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少年は桃太郎と対峙する10(過去編①)
しおりを挟むそれから小太郎と朱丸は、森の中で待ち合わせ、一緒に遊んだ。
時には朱丸が、山の植物の中で、何が食べられるものか教えてくれた。
「オイラたち、この山を出るんだ」
「そう…なのか…」
「うん」
「さよならだな…」
小太郎が呟くと、朱丸は泣きだした。
「朱丸」
「うぇっ…う…小太郎と、離れたく…ない…」
「別れもあれば、出会いもあるって父ちゃんが言ってた」
「小太郎は、さみしくないの? オイラと離れても…」
「寂しいよ。でも、きっと、次に住む場所で新しい友達ができるさ」
「オイラは鬼だから、人間とは友達になれないし、鬼はもうオイラ達しかいないんだって、爺ちゃんが言ってた」
「オレとは友達になれたろ?」
「小太郎は特別だよ」
「オレは特別…そっか…。それで、いつ行くんだ?」
「来週だって」
「それまでいっぱい遊ぼう」
「…うん」
朱丸は涙を拭くと、笑顔を作った。
村に帰った朱丸は、ずっと泣いていた。
「なあ、朱丸」
祖父が優しく話しかける。
「おまえだけ残るか?」
「え?」
「お父さん⁉︎」
朱丸の母は「何を言うの!」と祖父に詰め寄る。
「後悔しない方を選べ。鬼の寿命は長い。ここでその子と別れても、また誰か好きな子ができるじゃろう。じゃが、おそらく鬼の種族はワシらで最後じゃ。結婚相手もこの村の誰かから選ぶことになるじゃろう」
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「それとももし、おまえが人間を選ぶと言うなら、近いうちにくる別れを覚悟しなきゃならんぞ」
「別れ?」
「鬼と人間は生きる長さが違うのじゃ。人間の方が先に老いて亡くなる」
「え?」
朱丸は、初めて聞く事実に愕然とした。
「朱丸、別れを覚悟できないなら、ワシらと共にくるんじゃ。新しい土地でまた村を作ろう」
「うん」
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