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魔術的な食生活
しおりを挟む前項で「自信不足」から来る「居場所のなさ」という話が出てきた。
痩せすぎでいたい、という感覚には、そんな居場所のない自分に見合った体になりたい、そのためには、この世に占める体積そのものを小さくするしかない、という衝動も働いてるのではという仮説だ。
で、レベンクロンの小説「鏡の中の少女」「鏡の中の孤独」に、それっぽいことが記されてたはず、と思い出し、ページをパラパラめくってみた。
僕の心に残っていたのは、主人公の痩せ姫に、心理療法家が言う、
「きみは、ちっぽけな世界に住んでいるんだね」
という言葉だったのだけど。
そこにたどりつく前に、別の文章が目に留まった。
それは、その心理療法家が主人公及び家族に向かって、この病気の本質について、説明する部分だ。
「神経性拒食症は食べることと体重に強迫的になる病気です。
強迫観念というのは、ある観念がたいへん強くてあらがいがたい力を持っていて、その人をほうっておいてくれない、そういうものです。
それで、なんとかこの観念をコントロールする方法を、この観念をなだめる、いわゆる魔術的な行為をみつけようとします」
「そういう人は、人間関係に救いがないと感じています。
それで、自分の内的世界に追い返されてしまい、その中でまわりの人が自分についてどう感じているかをコントロールするために魔術的な儀式をするのです。
そして感情的に孤立して、自分の欲求にも他人の欲求にもふれ合うことなく生活することになります」
自分自身や他人の感情を、コントロールできないかわり、食べることや体重にこだわることで、そこから逃れようとする、その結果が「摂食障害」ならではの行為や儀式だというわけだ。
「魔術的な」という形容に、ひっかかりを覚える人もいるだろうけど、ある一面をとらえていることは、間違いないのでは。
カロリー計算、一日1食、会食拒否、めちゃ食い、嘔吐、下剤濫用、チューニング・・・
頻繁な体重測定や、体型チェック。
とにかく細かいルールを決めて、それを守ったり、それこそ、おまじないを唱えたり。
あ、そういえば、誰かが「低カロリーは魔法の言葉」って言ってたっけ。
魔術なのだから、ハマってしまう人が多いのもわかる気がするし、とはいえ、魔術は危険なものでもある。
儀式化して、また別の強迫観念を生みやすいからだ。
痩せ姫本でも、こんな経験者の言葉を紹介した。
「痩せてる姿を心配されて、嬉しく思ったら、それこそ果てしない儀式の始まり。つらいぞ、儀式は」
それはさておき、今日書き始めた別のシリーズ(失われた可愛いを求めて)の初回と「魔術」というワードがかぶってしまった。
そっちは、暗い話ではないけど、魔術もいろいろということで。
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