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協力者13(現在編②)
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ナオは、人通りの少ない裏通りの、ドブ川がある場所へ来ていた。
レナに連れて来られたのだ。
女子トイレでレナに、形見のペンダントを取られ、返してほしかったら言うことを聞くようにと言われた。
それが、小太郎には言わずに、一人でレナについていくことだった。
レナの隣には、マナトという男子生徒がいた。
「ねえ、言われた通りついてきたでしょ? ペンダント返して」
「形見なんだっけ? 母親の。こんな安物が形見だなんて、あんたんちって貧乏なんだ」
「だって、それは…」
「返してほしいんなら、このドブ川に入りなよ」
「え⁉︎ ヤダよ。そんなの」
「じゃなきゃこれ落としちゃおうかな? このドブ川に。
こんな汚いとこ落ちたら、見つからないかも…」
「…そんな」
「ねえ、マナト。鬼澤をさ、落としてよ川に」
「相変わらずやる事がキツいなレナは」
マナトは苦笑する。
「弟のヒロトよりも、俺の方が、よりレナを好きだって、証明してやるよ」
マナトは、ナオの体を欄干の上に持ち上げた。
「きゃ⁉︎ ちょっと、やめてよ!」
ナオの体は、ドブ川に向かい落ちて行く。汚れたドブ川に触れそうになった時、強い風が吹いた。
その風の正体は小太郎だった。
小太郎は背中から、黒い烏の羽根を生やし、ナオの体を抱き抱え、橋の上へと降り立った。
「小太郎くん…」
ナオは、呆然と小太郎を見た。
「鳥人間?」
レナとマナトは口を大きく開けていた。
地面にナオを降ろした小太郎は、レナたちを睨む。
レナとマナトは、その恐ろしさに後ずさりした。
小太郎は、二人の元へ行こうとして、ガクッと膝をついた。
「…うっ…ぐ…この術、妖力ほとんど持ってかれる」
苦しそうに胸を押さえる。背中の羽根はキラキラと消えた。
「小太郎くん…」
心配そうなナオの声。
小太郎はなんとか起き上がると、レナの手からペンダントを取り返し、ナオに渡した。
そうして、レナとマナトの頭をガシッとつかむと、二人の邪心を吸いとった。
「はあ…妖力回復」
小太郎が満足そうに唇を舐める。
レナとマナトはポカンとしていた。
レナに連れて来られたのだ。
女子トイレでレナに、形見のペンダントを取られ、返してほしかったら言うことを聞くようにと言われた。
それが、小太郎には言わずに、一人でレナについていくことだった。
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「ねえ、言われた通りついてきたでしょ? ペンダント返して」
「形見なんだっけ? 母親の。こんな安物が形見だなんて、あんたんちって貧乏なんだ」
「だって、それは…」
「返してほしいんなら、このドブ川に入りなよ」
「え⁉︎ ヤダよ。そんなの」
「じゃなきゃこれ落としちゃおうかな? このドブ川に。
こんな汚いとこ落ちたら、見つからないかも…」
「…そんな」
「ねえ、マナト。鬼澤をさ、落としてよ川に」
「相変わらずやる事がキツいなレナは」
マナトは苦笑する。
「弟のヒロトよりも、俺の方が、よりレナを好きだって、証明してやるよ」
マナトは、ナオの体を欄干の上に持ち上げた。
「きゃ⁉︎ ちょっと、やめてよ!」
ナオの体は、ドブ川に向かい落ちて行く。汚れたドブ川に触れそうになった時、強い風が吹いた。
その風の正体は小太郎だった。
小太郎は背中から、黒い烏の羽根を生やし、ナオの体を抱き抱え、橋の上へと降り立った。
「小太郎くん…」
ナオは、呆然と小太郎を見た。
「鳥人間?」
レナとマナトは口を大きく開けていた。
地面にナオを降ろした小太郎は、レナたちを睨む。
レナとマナトは、その恐ろしさに後ずさりした。
小太郎は、二人の元へ行こうとして、ガクッと膝をついた。
「…うっ…ぐ…この術、妖力ほとんど持ってかれる」
苦しそうに胸を押さえる。背中の羽根はキラキラと消えた。
「小太郎くん…」
心配そうなナオの声。
小太郎はなんとか起き上がると、レナの手からペンダントを取り返し、ナオに渡した。
そうして、レナとマナトの頭をガシッとつかむと、二人の邪心を吸いとった。
「はあ…妖力回復」
小太郎が満足そうに唇を舐める。
レナとマナトはポカンとしていた。
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