愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

藤波璃久

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天使

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 俺はしばらくして上の階層へ行った。

そこは下よりも美しい場所だった。

きれいな川の流れるそばでのんびりしていると、天使が慌てて飛んでいくのが見えた。

「珍しいな…天使なんて…」

霊界では、人種も宗教もない。皆平等だ。
ただ、神は宗教別に色々いるため、神界では、生活圏を分けている。

天使は普段神界にいるのだが、下の階層に来るなんてめったにない。

俺は気になって天使を追いかけた。

「お~い! そこの天使たち! なにかあったのか?」

「今急いでいるんです。邪魔しないでください」

2人の天使はすぐ飛んでいってしまう。

俺は追いかけた。

ある場所で天使たちが止まり、その前に光が現れた。

「おい! 待ってくれ!」

「あなた! 追いかけて来たんですか?」

「この光の先はもしや神界か?」

「そうですが、あなたは入れませんよ。人間が入ろうとすると、押し戻されます」

「元神でも?」

「…え?」

天使は俺の目をジッと見た。

「あなたは、愛結神という神さまだったのですね。こちらに用事が?」

俺は、もしかして神界に行けば美奈子の行方がわかるかもしれないと思った。

「ああ…」

「では上のものに確認を取ってきますので、ここで少々お待ち下さい」

天使たちは光の中に消えた。

しばらく待つが、なかなか戻ってこない。

「もしかして、放っておかれてる?」

光の中から誰か出て来た。

「木蓮様?」

「紫苑!」

「やっぱり木蓮様ですね」

「遅いぞ」

「ごめんなさい」

紫苑についていくと、出口で眩しい光に目を閉じた。

目を開けると現れた神界は、光の世界という言葉がしっくりくるほど、美しい世界だ。
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