6 / 34
0章
第6話 トラウマ
しおりを挟む
ソツ村での収穫祭から2ヶ月…。つまりアルスとミオがソツ村を出て8ヶ月が経過していた。
ゼノンは欠かさずトレーニングを行っている。時々ソティーともトレーニングを行っていたりした。ソティーは成長魔法が使える訳では無いにも関わらず。
収穫祭での約束通りゼノンは村長から身体能力強化の魔法をソティーとともに教わっている。
ソティーはすぐに使えたにも関わらず、ゼノンは1ヶ月かけてようやく使うことが出来た。
ソティーは難しい説明ではなく、「魔力を使って……こう全体にグワーッって感じで」などという全くもってよく分からない説明で「わかった!」と勢いよく返事してすぐに使って見せた。ソティーは感覚派なのだろう。村長も感覚派であり、魔法に関しては教えるのが上手ではなかった。
さすがのその光景にゼノンは驚き、かなり落胆した。年下の妹に先を越されてしまったんだがら当然だろう。
それでもくじけず、頑張った。結果として
「身体能力強化魔法はね、体の魔力を体全体に広げて筋肉と骨の動きを魔力でサポートするのよ。魔法を使う感じに似てるわ」
リルのアドバイスと一緒にトレーニングに付き合ってくれたおかげでようやく使えるようになった。
反面、ゼノンは未だに血液魔法の使い方が分からなかった。血液魔法も悩みのためではあるが、ゼノンは今、別のことに悩まされている。
「そろそろコレ、やらないとなぁ」
ゼノンが今見ているのは成長止めぬ者への1面、「イノシシを倒す(0/1)」である。
今まで何度か挑もうと思ったことはあった。しかし、どうしても勇気が出ず、結局保留となっていた。
現在のゼノンのステータスは
ゼノン
レベル34
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 41
耐性 40
速度 49
精神 120
魔力 90/97
ステータスポイント:20
こうなっている。
精神が高いのはステータスポイントを精神にかなり割り振ったからだ。どうしても未だに悪夢には慣れなかった。いや、慣れるはずがなかった。しかし精神を高めると少しだけだが、気を強く持つことができ苦しみがやわいだ。なのでステータスポイントを精神にふることで毎夜過ごしていた。
精神が上昇することに比例して魔力も伸びた。
8か月前と違い、ステータスもかなり伸びた。それは見た目にも少しだが、現れ始めている。
そろそろ挑むべきだとは思っていた。
アルスは8ヶ月前に余裕で倒していた。それを考えるとアルスたちに追いつくにはイノシシ程度余裕で倒さなくてはならない。
頭ではわかっていても勇気が出てこなかった。
昔は3人で倒していた。ゼノンはイノシシにやられた。アルスがイノシシを倒し、ゼノンをミオが治していたが、ミオもアルスももう居ないのだ。
いなくなったばかりではなく、新たに施設には弟が入ってきた。
名前をマクス。ゼノンの一つ下で6歳である。しかしここでは入った順番で立ち位置が決まる。マクスは末っ子になり、ソティーはお姉ちゃんになるのだ。たとえ年齢ではソティーが下であろうとこの施設では姉になるというなんとも言えないシステムが採用されている。
その事でソティーは大喜びだった。ずっと弟がほしいとおもっていたんだろう。
しかしマクスの反応は……
「マクスー!あそぼー!」
「ふん!」
ソティーの誘いを歯牙にもかけず、どこかへ行ってしまう。
「マクス、たまにはソティーと遊んであげてよ」
しょんぼりするソティーに代わり、ゼノンがマクスに遊ぶよう促してみるが─、
「うるせぇ!無加護やろうが!!てめぇが俺に命令すんな!」
「コラ!マクス!なんて口の聞き方してるの!」
「お、俺は大丈夫だよ。リル先生」
アルスを思い出すような勢いで罵倒される。
マクスは無加護のゼノンを認められないのだ。かなりプライドが高いと伺える。今ではゼノンは村で認められているが、最初は馬鹿にされたりしていた。なので罵倒されることには慣れている。マクスを見るとアルスを思い出すことに朗らかな気持ちを抱くほどだ。
マクスはゼノンやソティーをバカにする度にリルに怒られている。
そんなある日の事だった。
「ゼノンにぃ!私森に行きたい!」
「いいわね。昔はよくアルスたちと行ってたんだもの。ゼノンもゆっくりと散歩してらっしゃい。マクスも行ってきなさい」
「はーい」
「チッ!」
ということで3人で仲良く森に入ることになった。……マクスは嫌そうだが、リルには逆らえない。
入口から近くなら安全なのでリルも許してくれる。アルス達とはかなり奥まで行っていた。
ゼノンも何回か奥へ行き、イノシシを見つけるのだが、結局は何もせずこっそりと帰って切るという繰り返しが少なくなかった。
「ゼノンにぃ!これなに!?」
「これはな、ヒガンバナっていうお花の仲間だよ」
「そうなんだ!ゼノンにぃ詳しいんだね!」
ソティーに褒められて嬉しそうにするゼノン。ゼノンは成長魔法を植物に使っているので花には強かった。ヒガンバナはここら辺ではよく見られ、ゼノンの庭でもよく育てられている。
「マクスもこっちで花でも見ないか?」
「チッ!ふざけんな!」
ゼノンがそう誘ってもマクスはひねくれた態度を取るだけだった。
「マクスもこっちにおいでよー。"お姉ちゃん"と一緒に見よー」
ソティーがわざとらしくお姉ちゃんの部分を強調するが、マクスが反応することは無かった。ソティーはマクスのその反応に少ししょげてしまう。
「そ、ソティーお姉ちゃん、一緒に見よーよ」
ゼノンが気をきかせてソティーをお姉ちゃん呼びする。一応ゼノンはアルスたちを含めても"長男"なのだ。
「うん!」
ゼノンの対応でソティーは元気を取り戻した。
それから1時間ほど森の中を散策した。ゼノンが花について夢中にソティーに教えていると、不意に風が吹きそこでソティーがあることに気づいた。
「あれ?マクスがいないよ?」
「えっ??」
(しまった…!!2人を"守る"って意識していたのに!!)
ゼノンの表情がすぐに切り替わる。
ゼノンはこの森に詳しかった。足跡を確認しながらソティーの手を取り、ゆっくり道を戻っていく。
そこで足跡が分岐しているところを見つけた。
(最悪だ…!!この先は──)
この道の先は昔3人でイノシシを倒す時に使っていた道だ。そしてゼノンがイノシシを見つけるときの道でもある。
「ぜ、ゼノンおにぃちゃん…?」
ゼノンが険しい顔をしているとソティーから名前を呼ばれる。そこでハッ!と気づき、いつもの表情に戻す。
「だ、大丈夫だよ。さて、マクスを迎えに行こっか!」
ソティーの手を強く握り、少しペースを上げてマクスを探し始めた。
(どうしよう…。マクスに何かあったら…。大丈夫!俺だって子供のイノシシに出会うのは3回に1回ぐらいだし。それより大きい動物となると全然会ったことないし。)
ゼノンは内心とてつもなく焦っていたが、ソティーにそんな姿を見せる訳にもいかず、適当な言い訳でおさせていた。しかし…
(クソ…。俺がちゃんと見ていれば…!!"守る"って決めたのに!!)
本心は後悔でいっぱいだった。
「あ、マクスー!」
「あ?」
程なくしてソティーが佇んでいるマクスを見つけた。ゼノンもマクスを見た瞬間に胸をなでおろし、肩の力が抜けた。
「マクス!ダメだよ!こんな所まで来たら。めっ!」
「ちっ!うぜぇ!」
ゼノンは2人の口喧嘩を見て安心した。
しかし…安心したのもつかの間。すぐに恐怖に襲われることになる。
視線の先…ソティー達よりさらに奥にイノシシがいるのが見えた。しかも大人のサイズの中でもかなり大きい部類。
あれはヤバい…!そう判断したゼノンはすぐに2人の元へ駆け寄って、2人にしゃがむように指示する。
「ぜ、ゼノンにぃ!?」「し!静かに!」「あ!?何すんだよ!」
「今、外に大きなイノシシがいた。バレたら大変なことになるから」
ゼノンは声を小さくして二人に状況を説明する。
(あのイノシシ…多分あの時アルスが1人で退治したやつより───)
ソティーはすぐに状況を理解して手に口を当ててこくこくとゼノンの言うことを聞く。その可愛らしい行為にゼノンが「いい子いい子」と頭を撫でる。
そこから3人はまだ見つかっていないうちにゆっくりこの場を離れようと考え、姿勢を低くし行動を開始─するつもりだったが、
「けっ!イノシシごときにビビってんのかよ!さすがは無加護だな!」
マクスは堂々と立ち、来た道を帰ろうとする。
ソティーはそんなマクスの様子を見て小さな声で注意するが全く気にとめてくれなかった。
ゼノンは逃げてくれる分アルスよりマシだな…と思っていた。仮にここにいるのがアルスだったら間違いなく突撃していただろうから。
イノシシとマクスの身長はイノシシの方が若干だが高いように見える。これなら見えないだろうと判断してマクスへの注意はしなかった。
しかし─
バキ!
「痛ってぇぇ~~~ーーー!!!」
マクスは足元に落ちていた枝に気づかずそれを踏み、それによってとんでもないスピードでその枝が枝がマクスの脛にむかって突撃し、衝突してしまった。その痛みに耐えきれず、叫んでしまう。その叫びに驚き、周りのカラスが急に羽ばたき、イノシシもこちらに気づき、睨む。。
(最悪だ…!これは最悪だ!!)
「そ、ソティーと、ま、マクスはす、直ぐに逃げて……。そ、村長呼んで…」
ゼノンはその場にあった枝を握り、立ち上がった。
「ぜ、ゼノンにぃは??い、一緒に逃げよ!」
「けっ!イノシシごとき俺が倒してやるよ!はァ!」
マクスは水の塊を作ってそれをイノシシにむかって放つ。
しかしそれは逆効果だった。
イノシシからすればただの水浴び程度しか感じておらず、むしろ自分の敵だと認識させてしまった。
その様子にさすがのマクスも驚き、怯えてしまう。
「マクス!ソティーと一緒に村に戻って村長を呼んでくれ!!」
ゼノンの声にハッ!と意識が戻ったマクスはソティーに連れられ、全力で走り始めた。
ゼノンはその様子を見てからそこら辺にある枝を拾う。木刀も持ってきていない。
その足は震えている。
(怖い…!子イノシシにも勝てないのに…。だからといって逃げる訳には行かない)
ゼノンの後ろには弟と妹がいるのだ。ここで逃げれば2人に危害が及ぶ。
「ブォォ!」
イノシシの雄叫びとともにゼノンの戦いが始まった。
ゼノンは欠かさずトレーニングを行っている。時々ソティーともトレーニングを行っていたりした。ソティーは成長魔法が使える訳では無いにも関わらず。
収穫祭での約束通りゼノンは村長から身体能力強化の魔法をソティーとともに教わっている。
ソティーはすぐに使えたにも関わらず、ゼノンは1ヶ月かけてようやく使うことが出来た。
ソティーは難しい説明ではなく、「魔力を使って……こう全体にグワーッって感じで」などという全くもってよく分からない説明で「わかった!」と勢いよく返事してすぐに使って見せた。ソティーは感覚派なのだろう。村長も感覚派であり、魔法に関しては教えるのが上手ではなかった。
さすがのその光景にゼノンは驚き、かなり落胆した。年下の妹に先を越されてしまったんだがら当然だろう。
それでもくじけず、頑張った。結果として
「身体能力強化魔法はね、体の魔力を体全体に広げて筋肉と骨の動きを魔力でサポートするのよ。魔法を使う感じに似てるわ」
リルのアドバイスと一緒にトレーニングに付き合ってくれたおかげでようやく使えるようになった。
反面、ゼノンは未だに血液魔法の使い方が分からなかった。血液魔法も悩みのためではあるが、ゼノンは今、別のことに悩まされている。
「そろそろコレ、やらないとなぁ」
ゼノンが今見ているのは成長止めぬ者への1面、「イノシシを倒す(0/1)」である。
今まで何度か挑もうと思ったことはあった。しかし、どうしても勇気が出ず、結局保留となっていた。
現在のゼノンのステータスは
ゼノン
レベル34
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 41
耐性 40
速度 49
精神 120
魔力 90/97
ステータスポイント:20
こうなっている。
精神が高いのはステータスポイントを精神にかなり割り振ったからだ。どうしても未だに悪夢には慣れなかった。いや、慣れるはずがなかった。しかし精神を高めると少しだけだが、気を強く持つことができ苦しみがやわいだ。なのでステータスポイントを精神にふることで毎夜過ごしていた。
精神が上昇することに比例して魔力も伸びた。
8か月前と違い、ステータスもかなり伸びた。それは見た目にも少しだが、現れ始めている。
そろそろ挑むべきだとは思っていた。
アルスは8ヶ月前に余裕で倒していた。それを考えるとアルスたちに追いつくにはイノシシ程度余裕で倒さなくてはならない。
頭ではわかっていても勇気が出てこなかった。
昔は3人で倒していた。ゼノンはイノシシにやられた。アルスがイノシシを倒し、ゼノンをミオが治していたが、ミオもアルスももう居ないのだ。
いなくなったばかりではなく、新たに施設には弟が入ってきた。
名前をマクス。ゼノンの一つ下で6歳である。しかしここでは入った順番で立ち位置が決まる。マクスは末っ子になり、ソティーはお姉ちゃんになるのだ。たとえ年齢ではソティーが下であろうとこの施設では姉になるというなんとも言えないシステムが採用されている。
その事でソティーは大喜びだった。ずっと弟がほしいとおもっていたんだろう。
しかしマクスの反応は……
「マクスー!あそぼー!」
「ふん!」
ソティーの誘いを歯牙にもかけず、どこかへ行ってしまう。
「マクス、たまにはソティーと遊んであげてよ」
しょんぼりするソティーに代わり、ゼノンがマクスに遊ぶよう促してみるが─、
「うるせぇ!無加護やろうが!!てめぇが俺に命令すんな!」
「コラ!マクス!なんて口の聞き方してるの!」
「お、俺は大丈夫だよ。リル先生」
アルスを思い出すような勢いで罵倒される。
マクスは無加護のゼノンを認められないのだ。かなりプライドが高いと伺える。今ではゼノンは村で認められているが、最初は馬鹿にされたりしていた。なので罵倒されることには慣れている。マクスを見るとアルスを思い出すことに朗らかな気持ちを抱くほどだ。
マクスはゼノンやソティーをバカにする度にリルに怒られている。
そんなある日の事だった。
「ゼノンにぃ!私森に行きたい!」
「いいわね。昔はよくアルスたちと行ってたんだもの。ゼノンもゆっくりと散歩してらっしゃい。マクスも行ってきなさい」
「はーい」
「チッ!」
ということで3人で仲良く森に入ることになった。……マクスは嫌そうだが、リルには逆らえない。
入口から近くなら安全なのでリルも許してくれる。アルス達とはかなり奥まで行っていた。
ゼノンも何回か奥へ行き、イノシシを見つけるのだが、結局は何もせずこっそりと帰って切るという繰り返しが少なくなかった。
「ゼノンにぃ!これなに!?」
「これはな、ヒガンバナっていうお花の仲間だよ」
「そうなんだ!ゼノンにぃ詳しいんだね!」
ソティーに褒められて嬉しそうにするゼノン。ゼノンは成長魔法を植物に使っているので花には強かった。ヒガンバナはここら辺ではよく見られ、ゼノンの庭でもよく育てられている。
「マクスもこっちで花でも見ないか?」
「チッ!ふざけんな!」
ゼノンがそう誘ってもマクスはひねくれた態度を取るだけだった。
「マクスもこっちにおいでよー。"お姉ちゃん"と一緒に見よー」
ソティーがわざとらしくお姉ちゃんの部分を強調するが、マクスが反応することは無かった。ソティーはマクスのその反応に少ししょげてしまう。
「そ、ソティーお姉ちゃん、一緒に見よーよ」
ゼノンが気をきかせてソティーをお姉ちゃん呼びする。一応ゼノンはアルスたちを含めても"長男"なのだ。
「うん!」
ゼノンの対応でソティーは元気を取り戻した。
それから1時間ほど森の中を散策した。ゼノンが花について夢中にソティーに教えていると、不意に風が吹きそこでソティーがあることに気づいた。
「あれ?マクスがいないよ?」
「えっ??」
(しまった…!!2人を"守る"って意識していたのに!!)
ゼノンの表情がすぐに切り替わる。
ゼノンはこの森に詳しかった。足跡を確認しながらソティーの手を取り、ゆっくり道を戻っていく。
そこで足跡が分岐しているところを見つけた。
(最悪だ…!!この先は──)
この道の先は昔3人でイノシシを倒す時に使っていた道だ。そしてゼノンがイノシシを見つけるときの道でもある。
「ぜ、ゼノンおにぃちゃん…?」
ゼノンが険しい顔をしているとソティーから名前を呼ばれる。そこでハッ!と気づき、いつもの表情に戻す。
「だ、大丈夫だよ。さて、マクスを迎えに行こっか!」
ソティーの手を強く握り、少しペースを上げてマクスを探し始めた。
(どうしよう…。マクスに何かあったら…。大丈夫!俺だって子供のイノシシに出会うのは3回に1回ぐらいだし。それより大きい動物となると全然会ったことないし。)
ゼノンは内心とてつもなく焦っていたが、ソティーにそんな姿を見せる訳にもいかず、適当な言い訳でおさせていた。しかし…
(クソ…。俺がちゃんと見ていれば…!!"守る"って決めたのに!!)
本心は後悔でいっぱいだった。
「あ、マクスー!」
「あ?」
程なくしてソティーが佇んでいるマクスを見つけた。ゼノンもマクスを見た瞬間に胸をなでおろし、肩の力が抜けた。
「マクス!ダメだよ!こんな所まで来たら。めっ!」
「ちっ!うぜぇ!」
ゼノンは2人の口喧嘩を見て安心した。
しかし…安心したのもつかの間。すぐに恐怖に襲われることになる。
視線の先…ソティー達よりさらに奥にイノシシがいるのが見えた。しかも大人のサイズの中でもかなり大きい部類。
あれはヤバい…!そう判断したゼノンはすぐに2人の元へ駆け寄って、2人にしゃがむように指示する。
「ぜ、ゼノンにぃ!?」「し!静かに!」「あ!?何すんだよ!」
「今、外に大きなイノシシがいた。バレたら大変なことになるから」
ゼノンは声を小さくして二人に状況を説明する。
(あのイノシシ…多分あの時アルスが1人で退治したやつより───)
ソティーはすぐに状況を理解して手に口を当ててこくこくとゼノンの言うことを聞く。その可愛らしい行為にゼノンが「いい子いい子」と頭を撫でる。
そこから3人はまだ見つかっていないうちにゆっくりこの場を離れようと考え、姿勢を低くし行動を開始─するつもりだったが、
「けっ!イノシシごときにビビってんのかよ!さすがは無加護だな!」
マクスは堂々と立ち、来た道を帰ろうとする。
ソティーはそんなマクスの様子を見て小さな声で注意するが全く気にとめてくれなかった。
ゼノンは逃げてくれる分アルスよりマシだな…と思っていた。仮にここにいるのがアルスだったら間違いなく突撃していただろうから。
イノシシとマクスの身長はイノシシの方が若干だが高いように見える。これなら見えないだろうと判断してマクスへの注意はしなかった。
しかし─
バキ!
「痛ってぇぇ~~~ーーー!!!」
マクスは足元に落ちていた枝に気づかずそれを踏み、それによってとんでもないスピードでその枝が枝がマクスの脛にむかって突撃し、衝突してしまった。その痛みに耐えきれず、叫んでしまう。その叫びに驚き、周りのカラスが急に羽ばたき、イノシシもこちらに気づき、睨む。。
(最悪だ…!これは最悪だ!!)
「そ、ソティーと、ま、マクスはす、直ぐに逃げて……。そ、村長呼んで…」
ゼノンはその場にあった枝を握り、立ち上がった。
「ぜ、ゼノンにぃは??い、一緒に逃げよ!」
「けっ!イノシシごとき俺が倒してやるよ!はァ!」
マクスは水の塊を作ってそれをイノシシにむかって放つ。
しかしそれは逆効果だった。
イノシシからすればただの水浴び程度しか感じておらず、むしろ自分の敵だと認識させてしまった。
その様子にさすがのマクスも驚き、怯えてしまう。
「マクス!ソティーと一緒に村に戻って村長を呼んでくれ!!」
ゼノンの声にハッ!と意識が戻ったマクスはソティーに連れられ、全力で走り始めた。
ゼノンはその様子を見てからそこら辺にある枝を拾う。木刀も持ってきていない。
その足は震えている。
(怖い…!子イノシシにも勝てないのに…。だからといって逃げる訳には行かない)
ゼノンの後ろには弟と妹がいるのだ。ここで逃げれば2人に危害が及ぶ。
「ブォォ!」
イノシシの雄叫びとともにゼノンの戦いが始まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる