40 / 66
2章レルス王国編
王都動乱
しおりを挟む
「王都で暴れればいい。」
「えっ?そんなことしたら王都が消しとんじゃうよ?」
これが冗談ではないから怖い。ルアが本気で魔法を使えば王都なんて一瞬で消し炭になるだろう。
「まぁ、俺の言い方が悪かった。だから暴れないでくれよ?」
「それぐらいわかってるよ!詳しく説明してよ!」
「ん~、1000年前のルアならどうやって偉い天使に会ってた?」
「……私はそんなこと出来なかった。他のみんなから嫌われてたし…。」
やっちまった……。
「本当にごめん。でも、俺はルアが好きだぞ。」
「うん!今はタイチがいる!それだけでいい!」
本当に可愛い。俺はルアの頭を撫でる。
「さっきの答えはいいことをする…だ。それもとびっきりのな。」
「いいこと…?なるほど。確かに強い悪魔を倒したら偉い天使に褒められたっていう話を聞いた気がする。でも、ちょっといいことをしただけじゃ会えないよ?何する気なの?」
ニヤッとした顔で俺はルアに言う。
「…王都の奴隷市場を襲う。」
「奴隷!?でも、王国は奴隷を禁止しているんじゃないの?」
「表向きはな。でも、実際にそんなにキレイな国なんてあるわけが無い。絶対に裏では奴隷の売買が行われてる。貴族向けのな。」
王国の政治で、少なからず貴族たちが不満を抱くことがあるだろう。それを解消するために憎悪の対象である亜人の奴隷を使う貴族もいるだろう。多分王国はそれを知ってはいるが黙認しているんだろうな。
そちらの方が政治には都合がいいから。平民たちはそれに気づきもしないだろう。
俺達らしく、すごくいいことだろ?
「だから、それを俺とルアが暴れて襲う。そうすれば奴隷を買いに来た貴族の目に俺たちが入る。王様は、すぐに俺たちを見つけるだろうな。俺たちに奴隷を解放したことでお礼をするために。実際には「何してくれてんだ?」っていう用件かもしれんが。」
「でも、私達をすぐに見つけられるかな?王都って結構広いよ?」
「そこは大丈夫だ。本来なら真正面から「アレやったの俺たちだ」って言う予定だったが、そんなことしなくてもすぐに分かる。」
「どうし……あ!エマちゃんだ!」
「そういうこと。偉いぞ。」
頭を撫でられているルアから「えへへ」なんて言う気持ちの良さそうな声が聞こえる。
俺たちはこの世界でも目立つだろうな。超絶可愛くて、長い金髪のルア、白髪で目立つ服装の俺。奴隷市場を襲った俺たちの格好が伝われば多分王女さんとその護衛が俺たちだと特定してくれる。
俺が泊まる宿も言っといたし、すぐに分かるだろう。それに王女を助けたことで何かしらのお礼が貰えるはずだ。
「でも、助けた亜人はどうするの?」
「そっちも問題ない。」
実は王都に来る前…王女とも出会う前にルアに頼んで、魔法で地下に100人は暮らせるぐらいのスペースを作ってもらった。そこを俺は魔力でマークしている。そうすることでいつでもゲートが開ける。
さらに大量の金貨で食糧と生活に必要なものも買ってある。そこでしばらく過ごしてもらう予定だ。確実に快適なスペースなはずだ。
それをルアに伝えると、「なるほど~」と感心していた。
「それで奴隷市場ってどこにあるの?」
「王都を歩いていたら地下に亜人がいる場所を見つけた。そこが奴隷市場だろう。」
「それじゃあ、今日やることって…」
「そう。王都で暴れることだ。」
ということで早速行動開始。
俺が見つけた地点まで向かって、近くに地下に降りれる場所、今回はマンホールから入って後はひたすら下にいく。時には魔法を使って強制的に下に行く。
「ルア、亜人の前だけ変身魔法解いて羽を出しといてくれないか?」
「わかった!」
目的地には割とすぐに着いた。予想通り劣悪な環境で檻の中に鎖に繋がれた亜人がいた。全員衰弱しているのが分かる。それだけでなく、怪我をしている者までいる。
これに俺とルアは顔をしかめてしまう。
俺とルアは武器を使ってを使って檻と亜人につながっている鎖を切る。
「お兄ちゃんたち誰?」「…助けてくれるの?」
「ルア、全員に回復魔法をかけろ。」
「わかった。"ヒール"!」
「聞け!亜人の諸君!俺はここにいる女神の使いだ!女神様の意思により、お前たちを助けに来た!女神様が作ったこの門を通れ!その向こうにはお前たちが生活できるようにスペースが作ってある!食料も沢山あるから食べろ!ここにいる全ての亜人を救った後で事情は説明する!それまで待ってて欲しい…と女神様が仰っている!」
「ふぇ!?タイチ…どういうこと?」
「ルアを女神様にして亜人を救出する。その方が亜人も信じてくれるだろう。」
ルアは外見がとてつもなく美しい。それに加えて天使族の羽があれば女神にしか見えない。1人の人間が言うより、女神様って言うことにしたら信用してくれるかもしれない。
回復魔法も敵じゃないって信用してもらいたいからルアにしてもらった。
「め…女神様!?」「本当に俺たちを助けてくれるのか!?」「確かに回復魔法をかけてもらったが…」
「他の亜人を助けるために時間が無い!早く決断して欲しい…と女神様は仰っている!」
「確かにここより悪くなることは無い!」「他の仲間のために急ごう!」
亜人は次々とゲートの中をくぐってくれた。誘拐犯になったみたいだ!全て通ったらゲートを閉じた。
「な…なんの騒……グェっ」
亜人を助けるために騒いでいたら奴隷商の人間がやってきたが、一瞬で気絶させた。殺したら俺たちだって言う証言をしてくれなくなるからな!
俺の空間操作の範囲に人間が集まっている場所がある。恐らく今、亜人の売買が行われているのだろうな。それを貴族がせりをしているんだろう。オークションみたいだな。
「ルア、出来れば攻撃はするなよ?」
「…なんで?」
どうやら、ルアはさっきの劣悪な環境にいた亜人を見て少し苛立っているようだな。多分俺が奴隷商をやらなかったら、ルアが殺しにかかっていたかもしれない。…エフィーさんも亜人に含まれるからな。
「俺たちの顔を覚えてもらうためだ。」
「……わかった。じゃあ私が我慢できそうになかったらタイチが止めてね。」
俺は何も言わない。ルアを止める自信が無いわけじゃない。俺だって多少はイラついている。止める役目はルアになるかもしれない。極論だが別に俺は俺とルアさえ無事であれば、その他全て殺してもいいと思っている。
ルアは多分今まで仲間がいなかった。だから、仲良くなったエフィーさんや王女さんは守りたいと思っているんだろう。初めてできた友達と言える存在だから。それに昔仲間から、いじめらてた自分と今の亜人が重なるんだろうな。
俺はそんなの関係ない。既に友達と言える存在はいない。
けど、さっきの亜人たちの鎖につながった姿がどうしても重なっちまうんだよ。鎖から解き放ってすぐのルアの時に…昔の俺に…。何もかもに失望したあの顔が。
それが気に入らない。
それにルアに今のような顔をさせたからには多少なりとも後悔してもらうつもりだ。不快なもの見せやがって。
「さぁさぁ!やってまいりました!今回も品揃えのいい奴隷が沢山いますよ!では、早速いって参りましょう!こちらの亜人!傷もない、キレイな女の亜人です!」
「金貨10枚!」「金貨15枚!」
俺もルアも足を止める。亜人の女の子の体は震えていた。明らかに怯えている。
「……ルア、俺がやる。ルアはあいつを解放してやってくれ。」
「…うん…でも、全部はやらないでね…?」
「それでは金貨20枚で……ブホォ!」
俺は奴隷商を空間操作で吹き飛ばした。
「な…何が起こった!?」「誰だ!?」
なんて言う貴族の声が聞こえる。
…俺がこれからすることは間違いなんだろうな。この世界にはこの世界のルールがある。亜人を虐げるのはこの世界では正しいのかもしれない。俺が元いた世界のルールをこの世界に持ち出すのは間違いなのかもしれない。
……帝国で書物を読んでいた内容を思い出す。ある者は亜人に恋をしてしまった。これは罪だった。ある者は亜人を助けた。これは罪だった。
ある貴族は助けてもらった亜人を、なんの恨みもないのに亜人を殺した。自分のプライドのために。自分の欲望のために。これは罪ではなかった。
これらは本当に正しいのだろうか…?亜人と人間の差は何がある?俺から言わしてみれば人間の方が醜いぞ?
俺はこの世界で生まれてこの世界で生まれ育ってきた住人じゃない。それがどうした。この世界のルール?それがどうした。俺には関係ない。
決めた。俺は俺の価値観、倫理観にしたがって動く、そのために力を使う。本当に間違いだと言うならルアが止めてくれる。
やりたいことをしよう。やりたいことを俺たちなりに、自由にしよう。それが間違いだとか正解だとか知らない。
誰にも望まれてなくていい。俺がやりたいように。無責任に、暴力的に、最低に。どうせ俺に仲間なんてルアしかいない。好きなようにやりたいことを自由にやってやる。
ごちゃごちゃ考えるのは性に合わん。
やることはシンプルだ。邪魔するものを、気に入らないものをぶっ潰す。
「初めまして、俺はただの冒険者だ。この国では奴隷が禁止されているはずだ。よって貴方たちを全員捕らえさせてもらう。」
「たかが冒険者風情が!」「いい気になるなよ!」
近くの兵士が俺たちを捕まえようと舞台の方に向かってくる。
「動くな。」
空間操作で動くことすら許さない。
「なっ!?」「何をしている!さっさとやつを殺せ!」
「喋るな、貴族の豚ども。うっかり殺してしまいそうだ。」
「貴様っ!何様の……」
「喋るなって言っただろ?」
俺はうるさい貴族を空間操作で吹き飛ばした。
そして空気を凍らせて一人一人首の前に氷の針を作る。
「現実を理解しろ?今、喋ったら殺す。すぐにてめぇらが所持してる奴隷を解放しろ。てめぇらの顔は全て覚えた。やらなければお前らの家族ごと死なんて生ぬるい程の地獄を見せてやる。」
どうやら黙って聞いてくれたようだ。ルアの方も既に回復は終わっている。ちなみに全員の顔を覚えたのは本当。30人程度なら、一瞬で覚えれる。
すると急に爆発が起こった。魔法か、そもそもこの施設に爆弾があったのかもしれないな。俺は魔法を解除した。本来の目的は俺たちのしたことを広める…だからな。殺すことではない。どうやら逃げたようだ。
「タイチ…結局私の分残してない。自分だけスッキリするのはずるい。」
「悪い。まぁ、安心しろ。アイツらとはまたすぐに会える。その時に思いっきり魔法を使って痛めつければいい。とりあえず、俺たちも行くぞ。その子連れてな。」
俺はゲートを開いて亜人たちを送った場所に向かった。おおよそ50人ぐらいの亜人が奴隷になっていた。
「えっ?そんなことしたら王都が消しとんじゃうよ?」
これが冗談ではないから怖い。ルアが本気で魔法を使えば王都なんて一瞬で消し炭になるだろう。
「まぁ、俺の言い方が悪かった。だから暴れないでくれよ?」
「それぐらいわかってるよ!詳しく説明してよ!」
「ん~、1000年前のルアならどうやって偉い天使に会ってた?」
「……私はそんなこと出来なかった。他のみんなから嫌われてたし…。」
やっちまった……。
「本当にごめん。でも、俺はルアが好きだぞ。」
「うん!今はタイチがいる!それだけでいい!」
本当に可愛い。俺はルアの頭を撫でる。
「さっきの答えはいいことをする…だ。それもとびっきりのな。」
「いいこと…?なるほど。確かに強い悪魔を倒したら偉い天使に褒められたっていう話を聞いた気がする。でも、ちょっといいことをしただけじゃ会えないよ?何する気なの?」
ニヤッとした顔で俺はルアに言う。
「…王都の奴隷市場を襲う。」
「奴隷!?でも、王国は奴隷を禁止しているんじゃないの?」
「表向きはな。でも、実際にそんなにキレイな国なんてあるわけが無い。絶対に裏では奴隷の売買が行われてる。貴族向けのな。」
王国の政治で、少なからず貴族たちが不満を抱くことがあるだろう。それを解消するために憎悪の対象である亜人の奴隷を使う貴族もいるだろう。多分王国はそれを知ってはいるが黙認しているんだろうな。
そちらの方が政治には都合がいいから。平民たちはそれに気づきもしないだろう。
俺達らしく、すごくいいことだろ?
「だから、それを俺とルアが暴れて襲う。そうすれば奴隷を買いに来た貴族の目に俺たちが入る。王様は、すぐに俺たちを見つけるだろうな。俺たちに奴隷を解放したことでお礼をするために。実際には「何してくれてんだ?」っていう用件かもしれんが。」
「でも、私達をすぐに見つけられるかな?王都って結構広いよ?」
「そこは大丈夫だ。本来なら真正面から「アレやったの俺たちだ」って言う予定だったが、そんなことしなくてもすぐに分かる。」
「どうし……あ!エマちゃんだ!」
「そういうこと。偉いぞ。」
頭を撫でられているルアから「えへへ」なんて言う気持ちの良さそうな声が聞こえる。
俺たちはこの世界でも目立つだろうな。超絶可愛くて、長い金髪のルア、白髪で目立つ服装の俺。奴隷市場を襲った俺たちの格好が伝われば多分王女さんとその護衛が俺たちだと特定してくれる。
俺が泊まる宿も言っといたし、すぐに分かるだろう。それに王女を助けたことで何かしらのお礼が貰えるはずだ。
「でも、助けた亜人はどうするの?」
「そっちも問題ない。」
実は王都に来る前…王女とも出会う前にルアに頼んで、魔法で地下に100人は暮らせるぐらいのスペースを作ってもらった。そこを俺は魔力でマークしている。そうすることでいつでもゲートが開ける。
さらに大量の金貨で食糧と生活に必要なものも買ってある。そこでしばらく過ごしてもらう予定だ。確実に快適なスペースなはずだ。
それをルアに伝えると、「なるほど~」と感心していた。
「それで奴隷市場ってどこにあるの?」
「王都を歩いていたら地下に亜人がいる場所を見つけた。そこが奴隷市場だろう。」
「それじゃあ、今日やることって…」
「そう。王都で暴れることだ。」
ということで早速行動開始。
俺が見つけた地点まで向かって、近くに地下に降りれる場所、今回はマンホールから入って後はひたすら下にいく。時には魔法を使って強制的に下に行く。
「ルア、亜人の前だけ変身魔法解いて羽を出しといてくれないか?」
「わかった!」
目的地には割とすぐに着いた。予想通り劣悪な環境で檻の中に鎖に繋がれた亜人がいた。全員衰弱しているのが分かる。それだけでなく、怪我をしている者までいる。
これに俺とルアは顔をしかめてしまう。
俺とルアは武器を使ってを使って檻と亜人につながっている鎖を切る。
「お兄ちゃんたち誰?」「…助けてくれるの?」
「ルア、全員に回復魔法をかけろ。」
「わかった。"ヒール"!」
「聞け!亜人の諸君!俺はここにいる女神の使いだ!女神様の意思により、お前たちを助けに来た!女神様が作ったこの門を通れ!その向こうにはお前たちが生活できるようにスペースが作ってある!食料も沢山あるから食べろ!ここにいる全ての亜人を救った後で事情は説明する!それまで待ってて欲しい…と女神様が仰っている!」
「ふぇ!?タイチ…どういうこと?」
「ルアを女神様にして亜人を救出する。その方が亜人も信じてくれるだろう。」
ルアは外見がとてつもなく美しい。それに加えて天使族の羽があれば女神にしか見えない。1人の人間が言うより、女神様って言うことにしたら信用してくれるかもしれない。
回復魔法も敵じゃないって信用してもらいたいからルアにしてもらった。
「め…女神様!?」「本当に俺たちを助けてくれるのか!?」「確かに回復魔法をかけてもらったが…」
「他の亜人を助けるために時間が無い!早く決断して欲しい…と女神様は仰っている!」
「確かにここより悪くなることは無い!」「他の仲間のために急ごう!」
亜人は次々とゲートの中をくぐってくれた。誘拐犯になったみたいだ!全て通ったらゲートを閉じた。
「な…なんの騒……グェっ」
亜人を助けるために騒いでいたら奴隷商の人間がやってきたが、一瞬で気絶させた。殺したら俺たちだって言う証言をしてくれなくなるからな!
俺の空間操作の範囲に人間が集まっている場所がある。恐らく今、亜人の売買が行われているのだろうな。それを貴族がせりをしているんだろう。オークションみたいだな。
「ルア、出来れば攻撃はするなよ?」
「…なんで?」
どうやら、ルアはさっきの劣悪な環境にいた亜人を見て少し苛立っているようだな。多分俺が奴隷商をやらなかったら、ルアが殺しにかかっていたかもしれない。…エフィーさんも亜人に含まれるからな。
「俺たちの顔を覚えてもらうためだ。」
「……わかった。じゃあ私が我慢できそうになかったらタイチが止めてね。」
俺は何も言わない。ルアを止める自信が無いわけじゃない。俺だって多少はイラついている。止める役目はルアになるかもしれない。極論だが別に俺は俺とルアさえ無事であれば、その他全て殺してもいいと思っている。
ルアは多分今まで仲間がいなかった。だから、仲良くなったエフィーさんや王女さんは守りたいと思っているんだろう。初めてできた友達と言える存在だから。それに昔仲間から、いじめらてた自分と今の亜人が重なるんだろうな。
俺はそんなの関係ない。既に友達と言える存在はいない。
けど、さっきの亜人たちの鎖につながった姿がどうしても重なっちまうんだよ。鎖から解き放ってすぐのルアの時に…昔の俺に…。何もかもに失望したあの顔が。
それが気に入らない。
それにルアに今のような顔をさせたからには多少なりとも後悔してもらうつもりだ。不快なもの見せやがって。
「さぁさぁ!やってまいりました!今回も品揃えのいい奴隷が沢山いますよ!では、早速いって参りましょう!こちらの亜人!傷もない、キレイな女の亜人です!」
「金貨10枚!」「金貨15枚!」
俺もルアも足を止める。亜人の女の子の体は震えていた。明らかに怯えている。
「……ルア、俺がやる。ルアはあいつを解放してやってくれ。」
「…うん…でも、全部はやらないでね…?」
「それでは金貨20枚で……ブホォ!」
俺は奴隷商を空間操作で吹き飛ばした。
「な…何が起こった!?」「誰だ!?」
なんて言う貴族の声が聞こえる。
…俺がこれからすることは間違いなんだろうな。この世界にはこの世界のルールがある。亜人を虐げるのはこの世界では正しいのかもしれない。俺が元いた世界のルールをこの世界に持ち出すのは間違いなのかもしれない。
……帝国で書物を読んでいた内容を思い出す。ある者は亜人に恋をしてしまった。これは罪だった。ある者は亜人を助けた。これは罪だった。
ある貴族は助けてもらった亜人を、なんの恨みもないのに亜人を殺した。自分のプライドのために。自分の欲望のために。これは罪ではなかった。
これらは本当に正しいのだろうか…?亜人と人間の差は何がある?俺から言わしてみれば人間の方が醜いぞ?
俺はこの世界で生まれてこの世界で生まれ育ってきた住人じゃない。それがどうした。この世界のルール?それがどうした。俺には関係ない。
決めた。俺は俺の価値観、倫理観にしたがって動く、そのために力を使う。本当に間違いだと言うならルアが止めてくれる。
やりたいことをしよう。やりたいことを俺たちなりに、自由にしよう。それが間違いだとか正解だとか知らない。
誰にも望まれてなくていい。俺がやりたいように。無責任に、暴力的に、最低に。どうせ俺に仲間なんてルアしかいない。好きなようにやりたいことを自由にやってやる。
ごちゃごちゃ考えるのは性に合わん。
やることはシンプルだ。邪魔するものを、気に入らないものをぶっ潰す。
「初めまして、俺はただの冒険者だ。この国では奴隷が禁止されているはずだ。よって貴方たちを全員捕らえさせてもらう。」
「たかが冒険者風情が!」「いい気になるなよ!」
近くの兵士が俺たちを捕まえようと舞台の方に向かってくる。
「動くな。」
空間操作で動くことすら許さない。
「なっ!?」「何をしている!さっさとやつを殺せ!」
「喋るな、貴族の豚ども。うっかり殺してしまいそうだ。」
「貴様っ!何様の……」
「喋るなって言っただろ?」
俺はうるさい貴族を空間操作で吹き飛ばした。
そして空気を凍らせて一人一人首の前に氷の針を作る。
「現実を理解しろ?今、喋ったら殺す。すぐにてめぇらが所持してる奴隷を解放しろ。てめぇらの顔は全て覚えた。やらなければお前らの家族ごと死なんて生ぬるい程の地獄を見せてやる。」
どうやら黙って聞いてくれたようだ。ルアの方も既に回復は終わっている。ちなみに全員の顔を覚えたのは本当。30人程度なら、一瞬で覚えれる。
すると急に爆発が起こった。魔法か、そもそもこの施設に爆弾があったのかもしれないな。俺は魔法を解除した。本来の目的は俺たちのしたことを広める…だからな。殺すことではない。どうやら逃げたようだ。
「タイチ…結局私の分残してない。自分だけスッキリするのはずるい。」
「悪い。まぁ、安心しろ。アイツらとはまたすぐに会える。その時に思いっきり魔法を使って痛めつければいい。とりあえず、俺たちも行くぞ。その子連れてな。」
俺はゲートを開いて亜人たちを送った場所に向かった。おおよそ50人ぐらいの亜人が奴隷になっていた。
6
お気に入りに追加
1,922
あなたにおすすめの小説

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始!
2024/2/21小説本編完結!
旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です
※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。
※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。
生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。
伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。
勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。
代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。
リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。
ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。
タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。
タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。
そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。
なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。
レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。
いつか彼は血をも超えていくーー。
さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。
一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。
彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。
コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ!
・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持
・12/28 ハイファンランキング 3位
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。
いけお
ファンタジー
仕事からの帰宅途中に突如足元に出来た穴に落ちて目が覚めるとそこは異世界でした。
元の世界に戻れないと言うので諦めて細々と身の丈に合った生活をして過ごそうと思っていたのに心配性な方々が守護霊として付いてきた所為で静かな暮らしになりそうもありません。
登場してくる神の性格などでツッコミや苦情等出るかと思いますが、こんな神様達が居たっていいじゃないかと大目に見てください。
追記 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる