君を好きになるなんて絶対にありえない!

ジャック

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2章

閑話荒木家の年末

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Side荒木神楽

今日は12月26日もう少しで年末を迎えるというこの日に俺が今行っていることは大掃除だった。

現在一軒家に俺一人だけが住んでいる状態なので掃除する範囲が超広い!1週間前ぐらいから真剣に取り組まないと終わる気がしない!

それに今年……というより来年は俺の友達が俺の家に来ることがあるかもしれないからと思うとより綺麗にしなくてはと思ってしまう。友達も増えたし!き、きっと1人ぐらい俺の家に来ることがあるだろう!!……多分!!

今まで友達が俺の家に来るなんて無かったから結構緊張してるんだよな。「汚い」って思われて縁切られるのも嫌だし!

まだまだやらなきゃいけない事が多いんだよなあ。墓参り、物置…じゃなくて姉ちゃんの部屋の片付けなどなど。はぁ。これ、1月までに終わるかな?

ピンポーン!

窓拭き中にインターホンが鳴ったので、1度中断してそちらへ向かう。

「宅急便でーす♪」


朗らかな女性の声が聞こえてきて俺は綺麗にしたばかりの玄関に向かった。うむ。ホコリひとつない完璧な仕事。

でも、宅急便なんか頼んだっけ?最近は何も買い物してなかったと思っうんだけどな?

掃除したての玄関を歩き、ドアを開けようとした瞬間だった。

ドカン!

「うぉっ!」

なんとドアが勝手に開き、勢い余った俺は外へと放り出された。

そして地面から見上げるとそこにいたのは…

「ただいまー♪」

「あぁ、おかえり。姉ちゃん」

月夜姉ちゃんだった。

「あれ?宅急便は?」

「あぁ!あれは私だよ?」

「なんでそんなことしたんだよ?」

本当に理解できなくてつい口に出してしまった。する意味特にないだろ?

「えー?だって神楽が女の子連れ込んでないか心配だからチェックしようと思って」

「んな事してねぇわ!!っていうか未だに彼女もできたことないのにそんなことするわけないだろ!?」

俺のその言葉を聞いた瞬間に姉ちゃんは急に真面目な顔になり、顎に手を付き何かを考え始めた。

「クリスマスにデートして……そこから……何も無かった……?」

「ど、どうした?」

何やらブツブツ呟いている。おれには聞こえないが少し怖い。

「ううん!なんでも!それより何してたの?」

「大掃除だよ。この家、1人だと広いから早めに始めてるんだよ」

「なるほど!それじゃあ、私も手伝うよ!」

「あぁ、よろしくお願いします」

2人で家に入り、まずは父さんと母さんの仏壇の前に行く。正座で手を合わせて黙って姉の帰宅を報告する。

「ただいまお母さん、お父さん。滅多に帰って来れなくてごめんね?」

「よし!それじゃあ掃除の続きするか!」

「そういえば神楽はもうお墓参り済ましたの?」

「いいや?まだだけど?」

「それじゃあ、今日はそっちに行こうか!」

月夜姉ちゃんの提案で今日は墓参りをすることになった。今日は天気もいいから確かに済ますなら今日の方がいいかもな。

「へぇ~。これが姉ちゃんの車?」

「そうだよ~!どう?」

「カッコイイな」

姉ちゃんが乗っている車はスポーツカーのような形で結構広い。これなら正月みんなを乗せるには十分だろう。

「せっかくだし、乗ってみたい」

俺のそんなお願いがあっさり通り、姉ちゃんの車でお墓に行くことになった。そっちの方がお母さんは喜びそうだな。……父さんは…多分シノ丸の方が良かっただろうけど………。

運転は初心者とは思えないぐらいに安定している。やっぱり姉ちゃんすげぇな…と純粋に思った。まぁ、結構この人も努力してるのを知ってるけど。多分そのさせた原因のひとつは俺なんだろうけど。運転もまぁまぁ数をこなしたんだろうな。

俺達の家から墓までは距離がそこまで離れていないので車だと20分程だった。

「よし!それじゃあお母さんとお父さんを綺麗にしよっか!」

「そうだな~。まぁ、父さんは綺麗にしない方が味が出て渋いとか言いそうだけどな」

「あはは!確かにね~」

過去の思い出話に花を咲かせながら掃除をして花を変える。最初はとても寒くて辛かったが、途中からはそんなこともなかった。

割とすぐに掃除は終わり、最後に2人で合掌してから帰路に着いた。

姉が来た時間も遅かったので家に帰った頃には既に夜だった。やはり冬は日の時間が短い。

結局今日はそれ以上大掃除を続けることはできなかった。まぁ、超強力な戦力月夜姉ちゃんが来たからには明日にでも終わるだろうけど。

「あれ?神楽自炊始めたの?」

「おぉ。友達にちょっとだけ料理教わってな~。」

キッチンには料理本やら調理道具やら普段俺が使わないものがあったから直ぐに気づいたんだろう。

「!そうだ!せっかくだし、今日の晩御飯俺が作るよ。今、肉じゃがの練習しててさ!まだ姉ちゃん程上手く作れないけどまぁ、のリベンジってことでさ。それに姉ちゃん2週間前だけど誕生日だったよな?今年のプレゼントは料理ってことで」

「……そっか。じゃあ、お願いしよっかな~」

俺はキッチンの前に立ち、北風に教わった肉じゃがの調理を始める。

「……神楽も成長したんだねぇ………」

「ん?なんか言った?」

「ううん!なにもー」

何か姉ちゃんから感慨深いような声が聞こえたが気のせいか…。

「ほい、完成~」

「手伝おうか?」

「大丈夫。そこでゆっくりしててくれ。すぐ運ぶから」

うん。結構上手く作れた自信がある。最近にしてようやく包丁の使い方がわかってきた!結構難しいんだよなぁ。料理して初めて思うけどやはりご飯を作れる人はすごい。苦労して作ったご飯が残されるとなると心がきついな。

適当に皿によそおい、テーブルへと運ぶ。

「「いただきます」」

久しぶりに家族でご飯を食べる。いつぶりだろうか?いつもは1人だがやはりこういう方がいいな。今度陽でも誘ってみるか。

俺は料理には手をつけず、先に姉ちゃんからの感想を待つ。味見したけど大丈夫だったと思う。

「うん!美味しいよ!」

「そっか…。そりゃ良かった…」

ほっと胸を撫で下ろし、俺も箸を持ってご飯を食べ進める。

「うん。美味い。肉じゃがだけなら姉ちゃんより上手いかもな」

冗談のつもりで言ってみた。昔から姉ちゃんには勝ったことがないから何か一つでも勝ちたいんだよなぁ。

「でもまだ美味しくできるよ。例えば隠し味に味噌と醤油なんて入れると美味しくなったりするね~」

「……手厳しい評価ありがとうございます」

まさかのガチレス。素直に美味しいで終わってくりゃあ良くない?負け認めてくらればよくない?まぁ、姉ちゃんはニコニコ顔なのでとりあえず食えないってことは無さそうだな。

「神楽もまだまだだねぇ~♪私に勝とうなんて早いよ~」

終始姉ちゃんは楽しそうな顔だった。

ご飯も食べ終わり、お風呂も上がって今はゆっくりとテレビを見ていた。既に大掃除の続きをするような空気でも無かった。

「あ!そうだ!ちょっとまってて」

お笑い番組を見ていると姉が何かを思い出してリビングから出ていってしまった。しかし我が家から芸能人が出るとはなぁ。テレビに出ている人も知り合いだったりするんだろうか?

っていうか姉ちゃん恋愛の方はどうなんだろう?

「じゃじゃーん!」

姉ちゃんが持ってきたのは1本の瓶だった。だが、明らかに高そうなラベルがはられている。

「何それ?」

「じゃじゃーん!ワイン!私、20歳になったからそのお祝いに貰ったのよ!」

「ふーん」

はっきりいえばあまり興味がなかった。姉ちゃんはどちらかと言うと母さんに似ているので酒に強いんだろうなーぐらい。

「神楽もいっぱいどう?」

「………俺、未成年なんだけど?」

「20歳になったから家族で飲みたいけど、飲める人が神楽しかいないからさ…」

「わ、わかった」

そんな悲しい顔で言われたらYESとしか言えないじゃん!

「やったー!」

俺の言葉を聞いた瞬間に急に明るくなった。

絶対に演技してたな…。モデルには演技も必要なのかもしれない。それぐらいの技量だった。

グラスを4つ持ってきてワインを開けた。ちなみにふたつは父さんと母さん用。

「……これ、いくら?」

どうしても興味が出てしまい、つい聞いてしまった。

「んー、聞かない方がいいぐらいの値段かな?」

背筋が急に冷えた。そ、そんな高価なものなのかよ!?俺が飲んでいいのかな…?やば…。きんちょうしてきた…。

「かんぱーい」「か、かんぱい…」

カチンッとグラスが音を立てて中のワインが揺れる。

ゴクッ!

「う~ん!美味しい!」「あ、はは…。そうですね…」

やべぇ。美味いのかわからん!そもそも他のものを飲んだことないからな。

「高校に入ってからの神楽のこと…教えてよ…。ちょっと気になる」

「OK。最初にできた友達が陽なんだけどな~。そいつが結構いいひとでさー……」

そこからはお互いの状況について話していた。ワインも少しづつだが進み、気づけば1時間が経っていた。

「わたしはねー、神楽には感謝してるんだよー。だから神楽には幸せにね~、ってあれ?神楽?」

「すう……すう……」

「寝っちゃってたか。残念。もう少しで滅多に聞けない私の本音が聞けたのにね。ま、それは神楽が成人した時にでも話そっかな~」
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