鬼の心臓は闇夜に疼く

藤波璃久

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協力者7(現在編②)

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 次の日、小太郎はレナに呼び出された。

裏庭に行くと、レナと一人の男子生徒がいた。
「ねえ、鬼山くんさ、アタシの邪魔しないでくれる?」
「邪魔って?」
「鬼澤に嫌がらせしてることよ」
レナは堂々と述べた。
「やっぱり君の仕業か。なんでナオさんをいじめてるの?」
「えー? あの子、入学して最初のころ、注意してきたんだよね。先生の話聞こうよとか言って。なんか生意気だなって思ったの」
「…ナオさんは真面目なだけだよ」
「…ねえヒロト。こいつシメてよ」
レナが言うと、ヒロトと呼ばれた生徒は頷く。
「いいぜ。レナの頼みなら…」
ヒロトが小太郎に近づく。
小太郎が目を赤く光らせて睨むと、彼は止まった。
そして、ヒロトの額に指を当て、悪意の靄を吸い込んだ。
ヒロトはポカンと口を開けた。
「へ? 俺…なにしてたんだっけ?」
「ごちそうさま…」
小太郎が舌を出す。
「ちょっと、ヒロト! そいつシメてっていったでしょ?」
「へ?」
小太郎がヒロトに微笑むと、彼は震えて逃げ出した。
「なんで逃げんのよ!」
「まだナオさんをいじめる?」
「あんた一体何者なの? 鬼澤が画鋲でケガしたのに、あんたが手を当てたら治ったみたいだし。まさかそんなマンガみたいなこと」
「見てたんだ?」
「……」
「オレはね、魔物だよ。人の悪意を食べるね。さっきのやつのも食べたんだ。記憶も一緒に食べちゃうんだ」
「魔物?」
「君の悪意も食べちゃうね」
小太郎はレナの額に手を当てると、出てきた靄を吸い込んだ。
「あれ? アタシ…」
小太郎は戸惑うレナを置いて、校舎へ戻っていった。

 教室で、ハンカチを落としたレナに、ナオは落としたよと話しかけた。
「あ、ありがとう」
レナはハンカチを受け取り、何事もなかったようにその場を後にした。
「あれ?」
「どうしたの?」
戸惑うナオに小太郎が気づく。
「いつもなら、アタシのものに触るな!とか言うのに」
「ああ。もういじめてこないよ」
「え?」
「ナオさんをいじめていたことも、忘れていると思う」
「…どうして?」
「オレ、催眠術使えるんだ。ナオさんをいじめてた事、忘れる催眠をかけたんだ」
「催眠術…」
「だからもう大丈夫。オレの役目はこれで終わりだね」
「……」
ナオは納得していないような表情をしていた。
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