愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

藤波璃久

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最初の人生

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「それから、江戸時代の終わりにさしかかって…。
その時、出会ったんだ。俺を神様だと知っても友達になってくれた女性に。
彼女は、俺のことを好きでいてくれて、一緒にいたいって言ってくれた。
彼女は俺を「人間にしてください」って祈ってくれた。
そして、俺は人間になった。彼女と、夫婦になると誓い合ったんだ。でも…」

「蓮?」
「その後すぐに、彼女は死んだ。辻斬りに遭って。
俺は、俺の使いである蛇に、人間になったから、あとをよろしくと言いに行ったんだ。
彼女の元に戻ると、血まみれの彼女が倒れていた。
夜で暗く、神社の周りには人がいなかった。この時期、辻斬りが出るから夜は気を付けるように御触れが出ていたのに。
辻斬りは刀をしまうところで、俺の存在に気づくと、刀を振り上げた。俺はそこで死んだんだ」

蓮の壮絶な最初の人生に、湊人はただ息を呑んだ。
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