君を好きになるなんて絶対にありえない!

ジャック

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1章

第5話

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北風には、似合わなそうな橋の影でひっそりと泣いていた。普段の明るい雰囲気などなく、最も影が濃く、夕日が全く当たらない場所に縮こまっているため、ただの幼い女の子にしか見えなかった。


そんな姿を見て思ったことは、


めんどくせぇ…、今日はとことん運がない。こんな現場に出会ってしまうなんて…


左手の腕時計で時間を確認する。

現在の時刻は時刻は午後4時10分。 集合時刻は5時0分。残り約1時間である。


このまま放置しても問題は無いと思う。わざとこんな場所に来たのだと思うし、俺と違い携帯もあるだろう。それにおそらくまだ俺の存在にも気づいていないと思う。現にまだ下を向いて泣いてるしな。


まぁ、実際は北風を見ていると、あの時の体育のトラウマが何度も頭をよぎるから関わりたくない。っていうのが本音。


それでも、無視しないのは、色々ある。まずホテルまでの場所を教えて欲しい。このままでは本当に帰れない。それに助けないと…とも少しだが思ってはいる。


だが、やはりめんどくさいし、トラウマで足がすくむということでスルーで通ろうと思った。それにまだ誰かと出会うかもしれないし、最悪このまま地元に帰ろうと思ったからだ。


北風は別世界の人間で、これから関わることの無い人間だ。そう思うことにした。


慎重に足音を立てなければなんとかなるだろう。


決心して、慎重に歩き始めた。直ぐに右向けー、右!をして右を向き歩きだそうとした。


「ヒッグ…うぅ…、助けてよ…」


周りに誰もいなくて、雑音も話し声も何も聞こえなかったから、耳が集中していたからギリギリ聞こえた小さなか細い声。

でも、それが妙におれにははっきりと聞こえた。

俺の存在には気づいてないのは間違いない。おそらく、「誰でもいいから助けて」ということだろう。


それを聞いた瞬間、さっきまでのトラウマが~、ホテルの場所を~などという考えは吹き飛んだ。


助けなきゃダメだ。そう思う一心だった。


追い風が吹き、それに押されるように今もないている女の子の元へ向かう。

向かっている途中にも、「さっきまでの俺が見たら正気を疑うだろうな…」と思いながら、「たった1回お節介を焼くだけだ」そう心の中で思って、話しかけた。


「あぁ~、えっと、大丈夫か?」

北風にも聞こえるぐらいの声だと思うんだが。いや、それにしても陰キャ丸出しだな。これを見たら陽はなんて言うだろう…?


すると、急に頭をバッ!とあげて俺の方を見た。大きなぱっちりとした目には涙が溜まり、頬は紅く今も一筋の水滴が垂れている。顔はくしゃくしゃなのにそれでも美人は美人なんだなっと思ってしまった。そんな姿を見て、俺は不覚っ…不覚にも…!ドキッとしてしまった。


考えみて欲しい。モデル級の美人が顔を上にあげて、自分の方を泣きながら見てくる。うん、ドキッとしない人はいないな。これは仕方がないことだ。


しばらくの両者が沈黙した。

「余計なことをした…」そう思ってしまう。

それはそうだろう。プライドの高い陽キャで美人な北風の泣き顔を、陰キャで気持ちの悪い俺みたいなやつに見られてしまった。屈辱以外の何物でもない。


そう考えたが、「トラウマが増えただけだ、今から傷なんかない」そう思い、帰ろうした。が、


「…ぐずっ…ここに来る時までの階段で足、挫いちゃって…」

「…えっ?」

返答が帰ってきたことに驚き変な声が出た。


「…ぐすっ…何?」

「あ…あぁ、いや、な、んでもない。気にしないで。それより怪我した足見せてくれる?」


話し方がぎこちない感じはするが仕方ない。雨宮さん以外の女子と喋る経験がないのでどうしたらいいのか分からないのだ。


そうすると北風は俺に右足を見せた。右足が腫れていた。痛そう…


「…ごめん、ちょっとだけさ、わるね」

「…何を…痛!」

「ご、ごめん!」

「…だ、大丈夫…」

少し睨みながら俺にそう返してきた。


でもこれで大体怪我している部分はわかった。骨折ではないだろう。おそらく、足首が捻挫ねんざしているのだろう。包帯が欲しいが、近くにそんなものが売っていそうな場所はなかった。さっきまでぶらりと歩いていたからわかる。何より、今の北風を1人にすることは難しい。


ため息をつきながら方法を考えて、俺が考えたプランを実行した。


俺はまず、半袖の上着を脱ぎ下の方を破って包帯代わりにしようとした。これは最近買ったばっかでまだそんなに来ていないから綺麗だろう…

その時北風から「…キャっ!」などという可愛らしい声が聞こえたが無視する。


お土産屋さんで、テンション高めで買ってしまった部屋着にしようと思っていた文字が入ったTシャツを着て、作った包帯替わりの布を近くの川で濡らして絞る。それを何回か繰り返したあと、

北風に

「よし、もう1回足出して」

「…うん」

そういうと恐る恐る足を出してきた。少しだが、踵が赤くなっていた。恐らく靴擦れの前兆だろう。


「…ヒャッ!」

なんて言う北風の可愛らしい声が上がるが、俺は少ししか動じない。なぜって?北風の泣き顔を見た瞬間から、こころの中で念仏を唱えているからだ。

…それでも少し動じた自分が恥ずかしい…


巻き終わると、俺は


「…靴、貸して。」

そういうとおそるおそる俺に北風が履いていた靴を渡してくれた。俺は北風の靴が当たる場所にハンドクリームを塗った。そうすれば、足との摩擦が少なくなって靴擦れの対策になるらしい。


この時ばっかりは、陽に感謝した。あいつが俺にどうでもいい話をしてきた中に「昨日テレビでさぁ、靴擦れの対象方法があってなー」と語ってことがあったからだ。それを俺はテキトーにあしらった。そんなことを思い出したからだ。


「ハンドクリーム塗ったのは靴擦れ防止のためだから。あとその八つ橋食べていいよ。とても美味しいから。それじゃあね。」


それだけ早口で伝えると、俺はその場を去って歩き出した。


「…待って!!そっち、ホテルとは真逆だよ!」


まじか…。めっちゃ恥ずかしいんだけど。かっこよく去ろうとしたら道間違えてるってダサすぎるだろう…


「…もしかして…みち…分からないの……?」


顔が真っ赤になるのを感じた。高校生になって迷子なんてとても恥ずかしい!それも嫌いな相手である北風に知られるなんて!


しかし、知らないのも事実で恐らくこのまま簡単にごまかせるが誤魔化してももう、他の生徒はみんな集合場所にいるだろう。


背に腹はかえられぬ。そう思って北風に助力をまとめることにした。


「あぁ、ま…いごなんだ。ほ、ホテルまでの道、教えてくれない…かな?」


「わかった!助けてくれたお礼ね~」



北風は、もう涙を流していなかった─。



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