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協力者9(現在編②)
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次の日。小太郎が学校に行ってみると、レナがクラスの女子にいじめられていた。
昼休み、レナは体育館に連れてかれ、ボールをぶつけられていた。
「やめてよ。アタシがなにしたっていうの?」
「ナオにしてた事やり返してるだけ」
女子たちが淡々と言った。
「鬼澤さん? アタシ鬼澤さんにこんなことしてない」
「しらばっくれる気? この前もそんな事言って…」
女子たちが、ナオをさんざんいじめてたのにと文句を言う。
「やめて!」
ナオがレナの前に立った。
「ナオ? そいつかばうの?」
「仕返しなんてやめて」
「でも、いじめてた事覚えてないって言うし。そんなわけないのにさ。忘れたふりして許してもらおうなんて」
「それは、オレのせい」
小太郎が現れた。
「あんた、確か転入生の…」
レナが「名前なんだっけ?」と首を傾げた。
「オレが、催眠術で忘れさせた」
「催眠術?」
周りがざわつき始める。
「記憶戻すよ。それでいいんだよね?」
改めてナオに確認すると、彼女は頷く。
小太郎は食べた悪意をレナへ戻す。口から靄が出て、レナの額に戻っていった。
「あれ? アタシ…。鬼山? あれ? あんたまた転校していったんじゃなかったっけ?」
「催眠術でね。坂井さん、私をいじめてたこと忘れていたの」
「催眠術…? 鬼山がやったの?」
「うん。ナオさんをいじめるの、やめてほしくて」
「……。それで? みんなはアタシが鬼澤にした事を、仕返ししようとしてたわけね。アタシの記憶がないのをいいことに・・・」
レナはみんなを睨みつけた。
「ふざけんなよ。覚えておけよ。おまえら」
「記憶戻さない方がよかったんじゃ…」
小太郎がポツリと言った。
「ねえ! なんでみんな仲良くできないの? 私はみんな仲良しでいたいのに…」
「ナオは、坂井さんを許すの?」
クラスメイトたちの顔を見回して、ナオは頷いた。
「許すよ。そうしないと、みんな仲良しじゃなくなるから」
「みんな仲良しって、小学生かよ。アタシはごめんだね。
あんたは相変わらずムカつくし、コイツらはアタシに仕返ししようとしてたわけだし」
レナは体育館の入り口に向かう。入り口からそっと中を覗いていたのは、ヒロトだった。
「あんた、アタシをさっさと助けにきなさいよ」
「だって怖くて…」
「怖いって、女子しかいないじゃない」
「いや、いるじゃん、あいつが…」
ヒロトは小太郎を指差して震えた。
レナはハッと思い出したように、小太郎を見た。
「…そうだ…あいつ、自分の事、魔物って言ったんだ」
「魔物…? やっぱり怖い」
レナはヒロトを連れて、体育館を出ていった。
昼休み、レナは体育館に連れてかれ、ボールをぶつけられていた。
「やめてよ。アタシがなにしたっていうの?」
「ナオにしてた事やり返してるだけ」
女子たちが淡々と言った。
「鬼澤さん? アタシ鬼澤さんにこんなことしてない」
「しらばっくれる気? この前もそんな事言って…」
女子たちが、ナオをさんざんいじめてたのにと文句を言う。
「やめて!」
ナオがレナの前に立った。
「ナオ? そいつかばうの?」
「仕返しなんてやめて」
「でも、いじめてた事覚えてないって言うし。そんなわけないのにさ。忘れたふりして許してもらおうなんて」
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小太郎が現れた。
「あんた、確か転入生の…」
レナが「名前なんだっけ?」と首を傾げた。
「オレが、催眠術で忘れさせた」
「催眠術?」
周りがざわつき始める。
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改めてナオに確認すると、彼女は頷く。
小太郎は食べた悪意をレナへ戻す。口から靄が出て、レナの額に戻っていった。
「あれ? アタシ…。鬼山? あれ? あんたまた転校していったんじゃなかったっけ?」
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「催眠術…? 鬼山がやったの?」
「うん。ナオさんをいじめるの、やめてほしくて」
「……。それで? みんなはアタシが鬼澤にした事を、仕返ししようとしてたわけね。アタシの記憶がないのをいいことに・・・」
レナはみんなを睨みつけた。
「ふざけんなよ。覚えておけよ。おまえら」
「記憶戻さない方がよかったんじゃ…」
小太郎がポツリと言った。
「ねえ! なんでみんな仲良くできないの? 私はみんな仲良しでいたいのに…」
「ナオは、坂井さんを許すの?」
クラスメイトたちの顔を見回して、ナオは頷いた。
「許すよ。そうしないと、みんな仲良しじゃなくなるから」
「みんな仲良しって、小学生かよ。アタシはごめんだね。
あんたは相変わらずムカつくし、コイツらはアタシに仕返ししようとしてたわけだし」
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「あんた、アタシをさっさと助けにきなさいよ」
「だって怖くて…」
「怖いって、女子しかいないじゃない」
「いや、いるじゃん、あいつが…」
ヒロトは小太郎を指差して震えた。
レナはハッと思い出したように、小太郎を見た。
「…そうだ…あいつ、自分の事、魔物って言ったんだ」
「魔物…? やっぱり怖い」
レナはヒロトを連れて、体育館を出ていった。
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