愛を教えてくれた神は今日も隣で愛をささやく

真剣な

「じゃあ蓮、オレ帰るね」
湊人が保健室を出て行く。蓮がその後を追いかけた。
「湊人！」
湊人の手を掴むと、湊人は叫び声をあげた。
「いっ！」
「あ、ごめん。ケガしてる方だった」
湊人は痛そうに右手を左手で守る。
「…なに？」
「俺も一緒に病院いくよ」
「いいよ。1人で大丈夫。蓮はちゃんと授業受けて」
「…湊人…頼むから…」
「蓮？」
蓮の真剣な表情に湊人は頷いた。
「蓮がそう言うなら…」

蓮は保健室の先生に適当なウソを言って、授業を受ける前に早引きした。

病院でレントゲンを撮ると、骨にヒビが入っていた。
手首をギプスで固定して、三角巾で吊るされた。
全治1カ月くらいだそうだ。
「右手だから、授業のノート取れないね」
「俺が書いたのを見せてやるよ。あとで一緒に勉強しよう」
蓮は「それよりも…」と、真剣な声で言う。
「あ、母さんに電話しておかないと、怒られる」
湊人は、病院を出たところで電話をかけた。
「大丈夫だよ。心配しないで」
母親に骨折した事を報告していた。
「ごめん。蓮…なんだっけ？」
「ああ…おまえの家って今誰もいないんだよな？」
「…うん」
「行くぞ。おまえの家」
「え？」