55 / 92
2章
第21話
しおりを挟む
Side北風真美
今日は12月24日の8時!
私は既に約束の公園にいた。結構早くに目が覚めて用意が終わったら家にいようかなって思ったんだけど、早く会いたくてもう来ちゃった。
本当は私が後で来て「待った?」みたいなことやりたかったんだけど今回はやめた。そんなことしてる暇があるなら早く会いたい!今日の映画も楽しみなんだけど荒木くんとデートすることがすごく楽しみ!
絶対に楽しいものになると確信している!
携帯で時間見ながら荒木くんを待ちながら目の前でサッカーをしている小学生達を眺める。
冬にこんな時間から遊んでいるなんて元気なんだね~。
「あっ!やっちゃった!!」
「やばい!どうする!?」
どうやらボールを高く蹴ったら木に挟まってしまったらしい。ちょっと登ったら届きそうだけど、小学生達には届きそうにない。どうしよう…?私、木登りなんて出来ないし、それに服を汚したくないし…
そんなことを考えていると、とうとう小学生が気を登ろうとしていた。あ、危ない!
「ちょ、ちょっと待って!」
私は小学生達を呼び止めて木登りを中断させる。
「わ、私がとってくるよ!ほら、ここはお姉さんに任せて!」
今の時間は8時10分。まだ待ち合わせまで50分はある。これならもしこの服が汚れちゃっても家に帰って着替える時間はある。それならそれで「待った?」みたいな会話もできるかもしれない…。
それに荒木くんならこういう時こうすると思うから…。
ただ…ちょっと残念なだけ。私が持ってる中で一番自信がある服だったから。まぁ、また今度の機会に見せればいいんだけどね。
それより問題は気に挟まってるボールを取れるかどうかなんだよねー。木登りなんてしたことないから自信が無い。落ちても小学生よりは怪我をする確率も低いだろう。
よし!やってみよう!
気を登っていると小学生の応援の声が聞こえる。それに返す返事があるほど余裕はないんだけどね。
「あっ!!」
ヤバい!足の支えにしてた木が折れてしまった!別にこれぐらいの高さなら落ちても怪我することはない。けど!この服は汚れてしまう。荒木くんにこの服見せたかったのに!
そう思っていると、
「ホッ!セーフ。」
「ふぇ?」
落ちる!と思っているとその衝撃が私を襲うことはなく、何故か優しくクッションのように私を支えてくれた。そして私は、
「おはよう、北風。」
何故か荒木くんにお姫様抱っこされたまま挨拶されたのだ。
「ふぇ?お…はよ…う…?」
「ハッハッハ。面白いな。」
荒木くんは私をそっと下ろしてくれた。
荒木くんの今日の服装は白のパーカーの上にカーキ色のジャケット、そして黒のスキニーパンツ。首にはマフラー。髪もしっかり整えられている。そして何故かメガネをしている。
大人っぽい感じがするんだけどそれが荒木くんの雰囲気に合ってて…。多分これは荒木くんが選んだ服じゃないな。前の彼の服装を見たからわかる。誰か知らないけど荒木くんに服をあげた人…ナイス!
「あれ、とってこればいいの?」
荒木くんは木に挟まったボールをさしながらそう言った。
「えっ?あ、うん…。」
「OK。」
荒木くんは木を登る…というか木を蹴って上にあがり、ボールを叩いて地面に落とした。それを…
「はい、これ。」
「えっ??」
何故か私に渡した。いや、なんでよ!そこは子供たちに渡してよ!子供たちはさっきの荒木くんの姿で驚いてるし!
「えと、私じゃなくて…子供たちに…。」
「?俺は北風が「とって」って言うからとったんだ。なら俺は北風に渡す。」
私は荒木くんにサッカーボールを渡された。確かにそうかもしれないけど取ったのは荒木くんなんだから荒木くんが渡せばいいじゃんって思ってしまう。言っても無駄かもしれないから後で言おう。
「はい、コレ。」
私はしゃがんで小学生達にボールを渡す。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
小学生達はボールを持って、またサッカーをし始めた。「ありがとう」…か。そう言われるだけでちょっと嬉しくなるね。荒木くんもそれが理由でよく人を助けたりするのかな?
「あぁ~、悪い。待った…よな?」
今の時刻は8時20分待ち合わせが9時だから荒木くんは遅れてなんかいない。むしろ私が早すぎたのだ。
「ううん。今来たところ~♪」
「嘘つけ。」
「こういうのやってみたかったんだよ!」
そこでそのセリフはないでしょ!確かにちょっと待ったけどさ!でも、荒木くんらしいな…。
「あ~、そうかい。それじゃあ、予定より早いけどもう行くか?」
「そうだね~。映画が始まるまでどこか適当に時間潰せばいいしね。」
私たちはちょっと早いけどクリスマスイブデートを始めた!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Side荒木神楽
ヤバいな。北風がヤバ過ぎる。
雪乃ちゃんのメールを見て先に公園に行って座禅して精神統一でもしてから北風とご対面しようと思ってたんだけどな。
俺が早めに来て北風が何か知らんけど木登りしてるから走って何とか北風をキャッチした時は本当に天女が舞い降りたのでは無いか…?と錯覚してしまった程だ。
その天女がブリキ人形のように喋るのだからちょっと面白かった。ただ1つ誤算があった。お姫様抱っこしてしまったのもそうなんだけど実際に北風の今日の服装見たらヤバい。語彙力皆無になってヤバいしか言えなくなるぐらい。
まず目に入るのが白色のワンピース。袖とかフリルになってる。これのせいで天女に見えたんじゃないかな?あとはモコモコの何ていうだっけ?ボアコート?を着ている。それにバッグを下げて完成。シンプルって言われたらシンプルな服装な気がするんだけど…、なんか守ってあげたくなるというか…庇護欲そそられそうな服だな。さらにワンピースの下から綺麗ですらっとした足が見えている。
さらに普段と違うところがある。イヤリングしているっていうのもそうなんだけど、北風が化粧してる!学校でもちょっとはしてたような気がするけどなんか今回はケバくはないが化粧しているって言うのが分かる。そのせいですごくヤバい。
こんなものをこれから町に解き放つのか…。本格的に命の危険を感じ始めたぞ。
「よし!じゃあ映画館に行くか!」
俺が公園を出ようとすると、俺は服を掴まれてしまった。えぇ分かっていましたとも。ここで「服、可愛いね。」ぐらい言わないとダメなことぐらい。だから、早く出ようと思ったんだけど北風に捕まってしまった。
「今日の私…どう?」
聞き方からせこくない?すごく可愛く見える。本物の天女では?
「…寒そうだけど大丈夫か?」
ごめんなさい!!これが限界です!!ここで「可愛い」なんて言えるほどの度胸はないです!!
すると北風はプイッと音が出そうなぐらい首を曲げて頬を膨らましてしまった。わかりやすく怒ってますよって感じがするな。あの頬触ってみたいな。もちろんそんなことはしないけども!
「…可愛……い……と…思う…。」
これがマジの限界!これ以上は無理です!嘘はもちろんない。本当に可愛いとは思う。それが行き過ぎると相手に過度な緊張を生んじゃうよってだけだからな。
「そ…そっか…。ふふ。それなら良かった。荒木くんもカッコイイよ。自信持って!」
そう言って北風は歩き始めて公園を出ようとする。
その時チラッと耳が真っ赤になっているのが見えた。アイツ…やっぱり寒いんじゃないのか?
さて、俺は一つメールをしよう。宛先はもちろん雪乃ちゃん。
タイトルは『ヤバい』でいいか。
本文は『君のお姉ちゃんどうなってるの?ヤバすぎるんだけど?あれ、本当に町に放っていいのか?群がると思うんだけど。俺の命が本当に危機感感じてるんですけどどうしたらいいですか?骨は拾ってくれますか?』
よし、北風の元に急ごうか。ちょっと離れるだけでナンパにあいかねん。今の北風なら10秒超えて3秒に1回はナンパに会うだろうから。
ちなみにこの後雪乃ちゃんから来た返信はノータイトルで一言。
『ご冥福をお祈りします。』
…死ぬ前提なんだ。
今日は12月24日の8時!
私は既に約束の公園にいた。結構早くに目が覚めて用意が終わったら家にいようかなって思ったんだけど、早く会いたくてもう来ちゃった。
本当は私が後で来て「待った?」みたいなことやりたかったんだけど今回はやめた。そんなことしてる暇があるなら早く会いたい!今日の映画も楽しみなんだけど荒木くんとデートすることがすごく楽しみ!
絶対に楽しいものになると確信している!
携帯で時間見ながら荒木くんを待ちながら目の前でサッカーをしている小学生達を眺める。
冬にこんな時間から遊んでいるなんて元気なんだね~。
「あっ!やっちゃった!!」
「やばい!どうする!?」
どうやらボールを高く蹴ったら木に挟まってしまったらしい。ちょっと登ったら届きそうだけど、小学生達には届きそうにない。どうしよう…?私、木登りなんて出来ないし、それに服を汚したくないし…
そんなことを考えていると、とうとう小学生が気を登ろうとしていた。あ、危ない!
「ちょ、ちょっと待って!」
私は小学生達を呼び止めて木登りを中断させる。
「わ、私がとってくるよ!ほら、ここはお姉さんに任せて!」
今の時間は8時10分。まだ待ち合わせまで50分はある。これならもしこの服が汚れちゃっても家に帰って着替える時間はある。それならそれで「待った?」みたいな会話もできるかもしれない…。
それに荒木くんならこういう時こうすると思うから…。
ただ…ちょっと残念なだけ。私が持ってる中で一番自信がある服だったから。まぁ、また今度の機会に見せればいいんだけどね。
それより問題は気に挟まってるボールを取れるかどうかなんだよねー。木登りなんてしたことないから自信が無い。落ちても小学生よりは怪我をする確率も低いだろう。
よし!やってみよう!
気を登っていると小学生の応援の声が聞こえる。それに返す返事があるほど余裕はないんだけどね。
「あっ!!」
ヤバい!足の支えにしてた木が折れてしまった!別にこれぐらいの高さなら落ちても怪我することはない。けど!この服は汚れてしまう。荒木くんにこの服見せたかったのに!
そう思っていると、
「ホッ!セーフ。」
「ふぇ?」
落ちる!と思っているとその衝撃が私を襲うことはなく、何故か優しくクッションのように私を支えてくれた。そして私は、
「おはよう、北風。」
何故か荒木くんにお姫様抱っこされたまま挨拶されたのだ。
「ふぇ?お…はよ…う…?」
「ハッハッハ。面白いな。」
荒木くんは私をそっと下ろしてくれた。
荒木くんの今日の服装は白のパーカーの上にカーキ色のジャケット、そして黒のスキニーパンツ。首にはマフラー。髪もしっかり整えられている。そして何故かメガネをしている。
大人っぽい感じがするんだけどそれが荒木くんの雰囲気に合ってて…。多分これは荒木くんが選んだ服じゃないな。前の彼の服装を見たからわかる。誰か知らないけど荒木くんに服をあげた人…ナイス!
「あれ、とってこればいいの?」
荒木くんは木に挟まったボールをさしながらそう言った。
「えっ?あ、うん…。」
「OK。」
荒木くんは木を登る…というか木を蹴って上にあがり、ボールを叩いて地面に落とした。それを…
「はい、これ。」
「えっ??」
何故か私に渡した。いや、なんでよ!そこは子供たちに渡してよ!子供たちはさっきの荒木くんの姿で驚いてるし!
「えと、私じゃなくて…子供たちに…。」
「?俺は北風が「とって」って言うからとったんだ。なら俺は北風に渡す。」
私は荒木くんにサッカーボールを渡された。確かにそうかもしれないけど取ったのは荒木くんなんだから荒木くんが渡せばいいじゃんって思ってしまう。言っても無駄かもしれないから後で言おう。
「はい、コレ。」
私はしゃがんで小学生達にボールを渡す。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
小学生達はボールを持って、またサッカーをし始めた。「ありがとう」…か。そう言われるだけでちょっと嬉しくなるね。荒木くんもそれが理由でよく人を助けたりするのかな?
「あぁ~、悪い。待った…よな?」
今の時刻は8時20分待ち合わせが9時だから荒木くんは遅れてなんかいない。むしろ私が早すぎたのだ。
「ううん。今来たところ~♪」
「嘘つけ。」
「こういうのやってみたかったんだよ!」
そこでそのセリフはないでしょ!確かにちょっと待ったけどさ!でも、荒木くんらしいな…。
「あ~、そうかい。それじゃあ、予定より早いけどもう行くか?」
「そうだね~。映画が始まるまでどこか適当に時間潰せばいいしね。」
私たちはちょっと早いけどクリスマスイブデートを始めた!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Side荒木神楽
ヤバいな。北風がヤバ過ぎる。
雪乃ちゃんのメールを見て先に公園に行って座禅して精神統一でもしてから北風とご対面しようと思ってたんだけどな。
俺が早めに来て北風が何か知らんけど木登りしてるから走って何とか北風をキャッチした時は本当に天女が舞い降りたのでは無いか…?と錯覚してしまった程だ。
その天女がブリキ人形のように喋るのだからちょっと面白かった。ただ1つ誤算があった。お姫様抱っこしてしまったのもそうなんだけど実際に北風の今日の服装見たらヤバい。語彙力皆無になってヤバいしか言えなくなるぐらい。
まず目に入るのが白色のワンピース。袖とかフリルになってる。これのせいで天女に見えたんじゃないかな?あとはモコモコの何ていうだっけ?ボアコート?を着ている。それにバッグを下げて完成。シンプルって言われたらシンプルな服装な気がするんだけど…、なんか守ってあげたくなるというか…庇護欲そそられそうな服だな。さらにワンピースの下から綺麗ですらっとした足が見えている。
さらに普段と違うところがある。イヤリングしているっていうのもそうなんだけど、北風が化粧してる!学校でもちょっとはしてたような気がするけどなんか今回はケバくはないが化粧しているって言うのが分かる。そのせいですごくヤバい。
こんなものをこれから町に解き放つのか…。本格的に命の危険を感じ始めたぞ。
「よし!じゃあ映画館に行くか!」
俺が公園を出ようとすると、俺は服を掴まれてしまった。えぇ分かっていましたとも。ここで「服、可愛いね。」ぐらい言わないとダメなことぐらい。だから、早く出ようと思ったんだけど北風に捕まってしまった。
「今日の私…どう?」
聞き方からせこくない?すごく可愛く見える。本物の天女では?
「…寒そうだけど大丈夫か?」
ごめんなさい!!これが限界です!!ここで「可愛い」なんて言えるほどの度胸はないです!!
すると北風はプイッと音が出そうなぐらい首を曲げて頬を膨らましてしまった。わかりやすく怒ってますよって感じがするな。あの頬触ってみたいな。もちろんそんなことはしないけども!
「…可愛……い……と…思う…。」
これがマジの限界!これ以上は無理です!嘘はもちろんない。本当に可愛いとは思う。それが行き過ぎると相手に過度な緊張を生んじゃうよってだけだからな。
「そ…そっか…。ふふ。それなら良かった。荒木くんもカッコイイよ。自信持って!」
そう言って北風は歩き始めて公園を出ようとする。
その時チラッと耳が真っ赤になっているのが見えた。アイツ…やっぱり寒いんじゃないのか?
さて、俺は一つメールをしよう。宛先はもちろん雪乃ちゃん。
タイトルは『ヤバい』でいいか。
本文は『君のお姉ちゃんどうなってるの?ヤバすぎるんだけど?あれ、本当に町に放っていいのか?群がると思うんだけど。俺の命が本当に危機感感じてるんですけどどうしたらいいですか?骨は拾ってくれますか?』
よし、北風の元に急ごうか。ちょっと離れるだけでナンパにあいかねん。今の北風なら10秒超えて3秒に1回はナンパに会うだろうから。
ちなみにこの後雪乃ちゃんから来た返信はノータイトルで一言。
『ご冥福をお祈りします。』
…死ぬ前提なんだ。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる