鬼の心臓は闇夜に疼く

藤波璃久

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少年は桃太郎と対峙する16(過去編①)

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 一方、椿に捕まっていた小太郎は、朱丸の声が聞こえた気がした。
小太郎は椿に体当たりした。今さっきまで、ぐったりしていた小太郎に油断していた椿は、バランスを崩し、尻餅をつく。
「痛った~」
小太郎は、椿を押し倒し、どさくさに紛れて胸を揉んだ。
「キャア!」
椿は腕で胸を隠し、解放された小太郎は大木のウロに向かった。
「こら! 待ちなさい!」

鬼の村への結界は、難なく通る事ができた。朱丸が小太郎を呼んだから、呼ばれた人間は入ることができるのだろう。
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