愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

藤波璃久

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神社に向かう

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「湊人、おばさんは夜まで帰って来ないんだよな?」

「うん」

「じゃあ、今から、俺が神様だった頃祀られていた神社に行こう。ここから少し電車に乗った先の、桜山町にある桜山神社だ。
そこには、紫苑しおん…俺の跡を継いで、愛結神になった、元神使がいる。
彼なら、神様なら、悪魔を追い出す方法を知っているかもしれない」

「うん」


 2人は駅に向かって歩いた。その途中、湊人が落ちたあの橋を通る。
欄干の壊れた部分には、ロープが張ってあり、修繕には時間がかかりそうだ。

「見ろよ湊人。この欄干の壊れた所、鉄が錆びて、脆くなってる」

「君達、あんまり近づくと危ないよ」

「あ、はい」

注意してきたのは、50代くらいのおじさんだった。
他の人と耐久性がどうとか話をしている。どうやら市の職員のようだ。

「実はここから誰か落ちたって聞いた」

「え? 本当に? 落ちた人は無事だったのか?」

「誰かが助けて、大丈夫だったらしい。目撃者がいたんだ」

「そうか。死人が出なくてよかった」

市の職員が話をしている横を通っていった。
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