鬼の心臓は闇夜に疼く

藤波璃久

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少年は桃太郎と対峙する5(過去編①)

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 小太郎は朱丸を連れて、いつも遊んでいる神社へ向かった。
お社の周りは、大きな林で囲まれているから、村の友達と鬼ごっこや隠れんぼをしてよく遊んだ。
「ねえ、さっきの恋人ってどういうこと?」
朱丸が聞いてきた。
「あー、朱丸のこと、女の子だと思ったんじゃないかな?」
「オイラ、男だよ!」
「かわいい顔してるからな、おまえ…」
小太郎がニンマリ笑うと、朱丸はムッとした。
「ところで、朱丸は自分の村の友達と遊ばないのか? 危険を冒してこっちに来なくても…」
「オイラの村、オイラと同じくらいの年頃の子いない。そもそも村の鬼少ないし、オイラよりもだいぶ大きい子しかいなくて…」
「オレ、おまえより大きいよ?」
「背じゃなくて年齢の話!」
からかわれて、朱丸は怒った。
「ごめんごめん」
「でもオイラ本当は、小太郎に会いたかったから…」
「…そっか」
小太郎は照れて、頬をかいた。
 二人で話していると、いつものメンバーが神社に集まり出した。
男の子2人と女の子2人。学年はバラバラだが、皆同じ小学校に通っている。
いつも小太郎も入れた5人で遊んでいるが、今日はもう一人いる。
「あれ? 小太郎その子だれ?」
「あ~、隣村の子だよ。朱丸っていうんだ」
「あれ? 男の子なんだ?」
「また言われた~」
朱丸は不貞腐れた。
「まあまあ、遊ぼうぜ」
細かいことは気にせず、皆で日が暮れるまで遊んだ。
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