反逆を目論むようなものですぞ!」

まぁ、そうなるわな。別に有象無象なんざどうでもいいが。貴族からしたら王族の仲間入りのチケットを1つ失うわけだ。しかも美女で仕事ができてるが、出来損ないというレッテルで価値の下がった手に入れやすいチケットを。

「それでは我が息子との婚約はどうなるのですか?」

ん?婚約?既にしていたのか?

「ファーレン公爵…。婚約は拒否したはずだが…?」

「ぐっ…。しかし!そこの冒険者風情の子供を認めることはできません!」

いや、お前が認めなくても王が認めてるんだから関係ないだろ?何言ってんだこいつ?

「陛下!この冒険者より、私の方がエマ王女の婿としてふさわしいはずです!もう一度お考えを改め下さい!」

今度は公爵の隣から変なガキが王様にそう言ってくる。多分公爵の子供かな?どうでもいいけど。

あ~、さっさと書物読みに行きたんだけど。やることだって山ほどあるのに。

「この婚約はエマ自身が望んでいる事だ。異論は認めん!」

エマが好きなのか?意外と「出来損ない」って見られてないのかもな。

「あ~。悪いな。エマを娶ってしまうことになって。心中お察しするよ。」

「なっ!?冒険者風情がっ!!俺に満足に口利きやがって!エマ王女を娶ってなんだその態度は!?」

知らねぇよ。俺が誰を娶っても俺の勝手だろうが。傷口を抉ってやろうと思ったら面倒臭い方向になってきたな。

そんなことを思っていると…

バシっ!

俺に向かって手袋を投げつけてきた。これって…

「決闘だ!俺は貴様に代理決闘を申し込む!俺が勝てばその婚約は破棄だ!そしてエマ王女は私が貰う!」

なんだこのウザ絡みしてくる奴は。エマはちょっと怒った顔してるし、ルアに関しては怒りを通り越して呆れてるぞ。王が決めたって言ったんだからこんなことしたら最悪処刑まで行くんじゃないか?王の顔に泥を塗ったわけだし。

「却下だ。俺は1度決めたことを曲げるのは好きじゃない。エマを娶ると決めたら娶る。ルアもエマも俺と結婚するのは決定事項なんでな。」

「き、貴様っー!!何様のつもりだ!!」

「うるせぇな。そもそも俺にメリットがないんだよ。勝ってもおれに得があるように思えない。」

たく、さっさと帰りたいんだけど。

「なら、メリットがあれば良いのですね?」

「ァ?」

誰かと思ったらファーレン公爵だった。めんどくさいなぁ。いや、待てよ。これチャンスかも。

「貴方が勝てば、金貨10枚差し上げましょ…」

「金貨1000枚だ。」

「う……は?」

「俺が勝てば金貨1000枚貰う。」

「なっ!?ふざけているのですか!」

「ふざけてこんなこと言うか。こっちは人生かかってるんでな。これぐらい要求して普通だろ?むしろ少ないぐらいだ。それにそっちが勝てばいいだけの話だろ?」

「その決闘、余が認めよう。」

これでこの決闘は正式なものとなった。勝てば金貨1000枚、つまり約1億円だ!

「グッ!いいでしょう!一刻後訓練所で決闘です。」

そう言ってファーレン公爵は謁見の間から出ていった。代理戦だからアイツらが出ることは無いだろう。顔面を思いっきり殴ってやりたかったんだけどな。
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