愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

愛の神様

「俺は、愛結神いとしむすびのかみ
という、良縁を授ける神様だった。
良縁を授ける神様と言いながら、俺自身は恋をしても、うまくいかなくて…。
俺を祀っている神社に縁を求めて足を運ぶ人間たちを見ていたら、どうしようもなく切なくなった。
人間たちが良縁を結べたと、嬉しそうに報告に来ていたから」

「そう…なんだ」

「俺は神様になる前は、愛結神の使いで、蛇だったんだ」
「…へび…」
「蛇嫌い？」
「あ、えっと…」
「嫌いなんだ…。女子で好きな人はいないよね…」
「…蓮…」
「…もう蛇になる事はないけど…」
「そう…」
「今、ホッとした？」

「もう！ 蓮！ その話、ホント？」

湊人は蓮がふざけだしたので、からかっているのかと疑った。
「本当だよ。ごめん。俺が元は蛇だったなんて、嫌がると思って…」
「え…」
「嫌いになる？」

蓮は哀しそうに湊人を見た。
「そんなわけないでしょう？ オレは今の蓮が好きなんだから」
「うん」
蓮は嬉しそうに頷いた。