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0章
第4話 成長
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ミオ達が村を出ていったその日の午後…。
ゼノンは必死に考えていた。もちろん強くなる方法を。「いつか助ける」と約束した以上少しでも強くなりたい…。そう決心したのだ。
そして昨日の夢の出来事もある。ゼノンにはどうしても昨日のことが夢のように思えなかったのだ。
「えっと…確か夢の中で成長魔法使ってた…。確か…『成長魔法 成長止めぬ者へ』」
その瞬間に夢の中で見たように紫色の文字が飛び出した。
『ステータスを表示』
『プログラムを表示』
『本日の目標を表示』
「――ッ!?」
そして目の前の画面の表示が変化した。
ゼノン
レベル1
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 10
耐性 30
速度 20
精神 10
魔力 10/10
ステータスポイント:0
スキル ―
まずゼノンの目に付いたのは自らのステータスだった。
普通は自分のステータスが見れるなんてことはない。見る方法は2つ。教会に行く。もしくは専用の紙を使うと見ることができるらしい。どちらも高額なのでゼノンはやったことがない。
「……これが、僕…じゃなくて俺のステータス…?」
今まで見たことは無いから真偽のほどは確かではない。ステータスの中でも気になる項目が2つ。1つ目はステータスポイント。こんなものは聞いたことが無かった。
「ステータスポイント…ってなんだろう?」
そう思ってゼノンはおそるおそるステータスポイントの文字を触る。すると『ステータスポイント』という文字に注釈が出てきた。
「お!何か出てきた!」
そこにはこう書かれていた。
「ステータスポイント・・・クエストなどをこなすことで手に入れられるポイントのこと。このポイントはステータスに割り振ることが出来る…。なんだろう、これ」
疑問に思ったが現在ステータスポイントは0なのでどうすることも出来なかった。
そしてそれよりも気になったことは…
「セカンド…血液……魔法……」
セカンド…。それはゼノンが全く聞いた事の無い言葉だった。そして血液魔法…。これは…
「絵本の…魔王…の魔法?」
『初代勇者の英雄譚』
その中で登場する魔王は赤い血液を操っていた。血液魔法と聞けば連想されるのはそれだけだった。
「魔王みたいになりたいとは言ったけど…これは……。見つかったら大事になるじゃないか…」
もし血液魔法のことが誰かに露見されたらきっとゼノンのことをこう誤解するだろう。「魔王の生まれ変わり」「魔族のスパイ」と。こうなればゼノンの行き先は死刑以外にないだろう。それは7歳のゼノンでも分かってしまった。
そもそも血液魔法なんてものは聞いたこともない。生まれながらに持っていた成長魔法ならまだしも血液魔法に関しては扱い方が分からない。ゼノンは辺境の田舎育ちなので満足のいく教育を受けているとは言い難いので魔法についてもあまり知らないのだ。
しかし1つ言えることがあるとすれば…
「これで…僕……じゃなくて俺も強くなれる!」
みんなを守れるぐらいつよくなる。もしこれが魔王が使っていた血液魔法ならその目標が少しだが、現実のものになってきたと実感した。
「それにしても耐性だけ高いなぁ」
これにはひとつ心当たりがあった。アルスとミオの存在である。アルスがゼノンを攻撃→ミオがゼノンの傷を癒す。この一連の行動は何百回も繰り返されていた。その中で耐性が上昇し他のでは無いかと考えた。
ゼノンは再び、画面に触れる。
その中で画面をスライドすることが出来るということがわかった。
画面を横になぞると、ステータスから別の表記に変化した。
『本日の目標』
・腕立て伏せ(0/60)
・腹筋(0/60)
・背筋(0/60)
・体幹(0/60分)
・スクワット(0/60)
・ランニング(0/5km)
・瞑想(0/60分)
「……なんだろうこれ?」
本日の目標とあるが、どう見ても筋肉トレーニングに見える。それだけでなく瞑想などというものまで存在している。
このボードが、トレーニングを促していることはわかる。
「でも……これをやったから、なんなんだろう?」
これらを行ったところで飛躍的に強り、アルスはもちろんミオにも勝てるとは思わなかった。
ひとまずこれは置いておき、最後の項目『プログラムを表示』を見た。
『僕は…みんなを守れるように強くなりたい!魔王のように!!なりたい!!!』
…昨日、ゼノンが決意した言葉が大きく書かれていた。それにゼノンは目を背けてしまう。
「…僕、改めて恥ずかしいこと言ったな…」
それでも…俺はやらなきゃいけないんだ!とゼノンは心を奮わせ、ボードを再び見つめる。
その下には
『肉体計画』『魔法計画』『技術計画』
この3つが書かれていた。『肉体計画』には基本的に『本日の目標』をこなすしか書いておらず、『魔法計画』も同じ内容。『技術計画』には「イノシシを倒す(0/1)」しか書いていなかった。
「…ィ…イノシシを1人で倒すのは…」
ゼノンはイノシシを倒した経験はあったがそれはほとんどアルスとミオがいたから出来たのだ。ゼノン1人では無謀すぎる。
(あの晩アルスは1人でイノシシを倒してたけど僕には無理だよ。)
やはり加護の恩恵はすごい…そう思った。だが、今更無加護の現実を嘆いても仕方がないと思い、前を向く。
「…と、とりあえず…やってみよう…」
ゼノンの頭の中、そして手の感触には未だに夢に出てきたミオの死体が離れない。それを振り払うためにも、そして目標のためにもボードの通りに腕立て伏せを始めるのだった。
「25……2…6!…にじゅなな!」
ゼノンが一人の時はゆっくりと施設の中で過ごすのだが、ミオとアルスに連れられよく運動していたことで筋肉が少しはついていた。それでも25回目を超えてくると徐々にペースが落ち始め、汗も身体中から吹き出し始めた。
「…28!…にじゅう……きゅう………さん……じゅう!!はぁはぁ!」
結局ゼノンは30回を2回やることにした。いきなり60は無理があったのだ。
それでも何とか30回×2セットをやりきった。すると…、
『腕立て伏せが完了しました。』
『ステータスポイントと経験値が付与されます』
「えっ?」
ゼノンはいきなりでてきた文字に驚くが、成長止めぬ者へと唱えて自分のステータスを確認する。
ゼノン
レベル2
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 11
耐性 30
速度 20
精神 10
魔力 10/10
ステータスポイント:1
「レベルが上がってる?」
ただ筋トレをしただけでゼノンのレベルが上昇していた。本当なら魔物を倒したりしなければレベルが上昇するということはないはずなのに。
ゼノンはかつてないほどに高揚していた。
「これなら!成長止めぬ者へなら!強くなれる!!」
あの悪夢を…地獄を変えることが出来るかもしれない!そう思った。たかが夢…。そう思うのが普通かもしれない。しかしゼノンはミオとの約束を守りたかった。
「いつか助けに行く」
その約束を守るにはミオよりアルやスより強くならなければならない。
もしその約束を守る時が来るのが夢のような時だったとしたら…その可能性があるならば…。そう考えるとゼノンは強くならなければならないと考えていた。
守りたいもの、大切なものを守るために…。
「…40……41!……42………」
ミオ、アルスがソツ村を旅立って1ヶ月…。
ゼノンは今日もトレーニングに明け暮れていた。
1か月前は帰る時間が遅くなってゼノンはよくリルやアズレに怒られたりしていた。
今でも怒られてはいるが、「アルスやミオのように強くなる!」と宣言したら許してくれる。
と言うよりは生暖かい目で見られ、子供の不可能な夢を応援する親のような対応だ。アズレとリルはその夢を応援すべきかそれとも早めに諦めさせるべきか…たまに悩んでいた。
現在のゼノンのステータスは…
ゼノン
レベル15
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 19
耐性 35
速度 30
精神 40
魔力 20/40
ステータスポイント:29
1か月トレーニングをし続けても特にゼノンの体に変化はなかった。筋肉がついて1人でイノシシは倒せる…訳はなく、ほとんど1か月前と変わっていない。ステータスは変わったように見えるかもしれないが実際はほとんど変わっていなかった。それでもゼノンはトレーニングをやめなかった。
ゼノンは未だにステータスポイントを使うことはしていなかった。何となく貯めておきたいと思っていた。
ゼノンが成長魔法?について新たに知ったとこがある。
①レベルの上がり方は不規則であること。
最初はトレーニングをひとつする事に上がるのかと思っていたけどそんなことは無かった。ステータスポイントも一日に1ポイントが限界だった。一応レベルが上がるほど次のレベルに上がりにくくなっている。
②ステータスについて
トレーニングをするとたとえレベルが上がることはなくてもステータスは上昇することがわかった。つまり一応トレーニングは無駄ではない…と思う。実際トレーニングしたからと言って劇的な変化は今のところないが…。
③本日の目標について
本日の目標は別にしなくても罰はない。一番最初にトレーニングをした次の日、発熱しリルに看病してもらったゼノンだが、その日はトレーニングできなかった。したくてもリルに止められた。だからといって罰みたいなものは無かった。この日のゼノンの記憶は「リルの料理最高」ぐらいしか覚えていない。それだけでなく「本日の目標」という内容はその文字通り日によって変わる。「魔力枯渇に陥るまで魔法を使う」なんて言うものもあった。魔力枯渇とは自身の魔力を全て使い切ってしまう状態のことで魔力枯渇に陥ると激しい頭痛を伴う。一番最初に行った時は死にそうなぐらい痛み、リルに介抱された。
つまりトレーニングはやるもやらないも本人の自由なのだ。
④夢について
あの悪夢を見た日から寝る度に成長したゼノンになり、その様子を見ることが出来る。しかし…最後は基本的に悪夢で終わる…。悪夢を見ない日もあったが見る日の方が多かった。寝るのが辛いこともあった。それでもゼノンは耐えていた。瞑想をして精神の耐久力を高めているのも大きい。
⑤成長止めぬ者へについて
どうやらこのボードのようなものは他の人には見えないらしい。それと、ゼノンは成長止めぬ者へが現れてから変な感覚に時折襲われていた。直接害がある訳では無いが、頭の中で音がする……感じがする。
あれからゼノンは毎日トレーニングを行っている。全ては約束を果たすため。
トレーニングとは関係ないがゼノン自身、そしてゼノンの周りでは少しずつだが変化が起きていた。
「ゼノン!今日も頑張っとるな!」
「あ!ニンジン畑のおじいちゃん!うん!いまランニング中!」
「おう頑張れよ!」
「ゼノン君じゃない!!」
「あ、おばちゃん!」
「お~、ゼノンや。今日も修行かい?」
「うん!」
「お前なら村1番の狩人になれるわ」
「残念だけど俺は狩人にはならないよ。俺はアルスやミオに追いつくからね!」
ゼノンが少しづつだが、社交的になり村人たちと会話を交わせるようになっていた。村人たちもゼノンが無加護ということもトレーニングをしていることは知っている。同じ施設の3人組のことをよく知っており、アルス、ミオがいなくなってもくじけず追いつこうとしているゼノンに好感を持っていた。
ゼノンが無加護と言うだけで差別するような人はこの村には誰1人いなかった。
しかし村人たちも本気でゼノンがあの二人においつけるなんて考えていない。そう本気で思っているのはゼノン1人だった。
「村長!今日も来たよ!」
「おぉ!ゼノンか!よく来たな!」
騎士が来て村が新しくなって以来村長も変わった。前の村長は不正がどんどんと見つかり、今は広大なソツ芋畑で労働させられている。
今の村長は昔から人望があり、村で一番狩りが上手い人でもあった。弓だけでなく剣、短剣の扱いも出来たのだ。ゼノンは今、村長から剣の扱い方を教えて貰っていた。ゼノン自身は本物の剣は使ったことは無いが、村長の剣は見たことがある。それに憧れて剣をならい始めたのだ。
「村長!今日こそ魔法の使い方を教えてください!」
「ん?あ、あぁ…。魔法……か……。いつも言ってるだろ?魔法はまだ早い!剣の扱い方を知ってからだ!」
「えぇー!」
ゼノンが魔法の話を切り出すといつも村長は「魔法は早い」の一点張りだった。ゼノンがその理由を知るのはかなり先の話である。
ゼノンは今日もトレーニングに励む。魔王になるという目標に向かって─
ゼノンは必死に考えていた。もちろん強くなる方法を。「いつか助ける」と約束した以上少しでも強くなりたい…。そう決心したのだ。
そして昨日の夢の出来事もある。ゼノンにはどうしても昨日のことが夢のように思えなかったのだ。
「えっと…確か夢の中で成長魔法使ってた…。確か…『成長魔法 成長止めぬ者へ』」
その瞬間に夢の中で見たように紫色の文字が飛び出した。
『ステータスを表示』
『プログラムを表示』
『本日の目標を表示』
「――ッ!?」
そして目の前の画面の表示が変化した。
ゼノン
レベル1
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 10
耐性 30
速度 20
精神 10
魔力 10/10
ステータスポイント:0
スキル ―
まずゼノンの目に付いたのは自らのステータスだった。
普通は自分のステータスが見れるなんてことはない。見る方法は2つ。教会に行く。もしくは専用の紙を使うと見ることができるらしい。どちらも高額なのでゼノンはやったことがない。
「……これが、僕…じゃなくて俺のステータス…?」
今まで見たことは無いから真偽のほどは確かではない。ステータスの中でも気になる項目が2つ。1つ目はステータスポイント。こんなものは聞いたことが無かった。
「ステータスポイント…ってなんだろう?」
そう思ってゼノンはおそるおそるステータスポイントの文字を触る。すると『ステータスポイント』という文字に注釈が出てきた。
「お!何か出てきた!」
そこにはこう書かれていた。
「ステータスポイント・・・クエストなどをこなすことで手に入れられるポイントのこと。このポイントはステータスに割り振ることが出来る…。なんだろう、これ」
疑問に思ったが現在ステータスポイントは0なのでどうすることも出来なかった。
そしてそれよりも気になったことは…
「セカンド…血液……魔法……」
セカンド…。それはゼノンが全く聞いた事の無い言葉だった。そして血液魔法…。これは…
「絵本の…魔王…の魔法?」
『初代勇者の英雄譚』
その中で登場する魔王は赤い血液を操っていた。血液魔法と聞けば連想されるのはそれだけだった。
「魔王みたいになりたいとは言ったけど…これは……。見つかったら大事になるじゃないか…」
もし血液魔法のことが誰かに露見されたらきっとゼノンのことをこう誤解するだろう。「魔王の生まれ変わり」「魔族のスパイ」と。こうなればゼノンの行き先は死刑以外にないだろう。それは7歳のゼノンでも分かってしまった。
そもそも血液魔法なんてものは聞いたこともない。生まれながらに持っていた成長魔法ならまだしも血液魔法に関しては扱い方が分からない。ゼノンは辺境の田舎育ちなので満足のいく教育を受けているとは言い難いので魔法についてもあまり知らないのだ。
しかし1つ言えることがあるとすれば…
「これで…僕……じゃなくて俺も強くなれる!」
みんなを守れるぐらいつよくなる。もしこれが魔王が使っていた血液魔法ならその目標が少しだが、現実のものになってきたと実感した。
「それにしても耐性だけ高いなぁ」
これにはひとつ心当たりがあった。アルスとミオの存在である。アルスがゼノンを攻撃→ミオがゼノンの傷を癒す。この一連の行動は何百回も繰り返されていた。その中で耐性が上昇し他のでは無いかと考えた。
ゼノンは再び、画面に触れる。
その中で画面をスライドすることが出来るということがわかった。
画面を横になぞると、ステータスから別の表記に変化した。
『本日の目標』
・腕立て伏せ(0/60)
・腹筋(0/60)
・背筋(0/60)
・体幹(0/60分)
・スクワット(0/60)
・ランニング(0/5km)
・瞑想(0/60分)
「……なんだろうこれ?」
本日の目標とあるが、どう見ても筋肉トレーニングに見える。それだけでなく瞑想などというものまで存在している。
このボードが、トレーニングを促していることはわかる。
「でも……これをやったから、なんなんだろう?」
これらを行ったところで飛躍的に強り、アルスはもちろんミオにも勝てるとは思わなかった。
ひとまずこれは置いておき、最後の項目『プログラムを表示』を見た。
『僕は…みんなを守れるように強くなりたい!魔王のように!!なりたい!!!』
…昨日、ゼノンが決意した言葉が大きく書かれていた。それにゼノンは目を背けてしまう。
「…僕、改めて恥ずかしいこと言ったな…」
それでも…俺はやらなきゃいけないんだ!とゼノンは心を奮わせ、ボードを再び見つめる。
その下には
『肉体計画』『魔法計画』『技術計画』
この3つが書かれていた。『肉体計画』には基本的に『本日の目標』をこなすしか書いておらず、『魔法計画』も同じ内容。『技術計画』には「イノシシを倒す(0/1)」しか書いていなかった。
「…ィ…イノシシを1人で倒すのは…」
ゼノンはイノシシを倒した経験はあったがそれはほとんどアルスとミオがいたから出来たのだ。ゼノン1人では無謀すぎる。
(あの晩アルスは1人でイノシシを倒してたけど僕には無理だよ。)
やはり加護の恩恵はすごい…そう思った。だが、今更無加護の現実を嘆いても仕方がないと思い、前を向く。
「…と、とりあえず…やってみよう…」
ゼノンの頭の中、そして手の感触には未だに夢に出てきたミオの死体が離れない。それを振り払うためにも、そして目標のためにもボードの通りに腕立て伏せを始めるのだった。
「25……2…6!…にじゅなな!」
ゼノンが一人の時はゆっくりと施設の中で過ごすのだが、ミオとアルスに連れられよく運動していたことで筋肉が少しはついていた。それでも25回目を超えてくると徐々にペースが落ち始め、汗も身体中から吹き出し始めた。
「…28!…にじゅう……きゅう………さん……じゅう!!はぁはぁ!」
結局ゼノンは30回を2回やることにした。いきなり60は無理があったのだ。
それでも何とか30回×2セットをやりきった。すると…、
『腕立て伏せが完了しました。』
『ステータスポイントと経験値が付与されます』
「えっ?」
ゼノンはいきなりでてきた文字に驚くが、成長止めぬ者へと唱えて自分のステータスを確認する。
ゼノン
レベル2
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 11
耐性 30
速度 20
精神 10
魔力 10/10
ステータスポイント:1
「レベルが上がってる?」
ただ筋トレをしただけでゼノンのレベルが上昇していた。本当なら魔物を倒したりしなければレベルが上昇するということはないはずなのに。
ゼノンはかつてないほどに高揚していた。
「これなら!成長止めぬ者へなら!強くなれる!!」
あの悪夢を…地獄を変えることが出来るかもしれない!そう思った。たかが夢…。そう思うのが普通かもしれない。しかしゼノンはミオとの約束を守りたかった。
「いつか助けに行く」
その約束を守るにはミオよりアルやスより強くならなければならない。
もしその約束を守る時が来るのが夢のような時だったとしたら…その可能性があるならば…。そう考えるとゼノンは強くならなければならないと考えていた。
守りたいもの、大切なものを守るために…。
「…40……41!……42………」
ミオ、アルスがソツ村を旅立って1ヶ月…。
ゼノンは今日もトレーニングに明け暮れていた。
1か月前は帰る時間が遅くなってゼノンはよくリルやアズレに怒られたりしていた。
今でも怒られてはいるが、「アルスやミオのように強くなる!」と宣言したら許してくれる。
と言うよりは生暖かい目で見られ、子供の不可能な夢を応援する親のような対応だ。アズレとリルはその夢を応援すべきかそれとも早めに諦めさせるべきか…たまに悩んでいた。
現在のゼノンのステータスは…
ゼノン
レベル15
加護 無し
魔法 成長魔法
セカンド 血液魔法
筋力 19
耐性 35
速度 30
精神 40
魔力 20/40
ステータスポイント:29
1か月トレーニングをし続けても特にゼノンの体に変化はなかった。筋肉がついて1人でイノシシは倒せる…訳はなく、ほとんど1か月前と変わっていない。ステータスは変わったように見えるかもしれないが実際はほとんど変わっていなかった。それでもゼノンはトレーニングをやめなかった。
ゼノンは未だにステータスポイントを使うことはしていなかった。何となく貯めておきたいと思っていた。
ゼノンが成長魔法?について新たに知ったとこがある。
①レベルの上がり方は不規則であること。
最初はトレーニングをひとつする事に上がるのかと思っていたけどそんなことは無かった。ステータスポイントも一日に1ポイントが限界だった。一応レベルが上がるほど次のレベルに上がりにくくなっている。
②ステータスについて
トレーニングをするとたとえレベルが上がることはなくてもステータスは上昇することがわかった。つまり一応トレーニングは無駄ではない…と思う。実際トレーニングしたからと言って劇的な変化は今のところないが…。
③本日の目標について
本日の目標は別にしなくても罰はない。一番最初にトレーニングをした次の日、発熱しリルに看病してもらったゼノンだが、その日はトレーニングできなかった。したくてもリルに止められた。だからといって罰みたいなものは無かった。この日のゼノンの記憶は「リルの料理最高」ぐらいしか覚えていない。それだけでなく「本日の目標」という内容はその文字通り日によって変わる。「魔力枯渇に陥るまで魔法を使う」なんて言うものもあった。魔力枯渇とは自身の魔力を全て使い切ってしまう状態のことで魔力枯渇に陥ると激しい頭痛を伴う。一番最初に行った時は死にそうなぐらい痛み、リルに介抱された。
つまりトレーニングはやるもやらないも本人の自由なのだ。
④夢について
あの悪夢を見た日から寝る度に成長したゼノンになり、その様子を見ることが出来る。しかし…最後は基本的に悪夢で終わる…。悪夢を見ない日もあったが見る日の方が多かった。寝るのが辛いこともあった。それでもゼノンは耐えていた。瞑想をして精神の耐久力を高めているのも大きい。
⑤成長止めぬ者へについて
どうやらこのボードのようなものは他の人には見えないらしい。それと、ゼノンは成長止めぬ者へが現れてから変な感覚に時折襲われていた。直接害がある訳では無いが、頭の中で音がする……感じがする。
あれからゼノンは毎日トレーニングを行っている。全ては約束を果たすため。
トレーニングとは関係ないがゼノン自身、そしてゼノンの周りでは少しずつだが変化が起きていた。
「ゼノン!今日も頑張っとるな!」
「あ!ニンジン畑のおじいちゃん!うん!いまランニング中!」
「おう頑張れよ!」
「ゼノン君じゃない!!」
「あ、おばちゃん!」
「お~、ゼノンや。今日も修行かい?」
「うん!」
「お前なら村1番の狩人になれるわ」
「残念だけど俺は狩人にはならないよ。俺はアルスやミオに追いつくからね!」
ゼノンが少しづつだが、社交的になり村人たちと会話を交わせるようになっていた。村人たちもゼノンが無加護ということもトレーニングをしていることは知っている。同じ施設の3人組のことをよく知っており、アルス、ミオがいなくなってもくじけず追いつこうとしているゼノンに好感を持っていた。
ゼノンが無加護と言うだけで差別するような人はこの村には誰1人いなかった。
しかし村人たちも本気でゼノンがあの二人においつけるなんて考えていない。そう本気で思っているのはゼノン1人だった。
「村長!今日も来たよ!」
「おぉ!ゼノンか!よく来たな!」
騎士が来て村が新しくなって以来村長も変わった。前の村長は不正がどんどんと見つかり、今は広大なソツ芋畑で労働させられている。
今の村長は昔から人望があり、村で一番狩りが上手い人でもあった。弓だけでなく剣、短剣の扱いも出来たのだ。ゼノンは今、村長から剣の扱い方を教えて貰っていた。ゼノン自身は本物の剣は使ったことは無いが、村長の剣は見たことがある。それに憧れて剣をならい始めたのだ。
「村長!今日こそ魔法の使い方を教えてください!」
「ん?あ、あぁ…。魔法……か……。いつも言ってるだろ?魔法はまだ早い!剣の扱い方を知ってからだ!」
「えぇー!」
ゼノンが魔法の話を切り出すといつも村長は「魔法は早い」の一点張りだった。ゼノンがその理由を知るのはかなり先の話である。
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